いよいよ開幕! 今年のセンバツは「新2年生が大暴れ」の予感 | FRIDAYデジタル

いよいよ開幕! 今年のセンバツは「新2年生が大暴れ」の予感

「大阪桐蔭史上ナンバーワン投手」前田悠伍 高校通算56号「岩手の怪物」佐々木麟太郎 182㎝104㎏、ベンチプレスは90㎏、九州国際大付の佐倉侠史朗

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花巻東 佐々木麟太郎(りんたろう)

バリー・ボンズを参考にしているというアッパー気味の豪快なスイングでボールを弾き飛ばす。3月16日、先輩である大谷翔平に並ぶ高校通算56号を放った

冬季の対外試合禁止期間が解除されて間もない3月9日、岩手の花巻東は大阪の履正社と大阪府茨木市のグラウンドで対戦した。注目を集める新2年生スラッガー・佐々木麟太郎は、オリックスで活躍するT―岡田が履正社時代に記録した最長飛距離をはるかに越える特大の本塁打を放った。推定150m弾。さらに14日の龍谷大平安戦でも左中間方向へアーチを架けた。高校通算本塁打は56本――。

昨年12月に胸郭出口症候群の手術を受け、およそ3ヵ月の間、実戦から離れていたものの、自身初の甲子園となる第94回センバツの開幕を控え、いよいよ量産体制に入った。

失投を見逃さず、緩いボールを一振りで仕留めるパワーとミート力はとても2年生とは思えない。だが、ドラフト上位で指名されるような超高校級投手との対戦はいまだなく、140㎞を超える胸元への直球の対応は未知数だ。神戸国際大附との練習試合では好投手の前に3タコ(3三振)に終わったという。

1回戦で対戦する市立和歌山には米田天翼(つばさ)という豪腕がいる。横浜DeNAにドラフト1位入団した小園健太の取材で同校を訪れた1年前、小園の横で、小園にも負けない力強いボールを投げていたのが1歳下の米田だった(正直に告白すると、遠目から眺めていた当初、彼が小園だと勘違いした)。あれから1年の時を経てMAXは149㎞に。米田との真っ向勝負で、怪物の真価は問われるだろう。佐々木は昨秋、こんなことを話していた。

「まだまだスイングに力をつけることや、変化球の対応など、足りないことはたくさんある。(同校の先輩である大谷)翔平さんや(菊池)雄星さんの活躍を励みに、負けられないという気持ちも持って全国の舞台に立ちたい」

大阪桐蔭 前田悠伍(ゆうご)

自己最速145㎞のストレートに加え、スライダー、カーブ、チェンジアップ、ツーシームと変化球も多彩。鋭い眼光からの躍動感ある投げっぷりも魅力の一つだ

優勝候補の大本命、大阪桐蔭の事実上のエースもまた新2年生で、その名は前田悠伍という。西谷浩一監督が昨秋、最も信頼を置き、重要な試合でこそ先発を託したのが前田だった。アップテンポで白球を投げ込んでいき、あっという間に打者を追い込んでしまう。140㎞台中盤の直球はまだまだ伸び代(しろ)十分なうえ、チェンジアップは捕手の松尾汐恩(しおん)が「打者の手元で突然、止まる」と表現するほどの魔球だ。「吠」「躍動」の文字を書き込んだ帽子をかぶりマウンドでは修行僧のような鋭い目つきで白球を投じていく。

「1年生から絶対に”エースを獲ってやる”という気持ちで入学した。ピッチングでは、ワンボール・ツーストライクのカウントを作ることを意識しています。3球で打者を追い込めたらピッチャーが有利になるんで。変化球でかわすような投球はせず、強気で押していきたい」

打撃でも非凡なセンスを披露し、近畿大会の天理戦では勝利を決定づける3ランを放った。そんな前田に対し、西谷監督は「慎重に計画的に成長させてきました。大きく育って欲しい」と話した。

3年生にも右の豪腕が揃うが、この10年ほど大阪桐蔭を見てきた筆者からすれば、彼が卒業する頃には同校史上ナンバーワン投手と呼ばれていてもおかしくない。大阪桐蔭と花巻東、さらに関東大会の王者である明秀日立(茨城)が同ブロックに入っており、勝ち上がった学校がそのまま覇権を手にする可能性は高い。

九州国際大付 佐倉侠史朗(きょうしろう)

重心を極端に落としてバットを高々と掲げるフォームが特徴。昨年11月に行われた神宮大会準決勝では、大阪桐蔭の前田からも右中間へのホームランを放った

そして、前田から昨秋の神宮大会で本塁打を放ったのが、九州国際大付(福岡)の佐倉侠史朗だ。182㎝、104㎏の体格は、183㎝、117㎏の佐々木と比較しても遜色ない存在感だ。極端に重心を落とし、バットを高く掲げるフォームは、森友哉(埼玉西武)を参考にしているというが、筆者には鹿児島に伝わる剣術「薩摩示現流(じげんりゅう)」のトンボの構えに見えてしまう。センバツまでの課題を佐倉はこう打ち明けた。

「長打力を磨くのはもちろんですが、勝負強くなるのが大事かなと思います。佐々木君は全然自分よりすごいバッター。(ライバルとは)あまり意識せず、自分のバッティングに集中したい」

広陵 真鍋 慧(けいた)

身長189㎝、体重91㎏。佐々木、佐倉と同じ一塁手だが、アスリートタイプのスラッガーで機動力もある。打線の中軸として強豪・広陵をけん引する

佐々木や佐倉と同じ左のスラッガーで、守備位置も一塁とかぶるのが広陵(広島)の3番打者・真鍋慧だ。仲間から「ボンズ」と呼ばれる2年生は、佐々木や佐倉のような剛剣ではなく、斬れ味鋭い日本刀を振るうようにして白球をライト方向へ弾き返す。内角の厳しいボールを捌(さば)く技術にも優れ、穴の少なさは同級生二人に勝る。また、現状は一塁しか守ることのできない二人に比べ、スプリンター体型の真鍋は足もあって外野も守れるだろう。複数のポジションを守れることは、スカウトへのアピールとなる。

3年生の注目選手

大野稼頭央は、元埼玉西武の松井稼頭央ファンだという父から同じ名を与えられた。3月13日の練習試合後、話を聞いた。

大島 大野稼頭央(かずお)

身長175㎝と決して大柄ではないが、しなやかな腕の振りからMAX146㎞の直球を投げ込む。奄美大島出身のエースとして、地元の期待を一身に集める

「この名前は気に入っています。皆さんから気にしてもらえますから。大阪に入ってから調子はずっと良いです。まずは1勝を目指して、全国レベルの学校とたくさん対戦したいです」

昨秋の鹿児島大会を一人で投げきり、九州大会では初戦の大分舞鶴戦の延長10回を戦ったあと豪雨による再試合となり、計19回を投げて28三振を奪った。そして、準々決勝の興南戦も完封。準決勝、決勝は「1週間に500球まで」という球数制限に引っかかり登板しなかったものの、タフさも売りの左腕だ。直球のMAXは146㎞。投球フォームは、楽天の守護神である松井裕樹に酷似。縦のスライダーも高校時代の松井を彷彿(ほうふつ)とさせる。

’12年夏の甲子園で1試合22三振を奪った松井のような奪三振ショーを披露できれば、大阪桐蔭がいる激戦ブロックでのジャイアントキリングも夢ではない。

2年生が躍動するのか。それとも3年生が意地を見せるのか。世代闘争もまた今年のセンバツの見どころだ。

『FRIDAY』2022年4月1・8日号より

  • 取材・文柳川悠二

    ノンフィクションライター

  • PHOTO松橋隆樹(佐々木) 共同通信(真鍋)

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