世界の相場が乱高下するいまこそ狙いたい「アジア株厳選銘柄」 | FRIDAYデジタル

世界の相場が乱高下するいまこそ狙いたい「アジア株厳選銘柄」

ネット証券会社で気軽に購入可能 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、世界の相場は乱高下 そんな中、中国、香港、ベトナムなどに注目が集まっている

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半導体不足はいまだ解消のメドが立っていない。台湾TSMCはサプライチェーンのなかで圧倒的なシェアと影響力を誇る
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ロシアがウクライナ侵攻を開始してから3週間あまりが経過したが、終結のメドは立たず、情勢不安から世界の市場の株価は乱高下している。こうした状況で日本株や米国株を買い増すのは怖い、という人は、香港やASEAN諸国で取り引きされている「アジア株」を仕込んでみるのも選択肢のひとつだ。

「今年に入り、先進国の株式市場は金利の上昇懸念とウクライナ侵攻で大幅に下落しました。それに比較すると東南アジア株の下げ幅が少ないのは、戦争の影響が欧米より少ないこともありますが、やはり中長期的な成長が見込まれているからです。いまのように値下がりしたタイミングは、絶好の買い場になります」(グローバルリンクアドバイザーズ代表取締役社長の戸松信博氏)

SBI証券や楽天証券など、大手ネット証券はアジア銘柄の取り扱いを広げており、手数料や為替レートの違いはあるものの、日本株や米国株などと同じようにネットで買うことができる。それでは、各国の市場の特徴と、狙い目の銘柄を見ていこう。

まずは、香港証券取引所で取り引きされている銘柄だ。本社は中国本土で登記されているが香港で上場している銘柄を「H株」と呼び、石油や電力など、中国の国策に絡む企業も多い。亜州リサーチ中国編集部アナリストの郡司哲朗氏は語る。

「ロシアが世界の経済活動からブロックされたことで、成長の鈍化する中国企業の存在感が再び高まる可能性があります。また、中国は習近平国家主席がカーボンニュートラルの実現を目標に掲げており、中央がそう打ち出せば地方行政も企業もその方針に沿って動く国です。こうした流れから、脱炭素に関わる龍源(ロンユェン)電力と中国広核電力は買い時と言えるでしょう。

また、深圳(しんせん)に本拠を置くBYDは、リチウムイオン電池とともに電気自動車の開発に力を入れています。トヨタ自動車と研究パートナーを組み、今後日本でも知名度を上げていくでしょう」

続いて、コロナ禍でも経済成長率プラスを維持したベトナムはどうか。同国にはホーチミン株式市場とハノイ株式市場があり、大企業の上場が多いホーチミン株式市場がメインの市場になる。前出・戸松氏はベトナム市場の強みをこう語る。

「ベトナムは中国に次ぐ『世界の工場』へと成長しつつあり、人件費もまだ安く伸び代(しろ)を残しています。コロナワクチンの接種率が高く、’22年のGDP成長率もプラス6%以上を見込むなど、他国に先駆けての内需回復が期待されています。この高成長を支えるのが、国営企業のペトロベトナムグループの存在です。

たとえば、ペトロベトナム・ドリリングは石油の掘削事業で国内シェア70%超を誇ります。ロシア産の原油や天然ガスの輸入をアメリカやイギリスが禁止したことから原油価格が上昇しており、同社が注目される可能性は高いです」

また、同グループのペトロベトナム化学肥料にも注目だ。窒素系肥料生産で国内トップだが、ポイントはロシアが世界有数の肥料供給国であること。経済制裁で輸出停止になれば、世界の肥料価格が上昇していき、自然と同社のような企業のニーズは高まっていく。まさに狙い目の銘柄と言える。

それでは、ベトナムと南シナ海を挟んで東側にある島国・フィリピンの株式市場には、どんな特徴と投資メリットがあるのだろうか。『副業時代に手堅く儲けるフィリピン投資入門』(幻冬舎)の著者で、証券アナリストの町田健登氏が解説する。

「フィリピン市場はまだまだ未熟で、空売りや信用取引が行えないぶん世界のファンドマネーが流れ込んでおらず、上場企業も270社程度しかありません。ですが、今後長期にわたる経済成長が見込まれ、現在は参入時期としてこの上ないチャンスだと思います。また、購入の最小単元数が100株で統一された日本株と違い、時価総額が高い企業でも少額から投資を始められます。

たとえば、フィリピンを代表する財閥がアヤラ・グループで、エネルギー事業でワールドワイド企業になりつつあるACエナジーは、最低購入価格2000円前後から買うことができます。繁華街の都市開発を進めるデベロッパーのアヤラ・ランドも、100株8000円前後で買えます」

モバイル・通信に強み

経済成長の大きなカギになるのが人口増加だが、フィリピンはASEAN諸国でもとくに長期にわたって人口増加が続くと推測されている。国民の消費マインドも高く、英語圏であることからグローバルな活躍も今後期待できる。外食、レジャー、ファッションなど、先進国では近年向かい風が吹く産業も、フィリピンではまだまだ成長の兆(きざ)しがありそうだ。

「酒造会社のエンペラドールはブランデーの世界シェアトップで、今年フィリピン総合指数の構成銘柄に組み入れられるなど勢いに乗っています。ジョリビー・フーズが運営するファーストフード店『ジョリビー』はフィリピンの国民食になっていて、世界進出にも積極的です。

また、ロシア関連で言えば、あまり知られていませんがフィリピンはアジア有数のニッケル産出国で、ニッケル・アジア・コーポレーションが強い。近年はリチウムイオン電池の生産に欠かせない金属としてニーズが上がっており、同じく産出国であるロシアへの経済制裁で価格がさらに上がっています。今後も輸出量は伸びていくでしょう」(町田氏)

最後に、近年成長の著しいシンガポールとインドネシアの市場を見ていこう。

まずシンガポールだが、ASEAN諸国に先駆けるような形で対ロシア経済制裁の実施を発表した。リー・シェンロン首相が「力こそ正義」を標榜するロシアに異を唱え、小さな都市国家ながら成長を続けてきた矜持をアジアに示した形となった。金融アドバイザーでファイナンシャルプランナーの石原玄紀氏は、シンガポールの今後を次のように語る。

「シンガポールですが、シェンロン首相の後継者が誰になるかで、ロシアや中国など大国との関係性が変化する可能性もあり、今年後半の与党の重要会議まで注視する必要がありそうです。一方で経済では、環境政策や通信について投資を増やし、技術革新を促す見通しがあることから、関連銘柄は期待が持てそうです」

その代表例といえるのが、海洋やエネルギーに強みを持つコングロマリット(複合企業)のケッペルだ。「脱石油」を目指して事業転換を進めており、SDGs銘柄として世界の注目を集めている。

今年G20の議長国を務めるインドネシアは、輸出拡大を軸に先進国入りを目指すことを公言している。

「ジョコ大統領は自動車輸出を’25年に100万台、首都の高速鉄道拡張計画、経済デジタル化推進といった3つの施策を掲げ、2045年に世界5位以内の経済大国になることを目標にしています。とくにデジタル関連では、先進国をリードしている部分もあり、今後もインドネシアの強みになっていくはずです」(石原氏)

インドネシアの携帯最大手であるテルコム・インドネシアは、通信インフラからDX(デジタル・トランスフォーメーション)の促進までをリードする国営企業だ。また、自動車産業で国内最大シェアのアストラ・インターナショナルも、輸出増強の方針に沿ってさらなる成長が期待できる。

絶好の買い場になっているアジア株は、無限の成長可能性を秘めている。長い目で見た投資がおすすめだ。

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『FRIDAY』2022年4月1・8日号より

  • PHOTO時事通信社(TSMC、BYD、中国海洋石油) 共同通信社(ジョリビー) アフロ(ケッペル)

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