初のウクライナ出身力士・獅司 意外な評判と日本との不思議な縁 | FRIDAYデジタル

初のウクライナ出身力士・獅司 意外な評判と日本との不思議な縁

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豪快な上手投げを決める獅司(左)
豪快な上手投げを決める獅司(左)

館内に温かい拍手が響く。身長191cm、体重165kgの巨漢力士は、3月場所9日目(21日)で勝ち越しを決めた。

この日、対戦相手を豪快な突き押しで倒したのは西幕下17枚目の獅司(しし、25)。ロシアとの紛争が続くウクライナ出身で、同国から来た唯一の力士だ。獅司が生まれた南部メリトポリでは、市長が頭にビニール袋をかぶせられロシア兵が拉致(現在は解放)。現在もロシア軍による占拠が続いている。祖国の窮状を憂いながら土俵に立ち続ける獅司とは、どんな人物なのだろうかーー。

「オツカレサマデゴザイマス」

獅司は先輩力士や親方衆に会うと、必ず習いたての日本語で丁寧に挨拶するという。初土俵は20年3月。2年あまり稽古を積み、ようやく日本での生活に慣れてきたようだ。

「本名はソコロフスキー・セルギイ。6歳からレスリングを始め、15歳で相撲に転向しました。所属は入間川部屋です。師匠(元関脇・栃司)が日本大学出身で、入間川部屋は同大学とのパイプが強い。日大はアマチュア相撲界に影響力があるので、そのルートから入間川部屋に入門したようです。

実力は十分ですよ。相撲のヨーロッパ選手権で優勝したほどですから。体格に恵まれ、入門時ですでに部屋の若手では歯が立ちませんでした。部屋付きの若藤親方は、『ミニ把瑠都(エストニア出身の元大関)。スグ幕内になれる』と絶賛しています。性格もマジメで稽古熱心。年内には十両に上がれるのではないでしょうか」(相撲協会関係者)

父親がウクライナ人の大横綱

土俵で四股を踏む。性格はマジメで稽古熱心だという
土俵で四股を踏む。性格はマジメで稽古熱心だという

獅司は21年9月場所で左手のケガの影響もあり負け越したが、それ以外の出場場所はすべて勝ち越している。親方衆が評価するのも当然だろう。獅司が活躍を続ければ、祖国の人々の励みになるはずだ。

相撲との関係が薄い印象のあるウクライナだが、日本とは不思議な縁がある。

「幕内32回の優勝をはたした昭和の大横綱・大鵬の父親が、ウクライナ人なんですよ。第2の都市ハリコフ出身で、コサック将校だったマルキャン・ボリシコという人物です。ロシア革命時に日本へ亡命し、南樺太(現サハリン州)に移住して日本人女性と結婚。大鵬は同地で生まれています。

残念ながらボリシコは第2次世界大戦時中、旧ソ連軍に拘束され強制収容所へ送られてしまいましたが……(大鵬は母親とともに、からくも北海道へ脱出)。大鵬は現役引退後、親方として父親の故郷ハリコフを訪れています。『大鵬相撲大会』を開くなどウクライナとの友好関係強化に貢献。ハリコフには記念館が建てられ、大鳳には友好勲章が贈られました」(同前)

昭和の大横綱のルーツでもあるウクライナ。同国出身の初めての力士・獅司は、戦火にまみれる祖国の希望として幕内昇進を狙う。

父親がウクライナ人の昭和の大横綱・大鵬
父親がウクライナ人の昭和の大横綱・大鵬
  • 写真時事通信社

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