カッパーフィールドが「世界一の魔術師」と呼ばれる根本理由 | FRIDAYデジタル

カッパーフィールドが「世界一の魔術師」と呼ばれる根本理由

KiLaの世界マジシャン列伝!① デビッド・カッパーフィールド

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空中浮遊のマジック

こんにちは! マジシャンのKiLaと申します。私は1975年、熊本県に生まれました。マジック好きの父の影響で幼少期からマジックが身近な存在でした。上京して一度は企業に就職したものの、6年弱で退職。プロのマジシャンとなりました。ホテルやマジックバーでショーを披露するかたわら、沢山の名マジシャンの映像を見て独学で技術を磨き、今ではありがたいことに単独ショーを行えるまでになりました。『奇跡体験アンビリーバボー』(フジテレビ系)で特番を組んでいただくなど、メディアでもパフォーマンスをお見せできる場を頂いています。

早いものでマジックの世界に入って20年近くが経ちましたが、マジックは奥が深く、今でも勉強の毎日です。

マジック業界も新型コロナウイルスで大打撃を受けています。ディナーショーやマジックバーでの公演といったパフォーマンスを披露する機会が大幅に減りました。機会が得られても、感染防止対策のため、お客様との接触は厳しく制限されます。

そのような状況下ですが、少しでもお客様に満足していただけるよう、工夫してショーを行っています。マジックショーはお客様とのコミュニケーションによって満足度が大きく変わってくるエンターテイメントなので、コロナ前の世界とは大きく変わりました。

ですが、下を向いていても何も始まりません。今回、「世界マジシャン列伝!」と題し、僕が研究してきた世界中のマジシャンのなかから、スペシャリストをご紹介する機会を頂きました。

この連載を通じてマジックの世界に少しでも興味を持って頂き、コロナが落ち着いた際には「マジックショーを見に行きたい」と少しでも思っていただけるような記事を書かせて頂こうと思っております!

「マジックで成功するには、何が重要?」

さっそくですが皆さん、マジックで成功するには何が重要だと思いますか?
「手の器用さ」あるいは「誰も思いつかないトリック」が大切だと思われるかもしれません。間違いではありませんが、あくまでもそれは一要素だと僕は考えています。

僕がマジックにおいて重要視しているポイントは「演出」と「演技力」、そして「マジシャン自身が持つ魅力」です。簡単にいうと「演出」とはマジックにおける文脈であり、「演技力」と「マジシャン自身が持つ魅力」は、お客様に対しての説得力になります。僕はこの3点に注目してマジックを観ています。素晴らしいマジシャンはこの3点が傑出しています。

左がカッパーフィールド

記念すべき連載第一回で紹介するのは史上最高のマジシャン、デビッド・カッパーフィールドです。皆さんも一度くらいは名前を聞いたことがあるのではないでしょうか? 「世界一のマジシャン」という称号に異論を唱える人は少ないと思います。

簡単に彼の経歴を紹介すると、1968年に12歳にしてプロマジシャンとしてデビュー。大学在学中にミュージカル「The Magic Man」の主役に抜擢され、演出などすべてを手掛けるために大学を退学。成功を収めた後、アメリカの三大テレビ局のひとつであるABCにて特番(19年間にわたって毎年放送されました)が組まれて、人気を博しました。

1980年と1986年には、世界で最も権威あるマジックアワード「マジシャン・オブ・ザ・イヤー」を獲得。一年の半分はラスベガスの有名カジノ・ホテルであるMGMグランドで公演を行い、米フォーブス誌による著名人長者番付の常連で、2019年には推定年収額が6000万ドル(約67億円)に達し、総資産は8億7500万ドル(約958億円)とも言われています。うらやましい限りです(笑)。

カッパーフィールドは、ジャンボジェット機やオリエント急行列車を消したり、ナイアガラの滝を落下する箱からの脱出やグランドキャニオンの空を飛んだりするような大がかりなイリュージョンで観客を魅了します。

しかし、彼のマジックの最大の魅力は、観る人を感動させる演出です。カッパーフィールドの作品は、彼自身の実体験をストーリー仕立てにしたものが多く、なかでも代表作である「Flying」や「Snow」「GrandPa’s Aces」などは、曲とそのストーリーが相まって涙する人も珍しくありません。

かく言う僕も、彼の作品に魅了された一人で、なかでも「Snow」は何度観ても涙します。「Snow」は彼が幼少の頃、初めて雪を見たときの思い出になぞらえ、大人になった今でも持ち続けている人生観を投影してマジックで会場に雪を降らせます。カッパーフィールド以外にも、手やチーフの中から雪を降らすマジシャンは世界中にいます。

しかし、彼が凡百のマジシャンと違うのは、照明や音楽にカッパーフィールドの表情や仕草などの「演技力」が合わせることで、映画を思わせるようなストーリーが描かれる点にあります。彼独自の唯一無二のパフォーマンスにより、観客はショーに引き込こまれ、感情を揺さぶられるのです。

僕は1999年、東京公演で初めてカッパーフィールドのショーを生で観ました。幸運にも彼が空を舞う「Flying」を観ることができました。何が幸運だったのかと言うと、この回が「Flying」が日本で披露された最後の公演だったのです。

会場に行くと、目の前にステージ上を飛びまわり、大きな輪を潜り抜ける彼がいました。テレビで観たカッパーフィールドの世界観がそこで”そのまま”繰り広げられていたのです。

テレビとライブショーでのパフォーマンスに遜色がないことは、マジシャンにとってとても大切なことだと僕は思います。映像で観たマジックは凄かったのに、ライブやスタジオの生出演だと期待外れだったというようなマジシャンを時々見かけます。僕自身、カッパーフィールドのショーをライブで観て、影響を受けたことで、生のライブショーにおいても観客が抱く期待感にしっかり応えることをとても重要に考えるようになり、いまでも常に気を付けていることのにひとつになっています。

2016年にラスベガスを訪れた際、MGMグランドで彼のショーを再び観ましたが、60歳を超えているにも関わらずショーの内容は大きく刷新され、彼の世界観が彼の魅力と演技力によって、より具現化されていました。

人は経験を重ねると慣れが生まれ、新しい事を吸収する力が弱くなってくることがあります。すでに大成功を収めているカッパーフィールドが今なお、新作を作り続けている。彼の向上心と探求心は依然衰えていないのです。その姿勢を僕も見習いたいと思います。カッパーフィールドのように、自分の人生観をショーに乗せて観客の皆さんに届けばと思いながらショーを作っています。

彼のショーの魅力は、僕のつたない文章では書き表すことが難しいくらい素敵なものです。映像で過去の作品を観ることができますが、できれば是非、ラスベガスで行われているカッパーフィールドのショーを生で体験してもらいたいと思います。

筆者近影
  • KiLa

    75年熊本生まれ。身長190㎝。独学でマジックを習得。各種メディアに出演する一方、演出やマジック商品のプロデュースなども手がける。観客自身がリアルに体感する参加型マジックで、一つ一つの演目が最後に繋がるオープニングからエンディングまで目が離せない伏線回収型マジックショーは、他のマジシャンのショーとは一線を画す。

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