ザギトワにシェルバコワ「ピースサイン姿」ににじむ複雑胸中
2018年の平昌五輪・女子フィギュアスケートで金メダルを獲得したアリナ・ザギトワと、2022年北京五輪の同種目で金メダルを獲得したアンナ・シェルバコワの「新旧女王」など、ロシアの有名フィギュアスケーターが相次いで平和を意味する「ピースサイン」をしている写真を、インスタグラムに投稿している。

ザギトワらが掲載したのは、フランス・モンペリエでの世界選手権から除外されたロシアのフィギュアスケート選手らが出場する「チャンネルワン・カップ」で撮影した写真。ロシアによるウクライナ侵攻以降、さまざまな制裁がロシアに課されてきたが、スポーツ界も例外ではなく、世界選手権ではロシアの選手の出場は認められなかった。
それに反発するかのように、ロシアは「チャンネルワン・カップ」を世界選手権の裏で開催することを決定した。北京五輪女子シングル金メダルのアンナ・シェルバコワ、銀メダルのアレクサンドラ・トルソワ、4位のカミラ・ワリエワなどがこぞってこちらに大会に出場することから「こちらの方が重要な大会だ!」などとロシアでは声があがっていた。
「チャンネルワン・カップ」でシェルバコワは、圧巻の滑りをみせた。演技中に鼻血が出るアクシデントに見舞われたが、4回転フリップを成功させるなど、フリーで1位になった。ザギトワはこのイベントにプレゼンターとして参加したようだ。
二人を含め多くの選手らは、ピースサインをしている写真を投稿した。言論統制が厳しく敷かれるロシアでは、政府や戦争を批判することは難しい。世界的なスターが多いロシアのフィギュアスケーターたちも、どう立ち振る舞うべきなのか、苦悩しているように見える。
そんな中でのピースサインだ。これはフィギュア選手たちの、平和を望む、心の声なのでは――そうファンの間ではささやかれる。
もちろん真意はわからないが、新女王のシェルバコワは今後について「今は休みたい。状況をみていく。(混乱が続けば)私の決定に影響する」などとコメントしていた。どうにも戦争の影響を重ねて読まないわけにはいかない。
いずれにせよ選手に罪はないはずだ。早く、誰もが手を取って平和に競技ができる世界が訪れてほしい。