メジャーに挑戦 日本一の左腕・菊池雄星が成功するために必要な事

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埼玉西武ライオンズの菊池雄星投手がポスティング制度を利用してのメジャー行きを表明した。菊池は12月3日に日本野球機構に対して入札に必要な申請を済ませ、4日からはメジャー30球団との交渉が開始した。すでにアメリカでは「日本でトップの左腕がやってくる」と話題になっており、一部では「最大6年6000万ドル(約68億円)の価値」と報道され、獲得競争は加熱している。

そんな菊池投手は、実際にメジャーで活躍することができるのか、元メジャーリーガーの長谷川滋利氏が解説する。

菊池獲得の最有力候補、サンディエゴ・パドレスの本拠地ペトコ・パーク。18年は、菊池の西武での先輩牧田和久が活躍した

菊池雄星投手の交渉が解禁になり、こちらでも、どんな投手か。どの球団が興味を持っていて、年俸とそれに応じた契約金はどの程度になるかといった記事がちらほらと出ています。

本人は「30球団どこでもOK」と公言したらしいですが、逆に言えば30球団どのチームも彼を欲しいかもしれません。

まず、ローテーションの核になってくれそうな左投手。これは国籍に関係なく貴重です。

日本人左腕のスターターで言えば石井一久さんが02年に14勝、03年に9勝、04年に13勝と、一定の成績を残しました。高橋尚成氏も2010年にメッツで10勝を挙げていますが、あとはそこまで目覚ましい記録は残せていないのが現状です。菊池選手にはぜひ複数年に渡ってローテーションを守ってもらって、近い将来には左のエースと呼ばれて欲しい。それくらいの素材です。

実際に日本での投球を何試合か見せてもらいましたが、95マイル(約153km)を超える4シームがどの試合も走っていました。縦に曲がるカーブ、スライダーも十分、通用するレベルにあると思います。

ただ、日本では独特でダイナミックなフォームのパワーピッチャーとして認識されているかもしれませんが、メジャーでは平均以上の速球派には分類されるものの、必ずしも剛球投手というわけではありません。100マイル(約161km)超えのピッチャーも多く、フォームについてもメジャーの投手のクセはものすごく強いので、そこまで目立ったものではないでしょう。

しかし、その分、メジャーのスラッガーからすれば、スムーズなフォームからスピードボールが来る。それが彼らの目にまずどう映るか。

「あいつのフォーム、力が抜けてるのに、ボールが手元で伸びよるな」と思ってくれたら、メジャーへのアジャストは早いかもしれません。

逆にもし、アジャストに時間がかかるのであれば、まず4シームでしっかりカウントを取るために、4角に散らすことが求められます。前述のように100マイルピッチャーはいても、コントロールを伴う選手はかなり少ない。コーナーに決まる95マイルは彼だけの武器になるかもしれません。

少し抜いても見逃してもゾーンの中、くらいにしっかりコーナーを突くことができればファウルを稼げるでしょうし、縦に曲がるカーブもなお、生きてくる。まずは実戦の中で、どの球をどこに投げればどんな結果になるかというデータを本人が身を持って得ることが大事ですね。特に重要なのは、どの球で空振りが取れるのか。それを中心に組み立ててゆく。

91年岩手県盛岡市出身。花巻東高校2年時に、第81回選抜高等学校野球大会 で準優勝。10年に埼玉西武ライオンズ入団。ドラフト会議前にはメジャー球団も獲得の意思を示していた

フォームとしてはクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)あたりが近いので、彼の減速の小さいスライダーや大きく割れるブレーキングボールの使い所、ゾーンの出し入れなどはかなり参考になると思います。

メジャーで最も陥りやすいのは、長打を恐れてカウントを悪くし、あるいは歩かせて、中に入ったボールをスタンドに運ばれる、というケースです。

菊池投手のコントロールや球種なら、常にプレートの中、あるいは際で勝負できると僕は考えています。絶対に打たれない投手なんてこの世に存在しないのですから、開き直って世界屈指のスラッガーとの名勝負を楽しんで欲しいですね。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学では大学通算40勝をマーク。1991年ドラフト1位でオリックスブルーウェーブに入団。背番号は17。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。背番号は21。セットアッパーとして活躍する。2002年シアトル・マリナーズに移籍し、佐々木主浩、イチローらとチームメイトに。現在もアメリカ在住

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