矢野監督は目もうつろ…10敗・阪神「最悪スタートの特殊背景」
「何か変えられることって……。オレも浮かばない。目の前のことに、一つ一つ集中するしかない……」
4月3日の巨人戦に5対9で敗れ開幕からリーグワーストの9連敗を喫した阪神・矢野耀大監督(53)は、報道陣に力なく語った。いま、ベンチの雰囲気は絶望的だという。
「開幕戦のイヤな負け方が、ずっと尾を引いています。最大7点をリードしながら、中継ぎ陣や抑えの新外国人ケラーが打ち込まれ逆転された。開幕前に想定していた継投パターンが完全に崩れ、立て直しができていない状態です」(球団関係者)
おかしくなった歯車を修正するのがリーダーの役割だが、矢野監督の消沈ぶりは周囲が心配するほどだとか。
「矢野監督は喜怒哀楽が激しいため、落ち込み方も尋常ではありません。ベンチでは、まったく覇気がない。帽子をとり何度も髪をかき上げ、目はうつろ。本当にツラそうです。円陣を組んでも、選手たちの輪に加わろうとしません。声を出しているのは、打撃コーチの北川博敏さんぐらいです」(同前)
「責任とらないんでしょう」
矢野監督の精神面に影を落としているのが、今季キャンプイン前日の自身の発言だ。
「全体ミーティングで『今シーズンをもって監督を辞めようと思っている』と宣言したんです。矢野監督としては、昨季最大7ゲーム差をつけながら土壇場でヤクルトに優勝をさらわれた責任を感じていたのでしょう。自ら退路を断つことで、選手の奮起をうながす意図もあったと思います。選手を鼓舞し、念願の日本一を達成しようと。
しかし、指揮官の発言は選手やコーチ陣を動揺させました。本格的なシーズンスタート直前に、出鼻をくじかれた格好です。中には『負けが込んでも退任が決まっているから責任をとらないんでしょう』という冷めた意見もあります。結果的にチームは一丸になるどころか、雰囲気が悪くなってしまった。矢野監督としては、申し訳ない気持ちでいっぱいなのだと思います」(スポーツ紙担当記者)
このままでは、矢野監督の途中退任もありうるだろう。だが藤原崇起オーナーは4月4日に報道陣の取材に応じ、「最後まで指揮をとるのか」という記者の質問に「当然」と回答。最後までチームを任せると強調した。
指揮官が機能しないなら選手の奮起が期待されるが、ナインにも元気がない。
「チームをまとめる、中心的な選手がいないんです。巨人には坂本勇人、中日には福留孝介など、他チームにはカリスマ的存在がいます。しかし阪神の主将は、控え捕手で実績の少ない坂本誠志郎です。チームリーダーを任せるには、荷が重いでしょう」(同前)
指揮官にも選手にも覇気ナシ……。4月6日現在1勝10敗と復活のキッカケを掴めず、悪いスパイラルにはまってしまったタイガース。矢野監督の最終年は、最悪のスタートとなってしまった。
- 写真:共同通信社