健康悪化疑惑も浮上したプーチンが失脚する「具体的なシナリオ」 | FRIDAYデジタル

健康悪化疑惑も浮上したプーチンが失脚する「具体的なシナリオ」

ロシア軍が去った首都キーウ郊外には民間人の遺体が散乱し、拷問や処刑の形跡も 西側諸国の制裁で国内経済は壊滅状態

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幻の支持率にすがる”裸の王様”は健康状態も悪化

3月18日、クリミア併合記念コンサートに出席したプーチン大統領。9万5000人以上の国民が参加した
3月18日、クリミア併合記念コンサートに出席したプーチン大統領。9万5000人以上の国民が参加した

4月2日、ロシア軍が撤退した首都・キーウ近郊のブチャ市。フェドリュク同市長は変わり果てた故郷を見て、思わず膝をついたという。民家の庭や路地に無数の遺体が転がっていたのである。後ろ手に縄で縛られた亡骸(なきがら)や、頭に布を被(かぶ)せられた状態で絶命している男性など、拷問の形跡もあった。

「民間人虐殺の狙いは二つあります。一つは見せしめ。恐怖で抵抗意欲を削ぐために民間人を標的にしているのです。二つ目は『ブービートラップ』です。遺体に地雷を仕掛け、収容しにきた人を巻き添えにする」(防衛省関係者)

4月3日、ウクライナ検察当局はロシア軍が撤退したキーウ周辺の町で410人の民間人が虐殺されたと発表した。現地を視察したゼレンスキー大統領(44)は「ジェノサイド」だと断罪し、アメリカのバイデン大統領(79)は「プーチンは戦争犯罪人」と糾弾した。それでもロシア軍の攻撃はさらに勢いを増して続いている。

防衛省関係者が続ける。

「ロシア軍は今後、南部を全力で取りにくるでしょう。南部のオデーサが落ちれば、東部の親露派支配地域ドンバス地方までグルリと海岸線に沿って回廊が繋がる。そこを停戦交渉の落とし所にして、第二次世界大戦の対独戦勝記念日である5月9日に”勝利宣言”を行うのではないか」

一方、「プーチン大統領(69)はそんな現実的な判断はできない」と見ているのは国際関係アナリストの北野幸伯(よしのり)氏だ。

「プーチンは軍や諜報組織から苦境に立たされていることを伝えられていない可能性が高い。最側近ですらプーチンを恐れて、苦戦の事実を話すことができない。プーチンは『ベラルーシで補給してキーウを落とせ!』と、再度命令するかもしれません」

そんな暴走を続けるプーチン大統領だが、西側諸国による経済制裁と国際社会からの孤立でロシア国内は大混乱。失脚の危機が徐々に近づいているという見方がある。ロシア政治に詳しい筑波学院大学教授の中村逸郎氏が解説する。

「ロシア政府が発表したプーチン政権の支持率は約80%でしたが、匿名で行われたインターネットでの世論調査では26%でした。調査結果の中には、実は9%しか支持されていない、というものもあるんです。プーチンが甲状腺ガンを患っているという報道が出たのも危機が迫っている証拠。普通ならこんな極秘情報が詳細に報道されることはない。側近の誰かがプーチンを失脚させるために暗躍しているのです。健康問題は政権交代の理由に使いやすいですからね」

プーチン大統領を就任当時から支えている、政治的発言力の強い新興財閥「オリガルヒ」も戦争反対を表明。

「オリガルヒは経済制裁で資産を減らす一方。プーチンの存在はマイナスでしかないのです」(前出・北野氏)

軍、警察、FSB(ロシア連邦保安庁)など諜報組織の出身者たち――「シロヴィキ」もクーデターに向けて動き始めているという。前出の中村氏が言う。

「後釜を狙う側近として挙げられるのは、旧ソ連の秘密警察『KGB』時代の同僚であるアレクサンドル・ボルトニコフ連邦保安庁長官(70)とニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記(70)です。健康状態が悪化したプーチンを休ませるという名目で実権を奪うこともありえます。もしくは市民の蜂起を利用して、側近がクーデターを起こす可能性もある。その場合はボルトニコフが主導するでしょう。

ボルトニコフがセルゲイ・ショイグ国防相(66)やミハイル・ミシュスティン首相(56)などを味方につけ、諜報組織と軍が裏切れば、プーチン政権は終わりです。ソ連時代の’91年にゴルバチョフ(91)を失脚させるために起こしたクーデターと同じ手法ですが、当時は市民が味方せず失敗に終わりました。今回はクーデターに応じて、国民も一斉に蜂起するでしょう」

プーチンが失脚するとなれば、その「後始末」はどのように行われるのか。

「裏切った側近たちが『この戦争はプーチンの独断。脅されて従うしかなかった』と罪を擦(なす)り付けて、処刑する可能性が高い。現状の圧倒的な権力を見ていると想像できないかもしれませんが、独裁が終わるときはそんなものです。

新政権の味方に付くのはオリガルヒでしょう。オリガルヒにはプーチン大統領に忠誠を誓う『譜代新興財閥』と、侵攻に反対し国外に逃げた『外様新興財閥』がいます。後者を呼び戻し、前者の資産を没収し追放する。その資金でボロボロになった経済を立て直す。そうすれば、新政権への支持も集まるという算段です」(全国紙国際部デスク)

独裁政権は果たして崩壊に向かうのか。とにかく今は一日も早い停戦を望むばかりである。

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『FRIDAY』2022年4月22日号より

  • PHOTO時事通信社 アフロ

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