ワリエワ「緑のワンピース姿で笑顔」ににじむ複雑胸中
「絶望」の異名を持つロシア・フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(ロシア)。金メダル最有力候補として北京五輪に挑んだが、ドーピング問題に揺れ、競技の結果も4位に終わった。
次回の五輪では金を……そうファンから願われていた最中、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まり、世界選手権などの国際大会からロシア選手が締め出された。戦争は全く許されない行為で、主導しているロシア政府は非難されて当然だろう。
しかしわずか15歳のフィギュアスケーターにどこまでその「連帯責任」を負わせるべきなのだろうか。国際世論でもさまざまな意見が飛び交っている。
ワリエワのメンタルは大丈夫なのか、と不安の声もあがっていた。ドーピング問題に揺れ、確実視されていた金メダルも逃し、選手として未来に暗雲が立ち込め……。
しかし、この度ワリエワは楽しそうな撮影の様子をアップし、話題を呼んでいる。緑色のスカート姿のワリエワは美しい髪を風になびかせながら、白い歯をにかっと出して笑っている。とてもはつらつとした表情で、元気そうな様子にファンもほっとしたであろう。
ワリエワは2006年4月26日、ロシア・カザン生まれ。2019年ジュニアグランプリファイナル優勝、2020年世界ジュニアフィギュアスケート選手権で優勝すると、2021/2022年シーズンよりシニアに参戦。いきなりスケートカナダ、ロシア杯で世界最高得点で連勝した。
ロシア選手権では国際スケート連合(ISU)非公認ながら、自身の持つ世界最高得点を大幅に更新して初優勝を飾った。さらに今年1月の欧州選手権でも見事優勝。もはや向かうところ敵なしではあった中での北京五輪だったが、先述の通り彼女はメダルを逃してしまった。
フィギュアスケートは選手寿命の短いスポーツだ。だからこそ、ワリエワには一日一日を大切にしてほしいと願う人は多いだろう。彼女がフィギュアスケーターとして有意義に時を過ごすためには、やはり平和が絶対条件だ。彼女のこの写真からは、まるで「タレント活動」に集中することで、少しでもいまの見通しが立たない状況から気をそらそうという複雑な胸中が伝わってくる。
早く世界に平和が訪れ、天才ワリエワに、フィギュアスケートに専念できる環境を与えてほしい。