なぜテレビタレントの感染が相次ぐのか…「キー局コロナ対策の闇」 | FRIDAYデジタル

なぜテレビタレントの感染が相次ぐのか…「キー局コロナ対策の闇」

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感染者が出て撮影がストップした佐々木希主演の「ユーチューバーに娘はやらん!」(テレビ東京系)
感染者が出て撮影がストップした佐々木希主演の「ユーチューバーに娘はやらん!」(テレビ東京系)

東京都の「まん延防止等重点措置」が3月21日に解除となり、キー局の新型コロナウイルス対策もリモート出演からスタジオ出演に切り替わるなど、通常モードに戻った。ところが早々に、「めざましテレビ」や「ワイドナショー」(いずれもフジテレビ系)、「ラヴィット!」(TBS系)などで感染者が続出。MCを含めて代役だらけになるなど、テレビ始まって以来の危機に陥った。

どうしてタレントたちの感染は相次いだのか?

テレビ局のコロナ対策を探ってみると、かなりズサンな実態が見えてきた。

「某キー局の話ですが……多いときは、局内で100人くらいが感染していましたけど、クラスターが発生したとは報じられませんでした。局員だけが見ることができる掲示板があって、『〇〇に所属するスタッフ〇人がコロナに感染しました』なんてニュースが日々、アップされているんです。それを見たら単純計算で感染者が100人を超えていたんですよ。ただ、部署ごとで見ると感染者数が5人以下だったので、クラスターではないと判断されたみたい。

2020年春に『報道ステーション』(テレビ朝日系)の富川悠太アナ(45)がコロナ感染と入院を正直に告白して、かなり叩かれたでしょ? あれ以来、どこの局も批判を恐れて公表しづらくなったようです。富川アナ以前も以後も、テレビ局ではかなりの数の感染者が出ていました」(制作会社プロデューサー)

複数のキー局に出入りしている中堅放送作家は「感染者が相次ぐのはテレビ局の感染対策がズサンだからじゃないですか?」と漏らした。

「たとえば、入口に自動の体温計がおいてあるんですけど、場所によっては通常の体温より低く表示されるようになっているものもあるようなので、引っかかる人を見たことがない。個別に毎日の体温&体調チェックもやるんですけど、対象は社員とか常駐スタッフだけ。我々みたいなフリーの放送作家とか、通訳、編集マン、リサーチャーなどはノーチェックなことがほとんど。意味ないですよね」

なかでも「感染源」と目されているのが、打ち合わせだ。

「基本的にノーディスタンスなんですよ。カメラを回すときはしっかり距離をとりますけど、番組が始まる前の打ち合わせは複数のスタッフとタレントがコロナ前と同じ距離感でやっていました。あるとき、番組アシスタントを務める女子アナウンサーが誕生日だったことがあったんですが、スタッフがケーキを用意して、ろうそくを立ててフーッとやって、みんなで分けて食べていました。正直、ダメだこりゃと思いましたよ」(前出・中堅放送作家)

意外な盲点がアクリル板である。

「タレントやスタッフを飛沫から守るために、局内にはアクリル板やビニールシートが張り巡らされています。ですが、掃除しているのを見たことがない。掃除しているっていう話も聞いたことがない。以前なら、ADさんが掃除するはずでしたが、働き方改革でそういう汚れ仕事をADにさせるわけにはいかなくなって……スタッフルームのアクリル板は、下手すると2020年4月ぐらいから、そのままにされているかも。

ズサンと言えば、濃厚接触者が出た際の唾液でのPCR検査。うっかり、歯磨きやうがいをした後の唾液を入れて提出するスタッフが少なくなかった」(制作会社プロデューサー)

このプロデューサーは、「局の幹部が会食後に体調を崩してしまい、明らかにコロナ感染が疑われる症状が出たことがあったが、『感染したと判明したら内外に示しがつかない』と、体調不良とか胃腸炎という名目で休んでいたことがあった。いわゆるコロナ隠しが散見された」とも打ち明けた。

主演・永野芽郁の感染でドラマ「ハコヅメ」(日本テレビ系)は2週間の撮休に
主演・永野芽郁の感染でドラマ「ハコヅメ」(日本テレビ系)は2週間の撮休に

代役を立てて放送――という手が使えないのがドラマだ。感染者が出た途端、2週間も撮影がストップし、放送スケジュールがガタガタになるのは周知の通り。4月クールでもフジテレビ系で放送される予定だった土屋太鳳(27)主演ドラマ『やんごとなき一族』の初回放送が、感染者が出たため延期された。

「感染者が出たら放送を飛ばさなきゃならなくなる。借りていたスタジオや機材代はパーになり、弁当や人も再度手配しなきゃいけない。大損害を出さなくて済むよう、ドラマ班は可能な限りスケジュールを前倒しして撮影したり、キスシーンはリハーサルの間はマスクをして行って、本番はテイク1のみで終わらせるなどの手を打ってコロナ対策をしています。

ただ恋愛ものに密着シーンはつきものだから、限界はありますよね。口喧嘩のシーンが象徴的なドラマだと、視聴者が『あのシーンで飛沫感染したのでは?』と詮索し、批判の矛先が制作側に向いてしまったりする。だから、感染者が出ても、タレントさんの評判を下げないためにあえて発表する時期をズラすなどの工夫をして……悪戦苦闘ですよ」(アシスタントプロデューサー)

テレビ局とコロナの感染を巡る戦いはまだまだ続く。

  • 取材・文愛田プリン

    15年以上、テレビ&ラジオの世界を漂流している放送作家

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