2030年、日本が迎える「認知症マンション続出」という現実 | FRIDAYデジタル

2030年、日本が迎える「認知症マンション続出」という現実

自分の家を「負動産」にしないために

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写真/アフロ

「マンションを買うのはゴールではなく、スタートです。どこまで物件と一緒に歳を重ねられるかを見極めないと、いつの間にか自分の住む家が、自分の人生の足を引っ張る『負動産』になっている可能性もあります」

<そう語るのは、『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)の著者・日下部理絵氏だ。人生100年時代、終の棲家と思って買った物件が、築年数を重ねていくうちに老朽化し、スラム化や空室だらけの「ゴーストマンション」化する可能性も大いにあり得る。それを避けるにはどうすればいいのか、日下部氏に聞いた。>

『60歳からのマンション学』でも触れていますが、2030年には築30年以上のマンションが405万戸にもなると言われています。これはマンションストック戸数の過半数を超えます。

一方で新築マンションの供給戸数は頭打ちになっていますから、マンションを買おうとすると、二戸に一戸が築30年以上の中古物件に当たる計算です。このような状況で、私たちは自分自身と建物の「二つの老い」に直面するわけです。

たとえば、長期入院をしてほぼ自宅におらず、しかも入院費の支払いのために管理費や修繕積立金の支払いが苦しい、という高齢の住民が出てきます。また、住民が亡くなり、家族も相続放棄をして空き部屋になった、というケースも増えていくでしょう。そうすると、役員のなり手不足や資金面からマンションの管理組合の合意形成も難しくなっていきます。

築年数が経ってガタがきているマンションに、修繕積立金不足と合意形成の遅れが重なると、加速度的に老朽化が進んでいきます。マンションの顔ともいえるエントランスや植栽の立ち枯れ、設備の故障が放置されているマンションは、新しい住民が引っ越してきません。

歯抜けのように部屋が空き、残るのはほかに住むところがない、自分で売却処分できないような方のみ、ということも考えられます。身寄りのない認知症の高齢者が、ボロボロになった廊下を徘徊している……というような社会問題が生じるマンションが出てきても、不思議ではありません。

2020年に米フロリダでマンションが崩落する事故がありましたが、事故前に大規模修繕が検討されていたそうです。マンションの老朽化が進むと、より多額な資金が必要で合意形成がうまくできなくなり、重大な欠陥が放置されたりする危険性があります。「日本の住宅だから大丈夫」ということはありません。

マンションは戸建てのように、自分が決めたタイミングで修繕をしたり、更地にしたりすることはできません。ですから、自分のライフスタイルにあわなくなったら、しかるべきタイミングで家を住み替えていく必要があると思います。

従来の「住宅すごろく」は、若いうちは賃貸で暮らし、結婚したら分譲マンションへ引っ越し、資金を貯めて一戸建てを買い、終の棲家にするというものでした。ところが今では、マンションから再びマンションに住み替えたり、一戸建てからもう一度マンションに戻ったり、というのも選択肢のひとつです。

「終の棲家」や購入したら終わりという考え方はもう古く、ドライではありますが「どこまで家と共に老いられるか」、家がいらなくなったときにこの家なら売却などが見込めるだろうとゴールを設定した上で購入を検討していったほうがいいでしょう。

もちろん、「終の棲家」になりうる、いい状態のマンションもあります。いいマンションを選ぶコツは、住民の「新陳代謝」がある物件を見定めることです。一例ですが、築年数が経っていても「新築で住んだ壮年世帯」と「中古で買ってリノベーションして住んでいる若年世帯」が共存するような物件は、新陳代謝があると言えます。

今、新築マンションの駅徒歩は「7分以内」で購入するのが鉄板と言われていますし、新築では平米数を大きく取れない物件が増えてきています。物件選びの際には、こうした数字がつい目についてしまうものですが、「マンションは管理を買え」とされるように、実際に物件を見て、隣人がどんな人か、管理状況はどうか、確認しておく必要があります。

その確認の場が「内見」になります。まずは、マンションの建物を外から眺めて、ベランダの状況を確認することをおすすめします。ベランダに鳥除けのネットが張ってある場合は、鳩やカラスの被害を受けているかもしれません。大量のゴミが放置されている、物置やBSアンテナが設置されているような部屋は、ルールを守れない住民がおりトラブルの火種にもなります。

次に、実際に部屋を見るときは物件の図面ではわからない部分をチェックしていきましょう。まずは「におい」、排水口の汚れや排水管から悪臭が上がってくる場合もあります。また、意外と重要なのが「窓の高さ」です。窓が低いと、日当たりが悪い可能性があるからです。

そして重要なのが、マンションの共用部分にある掲示板を確認することです。「騒音・駐車場(駐輪場)・ペット」がマンションの三大トラブルと言われていますが、住民の間で問題が起こっていると、掲示版に注意文やお願い文が張り出されているかもしれません。修繕やリフォームの進捗状況など概況も確認できる場合もあります。

今、都市部のマンション価格は高止まりが続いています。20代は高すぎて買えない、30-40代は子育てや仕事の制約で気軽に引っ越せない、一方で全国的に見ると部屋は余っているという、いびつな市況になっています。マンションは「買う」よりも「売る」方がよっぽど難しく、誰もそのやり方を教えてくれません。自分が人生で何回家を住み替えるのか計画するのに、早すぎるということはないでしょう。

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