猛毒サリンか…ロシアが化学兵器使用で不安視される「戦慄の結末」 | FRIDAYデジタル

猛毒サリンか…ロシアが化学兵器使用で不安視される「戦慄の結末」

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マリウポリに立てられたウクライナ人犠牲者のための十字架。民間人1万人以上が亡くなったという(画像:ロイター/アフロ)
マリウポリに立てられたウクライナ人犠牲者のための十字架。民間人1万人以上が亡くなったという(画像:ロイター/アフロ)

「製鉄所の出入口をふさぎ、化学部隊の手でいぶり出すのが簡単だろう」

こう不穏な発言をしたのは、ロシアの支援をうける「ドネツク人民共和国」のバスーリン報道官だ。

ロシア軍が、ウクライナ東部ドネツク州の要衝マリウポリへの攻勢を強めている。同市のボイチェンコ市長は、民間人1万人以上が死亡したと指摘。マリウポリにはウクライナ国家親衛隊の精鋭「アゾフ連隊」が配置されているが、海外沿いのアゾフスタル製鉄所に追い込まれ、地下に潜んで抵抗を続けている。4月11日、「アゾフ連隊」は悲痛なメッセージをツイッターに投降した。

「ロシア軍がマリウポリのウクライナ軍と民間人に、無人航空機から有毒物質を投下した。複数の犠牲者が呼吸困難に陥っている」

地元メディアは、「有毒物質」がサリンではないかと報じている。1立方メートルに100mg散布しただけで、そこにいる半数の人が命を落とすという猛毒だ。日本でも95年3月にオウム真理教が地下鉄内にサリンを撒き、多くの人々が亡くなっている。

シリアでも使用した司令官が指揮

ロシア軍は化学兵器の使用を否定しているが、冒頭で紹介したバスーリン報道官の発言は看過できないだろう。

15年9月からロシアが介入したシリア内戦では、反政府軍に対し実際にサリンが使われたことが国連の調査により判明しています。ロシア軍がシリア軍にサリンの使用方法を教え、1000人以上が殺害されたとされる。

中心的な役割を果たしたといわれるのが、シリア駐留軍の総司令官だったドボルニコフ氏です。ドボルニコフ氏は、4月9日からウクライナ全戦域を統括する司令官に就任しました。ウクライナにも、多数のシリア人傭兵が投入されています。ドボルニコフ氏の指示で、彼らがサリンを使用してもおかしくありません」(全国紙国際部記者)

一瞬にして多数の人の命を奪うサリンの使用は、明らかな国際法違反だ。なぜロシアは、非人道的な兵器まで投入するのだろう。ロシア情勢に詳しい、筑波学院大学の中村逸郎教授が語る。

「ウクライナ軍の予想外の反撃に焦っているんです。第2次世界大戦でナチス・ドイツを破ったとされる5月9日の『対独戦争記念日』は、ロシアにとって大切な日です。プーチン大統領は、なんとしても記念日までに成果をあげたい。『ネオナチ』とみなすウクライナを倒し、第2の勝利宣言をしたいんです。そのために手段を選ばず、化学兵器の使用にも踏み切る可能性があります

米国のバイデン大統領は、以前から「ロシアが化学兵器を使えば厳しい対抗措置をとる」と警告している。今後ウクライナで予想されるのは、戦慄の展開だ。中村教授が続ける。

「米国やNATOは、黙っているわけにはいかないでしょう。特に米国はシリアでロシアが化学兵器を使った事実を黙認し、撤退してしまった苦い過去があります。ウクライナでの化学兵器使用の確証が得られれば、参戦する可能性が高い。ロシア軍は、圧倒的な劣勢に立たされます。追い込まれたプーチン大統領が、核兵器の使用に踏み切る危険性も十分に考えられます」

日に日に凄惨な様相が濃くなるウクライナの戦況。化学兵器の使用が事実ならば、戦争の結末は悲劇的なものになってしまうかもしれない。

  • 写真ロイター/アフロ

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