日比谷公園で「怪死」した凄腕社長が本誌に語っていたこと | FRIDAYデジタル

日比谷公園で「怪死」した凄腕社長が本誌に語っていたこと

1年弱が経ったいまでも金融業界では「謎の事件」と囁かれている「maneo社長自殺事件」。その真相に、死亡した社長とコンタクトを取り続けていた本誌記者が迫った。

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昨年6月に亡くなった瀧本氏

「CENEGENICS JAPANの中の者です。情報提供させていただく(原文ママ)ご連絡しています。お手隙の際にご連絡頂けると嬉しいです」

筆者の携帯に、登録していない番号から一本のショートメールが届いたのは、’21年1月4日のことだった。それから約5ヵ月後の’21年6月8日、メールの送り主は、東京・霞が関の日比谷公園の多目的トイレの個室内で遺体となって発見された。

瀧本憲治氏(享年49)。投資家と企業をネット上で結ぶソーシャルレンディング(以下「SL」)というビジネスモデルを確立し、「金融界の革命児」と称されたこともある人物だ。

「手首を切っており、近くには刃物が落ちていたそうです。8日午前4時頃、清掃員が発見し、現場で死亡が確認されました。個室には鍵がかけられており、自殺だとみられています」(全国紙記者)

瀧本氏は、自らも「maneoマーケット」(以下「maneo」)というSL会社を経営していた。だが、急速に拡大したSLビジネスは破綻が相次ぎ、maneoも金融庁から’18年に業務改善命令を受け、’19年に売却している。

一方で、投資家としての活動はその後も続け、’20年にはメキシコで新型コロナの治療薬開発の治験を行っているとして注目を集めていた医療ベンチャー『テラ』にも多額の投資を行っていた。そのテラと治療薬の共同研究を提携し、メキシコで実際に治験を行っていたとされていたのが「CENEGENICS JAPAN」(以下「セネ社」)である。

筆者にメールが届いた当時、瀧本氏は投資家としてだけでなく、「セネ社顧問」として内部事情を熟知する立場にあった。送られてきたのは、告発のメールだったのだ。

瀧本氏の遺体が発見された日比谷公園のトイレ

「現在の代表取締役の許可を得て、昨年11月から顧問に就任しています。実質的にセネ社を仕切っていた元役員がインサイダー、相場操縦、詐欺等の違法行為を行っており、刑事的な法律違反を立証できる証拠書類を確保しています。私自身が録音した元役員の音声もあります。これらがその一部です」

‘21年1月5日の最初の取材で、瀧本氏はそう言いながら机に偽造されたものだという多数の通帳や印鑑、振込伝票などの「証拠資料」を広げてみせた。

「告発本や『カバチタレ』のような漫画ではどうでしょう」

そう、告発の意欲を話していたのである。瀧本氏は弊誌への告発とほぼ同時期に、「テラセネ劇場・カネと嘘」というブログを立ち上げており、そこでも資料、音声を公開、元役員の違法行為を追及し始めていた。

その後、2月にかけて数回行った取材でも告発・公開の姿勢は変わることなかった。それだけに、「自殺」の第一報を聞いた時の驚きは、とても言葉では言い表せない。金融業界でも、瀧本氏と交友のある人ほど「彼に限って自殺はありえない」と衝撃が広がった。

事実、不可解な事態も起きている。

「自殺当日に民放キー局が流した自殺のニュースが、すぐに削除されました。『どこからか圧力があったのでは』と噂されました。それに、あの多目的トイレは、外からでも鍵を掛けようと思えば掛けられるのです。一時、事件性が疑われたことは事実でした」(前出・記者)

瀧本氏の「死」は、本当に自殺だったのか、もし自殺ならば、告発の意欲を示していた人間がなぜ自ら命を絶ったのか――。瀧本氏が亡くなって以降、彼と親交のある関係者に取材を続け、その理由と思われる事実にたどり着いた。以下は、そのレポートである。

 

プライベートのときの瀧本氏。知人提供

最初に、瀧本氏が筆者の携帯に連絡をとってきた経緯から触れておきたい。

弊誌FRIDAYでは、’20年6月に『新型コロナ治療薬開発は本当か?』という記事を掲載している。テラ・セネ両社が臨床研究をしているというメキシコの病院を現地取材し、「日本の会社による治験や新療法の話は聞いていない」という見解を得るなど、治験の実態に疑義があることを報じたものだ。その際、両社に取材申請をしているが、「その取材申込書に(筆者の)携帯番号があったのをみて連絡しました」(瀧本氏)という。

弊誌が指摘した、「セネ社のメキシコでの治験の実態に疑義がある」点について、瀧本氏はこう答えていた。

「実態は正直分からないが、テラは上場企業であり随時治験のリリースも出している。高い確率で信用している。ひょっとして芽があるかもしれないものを摘んでしまうことは、いけないことだと思っている」

ここで、一つの疑問が沸き上がる。テラはジャスダックに上場している。治験を行っているとされる当のセネ社の顧問が、内部の不正を告発することは株価にも当然大きな影響を与える。不正告発は、矛盾しているのでないか、ということだ。瀧本氏は、

「最初にセネ社に投資を決めたのは、元役員と出会ったことから。ですが、その後、裏切られ続けたのです」

そう、告発の理由を語っていた。

「元役員」とは、今年2月から3月にかけて東京地検に金融商品取引法違反等で逮捕、起訴された竹森郁(かおる)被告である(’20年12月に役員辞任)。

今年3月に逮捕された、竹森被告

「テラの株価を吊り上げるために、虚偽の情報を公表した容疑です。’20年10月にテラが第三者割当増資を実施し、セネ社から約35億円を調達すると発表した際、実体のない飲食店経営会社の口座に約75億円の資金があるという虚偽の情報を開示した等というもの。実際には、その口座には数十万円の資金しかなかったそうです」(全国紙司法担当記者)

瀧本氏は、竹森被告との出会いをこう語っていた。

「知人の紹介で竹森氏に会ったのが、’20年10月20日。私が出資していた友人のあるプラントに、彼が7億円も出資していて、友人が感謝していたのです。今時、珍しく『男気』がある人間だと思いました。それもあって、メキシコでの治療薬開発の治験の話を聞いた時、応援したい気持ちになりました。

『新型コロナはウイルスで死んでいるのではない。間質性肺炎で炎症を起こして死んでいる。アビガンやレムデシビルは炎症を抑えるもので根本的な解決にはならない』という説明にも関心が持てたのです。他人の幹細胞を用いたセネの治療薬はロジックとしてはあっていいし、大きく張ってみようという気持ちでした(注:日本では他人の幹細胞を用いた治療は禁止されている)。

合計で10億円を超える額をセネ社に投資しました。もちろん株を担保に取っていて公正証書も作っています」

これだけ精力的に動いていた瀧本氏がこの世を去った理由は、いったいなんだったのか。

(後編に続く)

  • 取材・文長谷淳夫撮影結束武郎(竹森容疑者)

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