「令和の怪物」佐々木朗希 圧巻の投球を球界レジェンドが分析! | FRIDAYデジタル

「令和の怪物」佐々木朗希 圧巻の投球を球界レジェンドが分析!

13者連続を含む一試合19奪三振、史上最速最年少で達成など記録ずくめ 「28年ぶりの完全試合」その時、ZOZOマリンスタジアムは……

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完全試合を決めた瞬間の佐々木。佐々木はこれがプロ初完投だったが、初完投での完全試合達成も史上初
完全試合を決めた瞬間の佐々木。佐々木はこれがプロ初完投だったが、初完投での完全試合達成も史上初

「試合はネット中継で観戦していました。三振記録をすごく伸ばしそうだなと思いながら観ていたんですが、まさか完全試合を達成するとは思いませんでした。どんどん成長しているので、日々楽しみが増えています」(大船渡高校時代のコーチ・新沼丞氏)

4月10日、ロッテの佐々木朗希(ろうき)(20)がオリックス戦で完全試合を達成した。巨人の槙原寛己(58)が’94年に達成して以来、実に28年ぶりの快挙となる。さらに、史上最年少(20歳5ヵ月)&最速(プロ通算14試合目)での完全試合達成に加え、13者連続奪三振(プロ野球新記録)、一試合19奪三振(プロ野球タイ記録)など、記録ずくめのピッチングだった。

本誌記者はその現場に居合わせていた。時折、涼しい風は流れ込むものの、ZOZOマリンスタジアムには夏のような日差しが照りつけていた。5回までは観客も「ノーヒットノーランぐらいやるかもな」「最低でも完封してほしい」と軽口を叩き合っていた。

空気が変わったのは7回だった。先頭の後藤駿太(29)に対して3ボール0ストライクという厳しいカウントにしてしまったものの、ライトフライで切り抜けた。すると2番のブレイビック・バレラ(30)をセカンドゴロ、3番の好打者・吉田正尚(まさたか)(28)を163㎞/hのストレートで見逃し三振に仕留めた。このあたりから徐々に客席もザワザワとし始めた。

「あと6人!」と大声を出した男性が同行者に口をふさがれ、抑えこまれる一幕もあった。8回裏に記者がトイレに立つと、通路や売店にほとんど人がいない。皆、歴史的な光景を見逃すまいと席から立とうとしていないことがわかった。

9回は異様な雰囲気だった。一球ごとに大きな歓声があがり、しばらくざわめきが収まらない。2死から代打に「ラオウ」こと杉本裕太郎(31)が告げられると、「ラオウ、空気読めよ!」と心無いヤジも飛んだ。しかし、最後も佐々木が圧巻の三球三振でラオウを仕留めると、スタジアムからは大きな歓声、そしてなにより佐々木を称える拍手がなかなか鳴りやまなかった。

試合後、ヒーローインタビューで佐々木が「(完全試合は)正直あまり意識していなかった」と語ると、スタンドからは「嘘つけ!」と笑い声があがった。

ロッテOBであり、’73年に完全試合を達成した八木澤荘六氏(77)が佐々木に賛辞を贈る。

「私の場合は、7回と9回が一番難しかったです。7回の先頭打者は出塁率が高い1番打者ですし、私のときは『あと9人か』と完全試合を意識してしまった。佐々木投手も、あの日唯一の3ボール0ストライクというカウントは7回の先頭打者でした。もしかしたら、私と同じように完全試合を意識してしまったのかもしれません。9回は私は強烈なプレッシャーで、口から心臓が飛び出るほど緊張しました。対して佐々木投手は9回も堂々としたピッチングでした。あの若さでたいしたものだと思います」

佐々木はかねてから、その才能、ポテンシャルの高さが称賛されてきた。しかし、なぜこの若さで、これだけの快挙を成し遂げられたのか。ロッテOBで、野球解説者の牛島和彦氏(61)が語る。

「もちろん最速164㎞/hのストレートに140㎞/h台後半のフォークなど、投げているボールがものすごいというのはあります。とくにフォークは、左打者にはシュートさせて、右打者にはスライドさせるという高等テクニックを使っています。加えて、佐々木の優れているところは、投げるたびに成長しているところです。今年のオープン戦では時々高めに浮く球がありましたが、この日は少なかった。春先には抜けることが多かったフォークも、キレが素晴らしかった。1試合ごとに課題が改善されているのです」

これまで完全試合とノーヒットノーランの両方を達成した投手は史上3人しかおらず、完全試合を2度達成した人間は一人もいない。しかし、佐々木であれば、どちらも軽々と成し遂げてしまう気がしてならない。

試合後、観客席に手を振って声援に応える佐々木。毎回奪三振での完全試合も今回が初めての快挙となる
試合後、観客席に手を振って声援に応える佐々木。毎回奪三振での完全試合も今回が初めての快挙となる

『FRIDAY』2022年4月29日号より

  • PHOTO共同通信社

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