パパ活をしていた大学生を殺した被告が「訴え続けた主張」 | FRIDAYデジタル

パパ活をしていた大学生を殺した被告が「訴え続けた主張」

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千葉地裁(写真:共同通信)

昨年5月に市川市の住宅で男子大学生を刺殺したとして殺人罪などに問われていた男の裁判員裁判判決が3月18日、千葉地裁で開かれ、安藤範樹裁判長は男に懲役17年の判決を言い渡した(求刑懲役20年)。

パパ活をしていた男子大学生と性的関係をもった

トラック運転手の斉藤陽一郎被告(37)は昨年5月10日、男子大学生のAさん(21=当時)をペティナイフで刺すなどして殺害したのちに、住宅に放火しようとしたとして、殺人と放火予備の罪で起訴されていた。逮捕当初、ふたりは「知人」の関係にあると報じられていたが、斉藤被告は、Aさんに対して知人以上の気持ちを抱いていたことが公判で分かった。

冒頭陳述などによると、Aさんは女装してデートなどを行い、金銭を得るパパ活を行っていたとされる。被告は性的関係を持ったうえでAさんに金銭を渡していた。もともと妻子がいたが離婚後に気分が落ち込み、酒量が増えていたという被告にとっては、被害者が心の拠り所だったのだという。

事件は、Aさんが被告に絶縁を告げたことがきっかけだったことには争いがなかった。だが検察側は冒頭陳述で「被告がAさんから絶縁を告げられたことから絶望し、犯行に及んだ」と主張。対する弁護側は「焼身自殺を試みようとしたなかで突発的にAさんを刺した」ことや「犯行当時は心神喪失の状態にあった」ことを主張していた。

被告人質問で被告が語ったところによれば、出会いはSNSではなく、道の駅だった。

「バイクが趣味で、2020年に道の駅で、偶然被害者と出会った。被害者は女装していて、面白いやつがいるなと思った。翌年の1月3日に2人で飲んで、深く話し合い、それからしばらくして肉体関係を持つようになりました。被害者はいつも女装していました」

複数回会ったAさんに被告は、お金を渡すだけではなく、自分の所有していたバイクや、100万円を渡してもいた。

これはAさんから「お金がないので体を売る」と言われたことから、プレミア付きのポケモンカードを売って作ったお金だった。当時、被告には肉体関係のある女性も複数いたという。Aさんに対する気持ちは「当初は恋愛だったけど友情でもいいかと思うようになった」と、変化もあったと語ったが、突然絶縁を告げられてしまう。そして事件を起こしたのだという。

「自殺しようと思い、被害者の所に行った。気がついたら被害者が倒れていた」

本当に犯行当時の記憶がないのか。公判では、被告に対して簡易精神鑑定を行った医師が証人として出廷し、医師との面談で被告が事件についてどう語っていたかも明らかになった。

「被害者から、付き合いを終わりにするというようなことを言われてショックを受けただけでなく、2人の共通の知人も被害者の側に立ったことにショックを受けたと言っていました。また、昔から、落ち込んだ時に漠然と『死にたい』と思うことがあったが、当日はスイッチが入ったように、本気で死にたくなったのだそうです」(医師の証言)

そして「ナイフとガソリンを持ち、被害者宅に行き、自分が死にたいはずだったのに、被害者を見たら殺してしまった。その後、自分もガソリンをかぶったが、ライターで火がつかず、建物には他に人もいるのではと思い、急に我に返った」と医師には語ったという。犯行当時の精神障害の有無については、ないという結論を下した。

「自分が刺される夢を見た」というが……

「本人はとても被害者のことを大切に思っていた。それが裏切られ、信頼していた知人からも被害者の立場に立たれ、失望が大きいだろうと思いました。端的に言えば、本当に頭にきちゃったんだろうなと。でも醒めたら、我に返ったのだろうなと思います」(同)

刺した時の記憶がないと主張していた被告だったが、被告人質問では「事件のことが夢に出てきて、被害者と自分が入れ替わり、自分が刺される夢を見る……あんな怖い思いをさせてしまった。申し訳ない思いでいっぱい」と、早口の小声で反省を述べながら、自分が刺される夢を見ていることを明かした。夢の中では、役割が入れ替わりながらも、記憶がないはずの事件の様子を再現できていたのだろうか。

Aさんの遺体には防御創はなく、背中などに多数の刺し傷があった。検察側は論告で「突然襲われた恐怖や苦痛は言い表せない。被害者が絶縁を告げたことがきっかけだが、被害者の交友関係に干渉するなどの被告の言動に起因している」として懲役20年を求刑したが、裁判所は「絶縁を告げられたことが大きな苦痛になったのは理解できるが、正当化される余地はない」と懲役17年を言い渡した。犯行当時に心神耗弱だったという弁護側の主張は認められなかった。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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