ありがとう!藤子不二雄Aさんの親族が明かす「晩年の姿」 | FRIDAYデジタル

ありがとう!藤子不二雄Aさんの親族が明かす「晩年の姿」

追悼 夢をありがとう! 柴田理恵を救った言葉、いきつけの寿司屋の大将が驚いた酒豪伝説、親族が見た晩年の姿

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’20年8月に撮影された『ひろ寿司』店主の森山さんとのツーショット。冬はひれ酒、夏はウーロンハイを頼んでは、森山さんや客と談笑した
’20年8月に撮影された『ひろ寿司』店主の森山さんとのツーショット。冬はひれ酒、夏はウーロンハイを頼んでは、森山さんや客と談笑した

巨匠がまた一人、人生に幕を下ろした。

『怪物くん』や『忍者ハットリくん』、『まんが道』などの人気作を手掛けた漫画家の藤子不二雄Aさん(本名・安孫子素雄)が、4月7日に88歳でこの世を去った。

社交的な性格で出版業界以外にも友人が多かったAさん。タレントの柴田理恵(63)もその一人だ。

「初めてお会いしたのは30年ほど前。六本木の『ホワイト』というバーでした。俳優の小林薫さん(70)に呼ばれて行くと先生がおられた。当時から作品の大ファンだったので『安孫子先生』とお呼びしたら、『あびちゃんでいいよ』と言われて。それ以来、ずっと『あびちゃん』と呼ばせてもらっています」

当時はまだ30代前半だった柴田。仕事がなかなか軌道に乗らず悩んでいたが、同じ富山県出身の大先輩、あびちゃんの言葉に勇気づけられた。

「『やるならとことんやれ。真剣にやれ』と一喝されました。それから、『俺は真剣にやった。誰にも負けないくらい調べて、勉強した。やりたいことがあるなら徹底的に勉強しなさい。そうすれば大丈夫だ。頑張れ』と応援してくれました。その日は真夜中まで3人でウイスキーを片手に、いろんな話をしました。いいお値段のするお店でしたが、おごってもらっちゃって(笑)。忘れられない夜ですね」

寿司屋『江戸前 ひろ寿司』店主の森山勝利さんとは30年来の親交があった。

「交友関係は本当に広くて、2年前にウチに来たときだったと思いますが、『最近、井上陽水(73)と六本木のクラブで飲んで、一緒にカラオケを歌った』と楽しそうに話してくれて驚きましたね。その一方で、大御所なのに若いお客さんが声を掛けても嫌な顔一つせずに一緒にお酒を飲む。とにかく気さくな方でした」

大のゴルフ好きとしても知られたAさん。かつては月に15回以上もラウンドしていたという。いきつけの割烹『ふく田』の店長・黒田哲郎さんが言う。

「『東京よみうりカントリークラブ』のメンバーだった先生は、ゴルフ後にウチに来て飲むのがルーティンだったようです。夕方から夜10時ごろまで飲んで、それから銀座や六本木へ繰り出す。つぶれている姿は一度も見たことがありません」

愛弟子で『まいっちんぐマチコ先生』などの作品で知られるえびはら武司さんは、仕事場での素顔を教えてくれた。

「A先生は職場でも明るくて、気遣いの人でした。アシスタントが体調悪そうにしていると必ず『大丈夫か?』って声を掛けてくれる。スタッフが疲れてきたなと感じたらトークで盛り上げる。盛り上がりすぎてF先生(藤子・F・不二雄)から別室に移動させられたこともありました(笑)。仕事終わりにはよく『一緒においで』と飲みに誘ってもらいました。香港やマカオのカジノに連れて行ってもらったこともあります。

僕が漫画家として一人立ちするとき、先生に『来た仕事は絶対に断るな』と声を掛けてもらいました。『どんな仕事でも君を必要としてるんだから絶対に断っちゃダメだよ』って。その言葉は、いまも大切にしています」

いつも明るく元気な姿を見せていたAさん。しかし親族はわずかな”違和感”に気づいていた。Aさんの実家、光禅寺で住職を務める甥の菊池耕一さんが明かす。

「3月下旬に誕生日を祝いに自宅に行ったんです。元気そうにしていましたが、心なしか物静かというか、寂しそうな感じがしました。実は3年前に奥さんが病気で療養施設に入所して以来、一人暮らしだったんです。昨年9月にはゴルフ仲間で公私ともに仲がよかったさいとう・たかをさん(享年84)も亡くなった。本人は明るく振る舞っていましたが、内心、孤独を感じていたと思いますよ」

’51年に『天使の玉ちゃん』(毎日新聞社)でデビューして以来、’15年の『PARマンの情熱的な日々』(集英社)休載まで「まんが道」を邁進し続けてきたⒶさん。漫画も、それ以外の功績も色あせることはない。

’75年に開かれたえびはらさん(前列右から2番目)の送別会。前列中央のサングラスの男性がⒶさん、後列左のベレー帽の男性が藤子・F・不二雄さん
’75年に開かれたえびはらさん(前列右から2番目)の送別会。前列中央のサングラスの男性がⒶさん、後列左のベレー帽の男性が藤子・F・不二雄さん
’97年の『赤塚不二夫展』で、赤塚不二夫さん(中央)、加藤芳郎さん(右)と一緒に記念撮影。赤塚さんとは’50年代にトキワ荘で出会って以来の仲
’97年の『赤塚不二夫展』で、赤塚不二夫さん(中央)、加藤芳郎さん(右)と一緒に記念撮影。赤塚さんとは’50年代にトキワ荘で出会って以来の仲
’18年に自身の仕事場で撮られた一枚。晩年は落語を始めるなど、亡くなる直前まで挑戦する姿勢を忘れなかった
’18年に自身の仕事場で撮られた一枚。晩年は落語を始めるなど、亡くなる直前まで挑戦する姿勢を忘れなかった

『FRIDAY』2022年4月29日号より

  • PHOTO産経新聞社(3枚目)

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