秀岳館高校 コーチ暴力疑惑動画で「生徒が謝罪」の本末転倒 | FRIDAYデジタル

秀岳館高校 コーチ暴力疑惑動画で「生徒が謝罪」の本末転倒

「暴力は日常ではない」「暴力に理由があった」なら、許される?

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サッカー部のコーチが生徒を蹴っている動画がSNSに上がった。翌日、生徒たちは「謝罪」の動画を作り、拡散を呼びかけた。この学校でなにが起きたのか 写真:AFP/アフロ
サッカー部のコーチが生徒を蹴っている動画がSNSに上がった。翌日、生徒たちは「謝罪」の動画を作り、拡散を呼びかけた。この学校でなにが起きたのか 写真:AFP/アフロ

熊本県、秀岳館高校サッカー部。4月21日にSNSで拡散された「コーチが生徒に蹴りを入れる」動画が大きな波紋を呼んだ。

「生徒が撮ったその動画を見て、驚きました。無抵抗の子の尻に、大人が蹴りを入れている。背中を殴る『ぼこっ』という音まで聞こえました。運動部に属する子をもつ親として、胸が締め付けられる思いです」(高校生の保護者)

さらに翌22日には、驚天動地の事態が起こった。この件で3年生の部員たちが「謝罪動画」を公開したのだ。動画は2分20秒。主将の生徒がまず話し、続けて、暴行を受けた当事者の生徒が状況を説明、動画を撮ってSNSにあげた2人の生徒が話し、最後に画面の11人が深々と頭を下げ、「今回の騒動」について「謝罪」をした。

「一見して、痛ましいとしか言いようがありません。生徒たちは顔を出し、名前を名乗ってこの動画に出演しています。なぜ、こんなことをしなければならないのか。理由がどうあれ、暴力による『指導』は、あり得ません。ふつうの学校では許されない行為なのに、その被害を受けた生徒が謝罪するとは…」(都立高校教員)

これは、生徒たちの自主的な行為なのか。だれかに強要されたのではないか、という声もあるが、

「彼らにとっては、自分たちのキャリアがかかっていますから。高校サッカーの選手たちの『進学』は、コーチら指導者の気持ちひとつ。このことで、大学進学の道が絶たれたら困るのは生徒です。思いがけず大ごとになって慌てているのかもしれません」(高校サッカー関係者)

秀岳館はスポーツの「名門」校。サッカー部には、男女あわせて200人を超える部員がいるという。

秀岳館高校はかつて野球部でも、2016年のセンバツで、選手による『サイン盗み疑惑』が起きている。今回の暴力事件を知って、ああ、秀岳館か、と思いました。プロ野球選手、サッカー選手を輩出している強豪校ですから、全国から生徒が集まってくる。学校というより、養成機関のようなものと思ってます」(同前)

スポーツで進学をしたい、将来の職業に結びつけたいという思いがあるから、そんな「指導」に不平不満をもってはいけない…生徒たちがそう思って「自主的に」謝罪動画を作り、公開したのかもしれない。

けれども、この子たちに「そんなこと」をさせてよかったのだろうか。冒頭のある保護者はこういう。

「動画をみて、涙が出ました。今、運動部活動に夢中になっている息子がいますが、こんな世界に置きたくない、と心から思いました」

暴力による大きな戦争が世界を揺るがせている。戦争を仕掛けた側には「彼らなりの暴力の理由」がある。

人生を選ぶのは本人の意思だ。世界に向けて、動画で「謝罪」した秀岳館の生徒たち、また同じような環境にある子どもたちが、よりよい人生の選択ができるよう願ってやまない。

  • 写真AFP/アフロ

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