「ブラック企業」投稿も…知床観光船「大惨事を招いたズサン経営」 | FRIDAYデジタル

「ブラック企業」投稿も…知床観光船「大惨事を招いたズサン経営」

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海上から搬送された被害者。4月25日午後1時現在11人の死亡が確認されている(画像:時事通信社)

〈ブラック企業で右往左往です〉

今年3月、自身のフェイスブックにこう投稿したのは豊田徳幸氏(54)。北海道知床沖で26人の乗員乗客とともに行方不明となった、観光船「KAZU1」(以下「カズワン」。全長12m、19トン)の船長だ――。

「カズワン」が事故にあったのは4月23日午後。風速16mを超えていたにもかかわらず、なぜ「カズワン」は母港のウトロ港から出航したのだろうか。気象予報士で「ウェザーニュース」会長の森田正光氏が語る。

「寒冷前線の影響で、北海道東部の外海の風は猛烈に強い状況でした。海上強風警報が出され、直線距離でウトロから60kmほど離れた網走の最大瞬間風速は25m以上。つまり台風のような猛烈な風が吹き、『カズワン』のような小さな船はひとたまりもない状態だったんです。

一方、23日午前のウトロ港の風速は3mから5mでした。それほど強くありません。あくまで推測ですが、『カズワン』の運営会社はウトロ港が穏やかだったため出航しても大丈夫と判断したのでしょう。沖の荒れようを予測できなかったのだと思います」

運転経験が浅いのに1人で2隻……

「カズワン」船長の豊田氏(フェイスブックより。背景など画像処理しています)

強行出航が招いた大惨事。26人の安全を任された船長と運営会社「知床遊覧船」の責任は、天候の予測ミスでは逃れられるハズもない。地元の多くの人が、「風が強くなり海が荒れる予報が出ていたのに無謀な判断だ」と首をかしげている。豊田船長は、どんな人物だったのだろう。

「埼玉県内の中学と高校を卒業し、18年7月まで『日本水陸両用車協会』という団体で水陸両用車の普及に努めていたそうです。勤務先は長崎でした。知床に来たのは、2年ほど前だとか。ただ最近は、北海道の荒々しい海での運転経験が浅いにもかかわらず1人で2隻の船を任され、肉体的にも精神的にもだいぶ参っていたといわれます。

性格は寡黙でマジメ。会社からの要求を断ることができず、追い込まれていたのでしょう。フェイスブックに『ブラック企業』投稿をしたのも、疲弊した日々が背景にあったのだと思います」(全国紙社会部記者)

国土交通省によると、「カズワン」は昨年だけで2回事故を起こしている。5月に海面に浮いたロープに接触し乗客3人が軽傷。6月には、出航後まもなく浅瀬に乗り上げ座礁した。豊田船長は座礁事故について、業務上過失往来危険容疑で今年1月に書類送検されている。背景には、運営会社のズサンな経営体質があったようだ。

「地元で『知床遊覧船』の運営が問題視され始めたのは、16年ごろからです。登記簿情報を見ると、当時経営陣が大幅に変わっている。安全よりビジネス重視の方針となり、昨年3月までに反発した熟練スタッフが5人も辞めたと聞いています。

同時に経験不足の船長や船員が増え、岸に近づき過ぎたり座礁するなどのトラブルが急増したとか。『カズワン』も度重なる事故で、船首に数十cmにわたるヒビが入っていました。地元では強引な運営の仕方に、疑問の声が上がっていた。キャリアの浅い豊田船長も、かなり苦労していたのだと思います」(同前)

4月25日午後5時現在、「知床遊覧船」は報道陣の取材に対応していない。26人の命を危険にさらした大惨事に対する、説明が求められる。

  • 写真時事通信社

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