五輪へ急成長中!専属コーチが語る卓球・早田ひなの進化の秘密 | FRIDAYデジタル

五輪へ急成長中!専属コーチが語る卓球・早田ひなの進化の秘密

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専属コーチになって8年目を迎えた石田さん(左)。公私にわたって早田をサポートしている

早田ひな(21)の快進撃が止まらない。東京五輪でのサポートメンバーという悔しい経験を経て、9月のアジア選手権ではシングルスを含む3冠を達成。最新の世界ランキングは伊藤美誠の4位に次ぐ、6位まで上昇させている(4月20日時点)。

そんな早田の成長を最も間近で支えてきたのが専属コーチの石田大輔さん(42)だ。石田は早田が所属した福岡県の「石田卓球クラブ」で卓球を学び、筑波大学へと進学。卒業後は大阪に本社を置く大手企業に勤めていたが、早田との出会いで人生が動き出したと回顧する。

「小学校からとんでもなく練習する子でしたが、中3の時にはその“深さ”が変わっていた。もうね、文字通り全身全霊で卓球に向き合っていて。当時14歳のひなをみて、『自分の人生でこれだけ何かに打ち込んだことがあるか』と自問自答したんです。いろんな人に専属コーチという選択の是非について聞かれますが、後悔は全く無いですね」

専属コーチとなり8年目を迎えた石田のことを、早田は「お父さんとお母さんが一緒になった感じ」と表現する。親と子ほど年が離れた2人だが、石田は早田の健康管理のために毎日食事を作るなど、公私共に多くの時間を過ごしてきた。

「ひなは一度にたくさんの量を食べるよりは細かく数回に分けて食べることが多い。必要なエネルギー補給のために、練習の合間に鶏むね肉の低温調理などの消化が良いものを僕が作っています。朝スーパーで鶏肉を買って、練習して、昼に料理してまた練習の日々です(笑)。でも、性分に合っているのか、楽しみながらやっていますよ」

そんな石田からみて、ここ3年間で最も早田の変化を感じたのは、技術的な部分よりもその内面だという。もともと自己表現が苦手で、周囲に遠慮しすぎる子、と映っていた。個人競技のトップアスリートでは珍しい性分ともとれるが、その人間性ゆえに早田を支えようという人が多いというのが石田の考えでもある。

「性格で言うと、本当に真面目にコツコツやる子です。コツコツという言葉にすれば簡単ですが、本当に我慢強く、休むことなく10年以上も継続して取り組んでいるものもあります。もともとは気配りが出来る子で、例えば戦術的な話でこうしたらいいんじゃない、と助言しても噛み締めて静かに頷くようなタイプ。不器用なところもあって、高校生ぐらいまでは、納得出来ていない部分でもそれを自発的に伝えるというようなこともほとんどしなかった。

裏では、日々納得するまで練習をやり遂げようと、誰よりも練習しますし、どんなに時間が過ぎようとも、私だけでなく関わってくださる皆さんがひなをサポートしてくれます。それがここ3年で自分の感覚や意見を頭の中で素早くまとめてアウトプット出来るようになり、どんな練習が必要か、と考えひなから発信するようになった。そこから格段に心も強くなったと思います」

昨夏の東京五輪では、早田は代表争いに敗れサポートメンバーとして1ヵ月を過ごした。早田は時に深夜2時を回る頃まで、代表メンバーのバックアップに奔走し、わずかに空いた時間で自分の練習もするというハードな日程でもあった。五輪を終えて交わした言葉に、確かな成長を感じたと石田は振り返る。

「精神的にも肉体的にも疲れただろうし、本心では辛い部分もあったはず。でも第一声は満面の笑顔で、『本当に感動しました、この目で見れて幸せでした、楽しかったです』だった。悔しさよりも、キツさよりもまずそこが最初に出る天真爛漫さが、ひななんですよ。僕らもヘトヘトでしたが、『疲れた』とは一切言えずに終わりました(笑)。本当に大したものだし、同時にもっともっと強くなるな、とも思いましたね」

事実、石田の予感の通り五輪後の早田は勝ち星を重ねていく。アジア選手権では3冠を獲得し、国際大会も含めた中で15連勝を記録するなど、シングルだけではなく、ダブルス、混同ダブルスの種目でも無類の強さも見せつけている。パリ五輪最初の選考会となった「ライオンカップ」でも五輪組を差し置き優勝。名実ともに日本のトップ選手として認知されつつある。

試合になれば険しい表情で雄叫びをあげる早田だが、卓球を離れると性格が変わる。休憩中などはリラックスムードで「GENERATIONS」の音楽に合わせて踊り、ニコニコと会話を楽しんでいたかと思えば、数秒後には突然眠っているような天然な一面もあるという。

「どこにでもいるような普通の女の子で、むしろ同い年の子よりも普段はボーッとしている時間が長いかも」と石田は笑う。

オンとオフのスイッチがはっきりしているのが早田の特徴でもあった。しかし、近年ではそのスイッチが完全にオフになることがなくなった、とも石田は感じている。

「切り替えは大事だと思ってきたんですが、今はオフの時も気がついたらゆるーく卓球の話をするようになりましたね。例えば美容院へ送っていくようなちょっとした移動中でも、よく卓球の話題になる。普通は、どんな髪型にしようかなという話をするのでしょうが…私にそんな話をしても、というのもあるかもしれせんけど(笑)。こちらが驚くほど色々な卓球の映像をよく見ていますよ。趣味が卓球というか、私生活の延長線上にも卓球が消えることがない。本当に楽しそうに、自分の考えも含めて喋るようになりましたね」

早田の躍進の理由の一つとして、目標がしっかり定まったことも好循環を生んでいる。打倒中国。その目指す山はとてつもなく高い。小さい頃から意識してきた言葉だが、早田の成長とともに現実的に手が届くところまできている。日本の女子卓球のレベルは著しく上がったが、卓球王国はそれ以上に強くなっている、と石田は分析する。

「ここ10年間、中国選手はずっと安定的に強かったですが、今の強さは究極といえます。特にひなと同世代の孫穎莎(スン・インシャ)、王曼昱(ワン・マンユ)は強烈な技術がある。男子並みのボールを打ち、これまでの常識では考えられなかった域に既に到達している。間違いなく歴代最強クラスでしょう」

それでも早田の掲げる目標は、最強の中国選手を倒すということでブレない。むしろそこに目が向いているからこそ、高いモチベーションを保ち、楽しみながら卓球と向き合えている。

「今の中国選手のレベルは本当に究極。でも究極ゆえに、そこを目指しながらこれまで以上にコツコツやるということがひなには合っています。ひなには、高い目標を諦める様子は微塵もないですよ。中国選手を倒した先には当然パリへと繋がっていくし、そんな状況を何より楽しめているのがあの子の成長で、強さでもあるんです」

順調にいけば、伊藤美誠、平野美宇、そして早田の黄金世代が中心となり、23~24歳と脂の乗った年齢で迎えるパリ五輪。究極を超えるため、石田との二人三脚で、早田はこれからも研鑽に励んでいく。

「究極」のレベルにある中国選手を倒すため、今後も二人三脚で歩んでいく
  • 取材・文栗田シメイ取材協力・写真提供日本生命

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