佐々木、大谷、ダル…投手を覚醒させた「名コーチ」の意外な素性 | FRIDAYデジタル

佐々木、大谷、ダル…投手を覚醒させた「名コーチ」の意外な素性

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佐々木の投球を見守る吉井氏。20年2月撮影(画像:共同通信社)
佐々木の投球を見守る吉井氏。20年2月撮影(画像:共同通信社)

史上最年少での完全試合達成、17イニング連続無安打、22イニング連続無失点、52打者連続アウト……。

ロッテの佐々木朗希(20)が、プロ野球記録を次々と塗り替えている。メジャーリーグではエンゼルス・大谷翔平(27)が、投打の二刀流で昨季MVPを獲得。ダルビッシュ有(35)はパドレスのエースとして、4月17日に日本人投手2位となる通算80勝をあげた。

3人の大投手には、共通の指導者がいる。日本ハムやソフトバンクなどでコーチを歴任した、ロッテのピッチングコーディネーター吉井理人氏(57)だ。

「吉井さんは、決して押しつけがましいことは言いません。選手に『どう考えているんだ?』と聞いたうえで、『こんなやり方がある』といくつかトレーニング方法を提示するんです。上から目線で指導するのではなく、選手とコーチは対等だと考えている。

例えば佐々木の場合、本人と話し合った結果、1年目は1軍に帯同させながら1試合も投げさせませんでした。160kmの速球を投げる馬力はあっても、身体ができていないという結論にいたったんです。1軍の投手の調整法を間近で見て学べと。肉体強化に臨んだ佐々木が、本格的に投げられるようになったのは3年目の今季からです。佐々木の能力を過信し1年目から登板させていたら、現在のような活躍はなかったでしょう」(球団関係者)

「ほな止めときますわ」

選手とのコミュニケーションを大切にし、適性を見たうえで指導法を考える。吉井氏の冷静な判断力がうかがえる。だが現役時代は血気盛んで、勝気な投手だったようだ。近鉄で同僚だった、加藤哲郎氏が振り返る。

「ボクと吉井は1つ違い(加藤氏が1歳上)で年が近かったため、仲が良かった。性格は激しやすかったですね。ある時ボクらがだるそうにキャッチボールしていると、コーチが『オマエらヤル気あるんか!』と怒ったことがありました。吉井は委縮するどころか、『ほな止めときますわ』と練習を中断してしまった。聞く耳を持たない男でした」

加藤氏は、現役時代の経験が今の指導につながっているのではないかと推測する。

「当時の近鉄は、投手を酷使していました。登板間隔などおかまいナシ。おかげで吉井はヒジを壊してしまった。こうした経験から、上から言われるままに投げていてはダメだと考えたのでしょう。成績が悪くなってもケガをしても、コーチや監督は責任をとってくれない。自分のことは自分で考えなければダメだと」

吉井氏はヤクルトに移籍した後メジャーに挑戦。メッツやロッキーズなどで活躍する。米国での経験も吉井氏に大きな影響を与えたようだ。加藤氏が続ける。

「与えられた課題をこなす日本と違い、メジャーでは選手あってのコーチという考えが浸透しています。選手の性格や能力、考え方は一人一人違うのだから、よく話し合ったうえで練習法を決めようと。現役時代にいくら実績があっても、自分の成功体験を押しつけたところで選手は成長しません。よく吉井は『教えないのが良いコーチ』と話していますが、日米の経験を踏まえ出した結論なのでしょう」

引退してからも、吉井氏は指導法を学ぶためにメジャーへ留学。筑波大学大学院では、コーチング理論を学んだ。

「佐々木や大谷など、独自の野球観を持つ投手にとって吉井さんは最適の指導者でしょう。自分が何を求めているのか理解し、故障リスクを考慮して成長過程を示してくれるのですから」(スポーツ紙担当記者)

吉井氏は佐々木が2試合連続完全試合達成目前にマウンドを降りたことに触れ、自身のブログに「ベンチもよく8回で降板させました」と投稿。「壊れてからでは遅いのです」ともつづっている。

  • 写真共同通信社

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