核兵器の使用も…暴走プーチン「第3次世界大戦への最悪シナリオ」
「第3次世界大戦にエスカレートするリスクは、かなり高いと言わざるをえない。楽観視すべきではないだろう」
4月25日、ロシアのラブロフ外相は国営テレビ『チャンネル1』の取材に応じこう警告した。
ラブロフ外相の言葉は、単なる脅しではない。ウクライナ紛争が「世界を巻き込んだ大戦に発展する可能性は十分ある」と語るのは、ロシア情勢に詳しい中村逸郎教授だ。
「ロシアは、西側諸国の連合体であるNATO(北大西洋条約機構)の勢力拡大に相当な脅威を感じています。ウクライナだけでなく、スウェーデンやフィンランドがNATO加盟の動きを本格化させている。各国の西側入りを阻止するために、プーチン大統領は核兵器の使用を含め手段を選ばないと思います」
プーチン大統領は、ロシア系住民が「ネオナチ」により迫害されていると主張。ロシア系住民を守るために侵攻し、ウクライナを自国の勢力下に置こうとしているのだ。
「第2のウクライナ」になる国
「同じ理屈で新たに標的となっている国がある」と、中村教授が続ける。
「ウクライナの隣国・モルドバです。モルドバはウクライナ同様、東部ではロシア系住民が多く住み、西部には西側に近い人々が暮らしている。最近、東部で爆発が起きているのはロシアによる仕業でしょう。ウクライナと同じ理屈でロシア系住民が攻撃されているとでっち上げ、侵攻を目論んでいるのだと思います」
しかし、ロシアの狙いが上手くいっている訳ではない。ウクライナの首都キーウ制圧を断念し、黒海艦隊の旗艦「モスクワ」は沈没。苦戦を強いられているのだ。
「ロシア単独では、西側諸国に太刀打ちできません。戦線が拡大すれば、同盟諸国へ参戦を要請するでしょう。ロシアやベラルーシ、キルギス、アルメニア、カザフスタン、タジキスタンの6ヵ国で構成するCSTO(集団安全保障条約)締結国です。ロシアを盟主にした軍事同盟ですよ。
CSTOには、集団的自衛権の項目があります。1国が攻撃を受ければ、同盟国が共同して防衛できるという権利です。ロシアの要請に応じる形で、CSTO各国が集団的自衛権を行使する可能性は十分ある。多国籍の参戦となれば、NATOも黙っているワケにはいきません。米国や欧州諸国が軍事介入し、ロシア側との全面衝突に発展する。第3次世界大戦が、現実のモノとなるんです」(中村教授)
4月27日、プーチン大統領は故郷サンクトペテルブルグでの演説でこう訴えた。
「我々は、反撃のあらゆる手段を持っている。(西側諸国がウクライナへ)軍事介入するなら、電光石火の早さで報復することになるだろう」
人類は、プーチン大統領の暴走により核の脅威にさらされようとしている。
- 写真:ロイター/アフロ