旅先での事故から逃れるための「危険なツアー会社」の見抜き方 | FRIDAYデジタル

旅先での事故から逃れるための「危険なツアー会社」の見抜き方

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危険は回避できたのか? 

こんなことが事前にわかっていれば、決して乗船したりはしなかっただろう。 

北海道・知床半島沖で乗客乗員26名を乗せ遭難した「KAZU Ⅰ」。その後の調べで、「KAZU Ⅰ」の運航会社「知床遊覧船」は無線のアンテナが壊れていたのに放置していたこと、ウトロ港を拠点として知床半島の観光船を運航しているのは4社あり、不測の事態が起きたとき互いに救助できるよう、連れ立って運航するようにしていたのに、「知床遊覧船」はたびたび単独で出航していたことなどがわかってきた。

今回も、ほかの3社は出航を見合わせていたのに、「KAZU Ⅰ」だけが出航していた。昨年だけでも2回も座礁事故を起こしてもいた。

こんな事故には遭いたくない。遊覧船や気球に乗ったり、カヌーで川や湖を進んだり、トレッキングをしてみたり……。旅先で体験したいことはたくさん。安全で楽しく、旅先でオプショナルツアーを利用するためには、どんなことに気をつければいいのだろう。

「大手の旅行会社に組み込まれたツアーであれば、危険はかなり少ないと言えるでしょう。万一事故が起きれば、損害賠償を請求される可能性がありますから、過去の実績や安全管理などを契約前に精査しているはずです。欠航判断についても同様です」

こう言うのは、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏。

しかし、個人旅行の場合は?

「利用しようとしている会社のHPを見ることです。そこで実績や口コミ、価格を調べる。同業他社があれば、その会社のHPも見て、比較検討するといいでしょう。 

価格が安すぎる場合は、用心したほうがいい。スタッフがプロフェッショナルでなく、安い人件費で雇えるから価格が安くなっていることがあるからです。安い理由なども含め、目を通したほうがいいでしょう」(鳥海高太朗氏 以下同)

写真は、観光船沈没事故で、乗客の家族らへの説明会を終え引き揚げる「知床遊覧船」の桂田精一社長(写真:共同通信)
写真は、観光船沈没事故で、乗客の家族らへの説明会を終え引き揚げる「知床遊覧船」の桂田精一社長(写真:共同通信)

宿泊先から現地の情報を入手

なるほど。けれど、HPだけでは判断がつきにくいこともある。

私がよくやるのは、泊まるホテルの人に教えてもらうこと。予約を入れたとき、遊覧船に乗りたいのであれば、どこがおすすめなのかを聞くのです。 

地元であれば、ネットでは得られない情報も入っているはず。悪いうわさがあるようなところは紹介しないでしょう」 

今どきは、宿泊予約サイトでホテルなどを予約することが当り前になっているが、そんな場合でも予約したあとに電話をすればいい。

「ネットと現地の情報で、リスクはかなり低減すると思います」 

海外だったら、語学に自信があるか、日本語で応対してくれるなら、ホテルのコンシェルジュに聞き、予約をとってもらうのがいちばん。

「万一何かがあれば、そういうところを紹介したホテルの評判も悪くなる。信頼できるところを紹介してくれると思います」

語学に自信がなく、日本語が話せるスタッフがいないときは、現地に拠点を持つ日系の旅行会社を訪ねるのがおすすめだとか。

海外でも意外と多い遊覧船の事故。写真は2019年に韓国人観光客33人と現地の乗組員2人が犠牲になったハンガリー遊覧船沈没事故(写真:アフロ)
海外でも意外と多い遊覧船の事故。写真は2019年に韓国人観光客33人と現地の乗組員2人が犠牲になったハンガリー遊覧船沈没事故(写真:アフロ)

観光船で事故なんて考えられない

もしかしたら、今までは気軽に申し込みすぎたのかもしれない。今回の事故も、事前にいろいろ聞いておけば、避けられたのだろうか。

「観光船が転覆するなんて、ふつうは思いもしません。まして今回のコースは沖合に出るわけではなく、岸壁沿いに通って、戻ってくるというもの。乗客のみなさんは、危険があるなんて考えもしなかったでしょう。 

ただ、自然相手では何が起こるかわからない。出発前に何かできることがあったかといったら、天気予報を見ることぐらいでしょうか。 当日は強風波浪注意報が出ていたと聞きます。『危ないな』と思ったら、観光をキャンセルすることも選択肢のひとつではあるでしょう。

ただ、旅行は楽しむためのものなので、『危険かもしれない』などと考えたりしないもの。こんな事故は二度と起こってほしくありません」 

大事故が起こった時、私たちにできることは、悲劇を繰り返さぬためにその事故から学ぶことだ。

鳥海高太朗 航空・旅行アナリスト、帝京大学理工学部航空宇宙工学科非常勤講師。

  • 取材・文中川いづみ

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