佐々木朗希をリードするルーキー松川「恩師が明かす意外な過去」 | FRIDAYデジタル

佐々木朗希をリードするルーキー松川「恩師が明かす意外な過去」

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佐々木朗希を話をする松川虎生。ルーキーとは思えない堂々としたリードで早くも正捕手の座をつかみかけている(写真:時事通信)

「開幕一軍でスタメンでしょ。ドラフト1位で指名されたことにも驚きましたし、佐々木朗希君のパーフェクトピッチングのキャッチャーを務めるなんて、すごいことをやってしまいますわ」

 こう話すのは千葉ロッテの松川虎生捕手が中学時代に所属した大阪府のチーム「貝塚ヤング」で指導した川端末吉監督(68歳)だ。2015年にセ・リーグの首位打者に輝き、今もヤクルトで現役を続ける川端慎吾内野手の父である。

リトルリーグでは捕手ではなかった

松川は貝塚ヤングから市和歌山高校を経て千葉ロッテに入団し、高卒ルーキーながら今年の開幕戦でスタメンデビューを果たした。キャッチャーというポジションでは異例の抜擢だった。

川端監督は、貝塚ヤング、市立和歌山高のチームメートで、その世代ではNO.1投手として評価が高かった小園健太投手がDeNAに1位指名されたことは当然のように受けとめていたが、松川の1位指名までは想像していなかったからだ。

4月10日。佐々木朗希投手はオリックスを相手に、史上最年少の20歳で28年ぶりとなる完全試合の偉業をを果たしたが、そこには女房役を担った捕手・松川の技術、戦術もおおいに寄与した、といえる。

完全試合は3つのアウトを9イニング、27人を規則正しく打ちとっていく作業。ピッチャーの投げたボールをキャッチャーがポロポロこぼしたり、取り損ねていたら、ピッチャーのリズムは狂う。それだけ、松川のキャッチングが素晴らしかったという証明になる。

「リトルリーグでプレーしていた時はサードとピッチャーをしてました」

川端監督がそう、証言するからわからないものだ。

「入団した時、楽しそうだからキャッチャーをやりたいと言うて来た。サードの守備をみて、グラブさばきが上手かったので、私もキャッチャーがええ、と思いました」

お互いのベクトルが一致して、捕手松川が誕生する。

中学1年の6月に入団して直ぐの1,2年生の大会で、初戦からキャッチャー・4番で出場し、いきなり優勝した。松川に備わっていた潜在能力と松川自身の自立心。それが中学、高校の成長の原動力になった、と川端さんは言う。

「子供らには個性があるので私は放任主義です。例えばフォーム。理にかなっていて本人がやり易ければそのフォームでいい。のびのび自由にやれる一方で、チームの全体練習のない日に、どれだけ意欲を持って、向上心を忘れずに自主練習ができるか。そこに選手の成長度合いの差が出る。松川は自覚できていた、ということです」

練習後に有料の室内練習場を借りてまでバッティング、素振りに取り組み、打撃を伸ばした。加えて、チームメートにはDeNAから堂々の1位指名を受けた小園という世代ナンバーワン投手がいて、ボールを受け続けられるという幸運にも恵まれた。

中学時代の松川虎生(右)と小園(提供:川端監督)

恵まれた才能に天狗にならず、努力も怠らなかった。でもそれを続けただけで結果を出せるほど、プロは甘くない。今の松川には「不安」と「自信」という相反する要素が両方存在する。プレーには不安があれば細心の注意を払って慎重になるが、そのために様々な備えをしたうえで好プレーにつながれば手ごたえになる。その積み重ねが自信につながる。自信があれば強気に大胆さも増幅される。そんな相乗効果が、周囲の予想をはるかに上回るスピードで起きているのかもしれない。

<佐々木投手と組むのは緊張する>

川端監督は松川から、不安を抱える日々を送っていることを感じていた。パーフェクトゲームのビデオを見た翌日、ラインで松川に祝福のメッセージを送った。

<昨日、すごかったなぁ。おめでとう>(川端監督)

<ありがとうございます。必死でした。また、次も頑張ります>(松川)

また別のメッセージをもらって、「大変そうやな」と思ったという。

「<佐々木投手と組むのは緊張する>って書いてよこしたことがあります。見た目はいかついし、強気な感じでしょ。でもほんまは、優しい子なんで。<しんどい>って言う時もありました」

気持ちは〝いっぱい、いっぱい〟。恩師にふと漏らしたものだろう。

一方で、千葉ロッテのチーム関係者はどっしりしていると成長を感じ取っている。

「1年目は普通はビビりますよ。でも今の松川は少なくとも緊張しているようには見えない。周囲に惑わされない感じがします。本音の部分では緊張していたり、重圧を感じている部分があるかもしれないけど、投手にそれを見せないところがすごいんじゃないですか」

それが投手から信用されることに繋がった。こんなベンチ裏の一こまがあったという。

「オープン戦でプロ9年目の石川(歩)や同12年目の美馬(学)らと組んで、リードして結果を残せた。それが自信になったと思います。うちの大黒柱の石川は、昨年まで正捕手だった田村(龍弘)以外の捕手と組んだことはほとんどないんですが、その石川自ら、松川に『ナイスリード』と声をかけているほどですから、すごく信頼しているんだと思いました」

佐々木の160キロのストレートと140キロ後半のフォークを苦も無く取る。プロの各打者が「ヤバい」と評するフォークを決して後ろにそらさない。

「ストレートは中学では120キロ、高校では140キロ。そしてプロ。ピッチャーのレベルは変わるのに、キャッチャーの本人は中学生の時となんら、変らないで取りよるんです。不思議ですわ」(川端監督)

そして技術に加えて捕手としてのセンスが光る。今度は球団関係者が解説する。

「4月26日のZOZOマリンは風速計が19メートルを示した中でのゲームでした。楽天の田中将大と投げ合った左腕・小島(和哉)のリードに、松川の感性のよさが出ていたと思います」

小島の得意球のスライダーが曲がりすぎ、ストレートも強風の影響でストライクが取れなかった。そこで松川は途中から縦のカーブを軸にリードを組み立て直している。楽天打線はこれを打ちあぐねた。ここに松川の捕手としての真骨頂が垣間見える。関係者が絶賛した。

「洞察力、観察力が松川は非常にすぐれていると思います。だから状況に応じて、投手のいいところを引き出せる」

川端さんがプロ入り前に約束したことがあったという。

「最初に言ったのは『山あり谷ありで、すべてが経験やから』と。コツコツやって4、5年先に正捕手になれたらええやん、って」

その約束がちょっと早く果たされるかもしれない。

松川や小園を指導した貝塚ヤングの川端末吉監督(左)はヤクルト・川端の父である
  • 取材・文清水岳志

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