時代は「上限定額制」! 高級焼鳥やフレンチ食べ放題が急増の背景 | FRIDAYデジタル

時代は「上限定額制」! 高級焼鳥やフレンチ食べ放題が急増の背景

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まるでフェス!

好きなものを好きなだけ食べる。それは人類の夢です。「安いバイキングとかランチビュッフェとかあるじゃん」と言われるかもしれませんが、冷凍食品や業務用惣菜ばっか腹に詰め込むのも(けっこう美味しいけど)ちょっと虚しいですよね。

しかし最近増えているのが、高級店なのに〝上限定額制〟を取り入れている店。コース〇〇円でメニューの中から好きなだけオーダーできるフレンチとか、何十本でもおかわりOKの焼き鳥店とか…まるでフェス並みのイベントです。そんな上限定額制食べ放題の高級店、猫田が現認するだけで4軒ほどあるので、どんなにスゴいのかレポートします。

【男性8800円、女性6800円ポッキリで食べ飲み放題の『炭火焼鳥 さかもり』】

男性の方が料金が高いですが、多分女性の方がよく食べるので逆にしても良いかと思います

まず1軒目が『炭火焼鳥 さかもり』。大阪の北新地という東京の銀座的な一等地にあり、クラブの同伴客や富裕層が訪れるエリアです。この店はなんと、男性8800円、女性6800円で焼き鳥や野菜串が食べ放題。アルコールも飲み放題。「トリキの方が安いじゃん」と言われそうですが、ここは「京赤地鶏」というブランド鶏をプロの焼き職人が丁寧に炭火焼きした、本格的な焼き鳥が食べられるんです。

店内はカウンターとテーブル席があり、洞窟感のあるラグジュアリーな雰囲気です

前菜と最初の串を食べたら、食べ放題スタート

コースは、最初に前菜5品と串8本が出てきて、それを食べ終えたら食べ放題スタート。こういうシステムの店が多いです。「最初にお腹いっぱいにさせてオーダーを控えさせる魂胆だな!」と勘ぐるような見方をしてはいけません。前菜は焼き鳥が出るまでのお酒のアテにと、少し多めにしているんだとか。不要なものはカットしてもらうこともできるそうです。

前菜はこんな感じです。鶏スープ、生野菜、鶏とイクラとパルメザンチーズのブルスケッタ、薬味(タルタルソース、マスタード、赤ワイン塩、柚子胡椒、すり胡麻塩)、塩パン、ずんだコロッケ。

ずんだコロッケとは珍しいな。オーナー仙台出身なの?と聞いたら、「いえ、どっかで食べて美味しかったから出そうってことになって!」とシンプルな回答でした。

鶏スープ、『天下一品』のこってりより旨い(猫田比)

この鶏スープでラーメン屋出したら儲かると思います。そのビジネスやりたい

この鶏スープの旨さに、頭が一瞬で白髪になりそうなくらい衝撃を受けました。人生汁物史上ベスト3に入る旨さです。香りも味も1000%鶏。『天下一品』のこってりを若干サラサラにして、鶏感マシマシにしたって表現がしっくり来ます。飲んだ後は鶏エキスで唇がテラッテラになります。

ずっとコトコト煮続けるため「夏は地獄っす!」と厨房の方が仰っていました

なんでも、京赤地鶏のガラと国産鶏肉でダシを取った15ℓのスープを、6時間かけて2ℓまで濃縮させているそう。飽和状態もいいとこですね。

いやあこの鶏スープ、1ℓ5000円くらいで売ってくんないかな。

ジャブ的な串8本がスタート

基本、串はパンに乗ってきます。その秘密は後ほどお話しするとして…

で、スターターの串8本のご登場。内容は日によって変わりますが、まずはねぎま、熟成鶏、はらみ。肉汁をまとったブリッブリの鶏たち、テカテカと輝いて神々しいです。

で、手羽中、つくね、アスパラ、エリンギ、長芋。つくねにのってんのキャビア!? と思ったらとんぶりでした。さしてキャビアと味変わりませんね。手羽中は皮がパリッと脂っこくて、骨から肉がツルッと離れて食べやすい。聞くとわざわざ1本骨をはずすことで、身離れを良くしているとのこと。なんと細やかなホスピタリティ!

アスパラにワイン塩(カベルネソーヴィニヨンと塩を煮込んで作った自家製)をかけたり、つくねに柚子胡椒をつけたりと、5種の薬味で相当な味変祭りが楽しめます。

「この第一ラウンドだけでお腹いっぱいになってしまう人もいます」とのこと。そんな少食な奴はここに来るんじゃねえ!と毒づいて、猫田ここから本気出します。

100種以上の酒が飲み放題だと!

酒も飲み放題ですからね。「季の美」などの高級ジン10種ほど、高級ウイスキー30種類以上、生ビールも日本酒もワインもカクテルも…。あとオーナーがワイン好きで、グラスワインも25種以上用意されています。焼き鳥とワインって合いますよね。

酒代だけでモト取れるんじゃ?と言いつつ、猫田は生ビールをエンドレスにおかわりしますが

フェス開幕! 串30種以上から食べ放題

本日のメニューはお店の公式HPに毎日アップされています

さて「本日の八串」を終了後は、「本日ご用意している串」から好きなものを自由にオーダーOK。ウオッホー! 義務教育が終わった後の高校デビュー的な開放感ですね。しかも、先ほど食べた串8本の中からもおかわりが可能です。もちろん全部頼む気マンマンでしたが、とりあえず注文したのがコチラ。

だきみ、ぼんじり、せせり。「だきみ」とは胸肉の内側の柔らかい部位を皮で巻いた、オイリーな皮とあっさり味を楽しめる串です。せせりは脂がジュワッと溢れ、梅肉の酸味がよく合います。

お次はささみチーズに、かわ、田楽味噌をのせたズッキーニ。シイタケは笠の中に鶏そぼろが。ニクい小細工です!

「白肝」は珍しい部位なので置いている店は少ないと思います

死ぬほど旨かったのがこの「白肝」。内臓系が食べられないのに唯一フォアグラが好きな猫田ですが、これは「フォアグラだろ!」と何度も疑ってしまったほどフォアグラ。赤のシラーに合いますよとのこと。確かに、永遠にこの組み合わせで飲めそうなほどのマッチングです。

串は熟練の職人が一本一本焼いている

食ってばっかじゃなく、ここの焼き鳥の凄さを説明しなくてはなりません。とりあえず全部肉がデカい。他店はだいたい肉1粒20gくらいですが、ここでは40~60gぐらいに大きくカットしているそうです。

焼いているのは長年和食の経験を経たプロの料理人。京赤地鶏を土佐の備長炭で一本一本丁寧に火入れします。「デカい分脂が多く、すぐ焦げるのでこまめに返さないとダメで」とのこと。しかも数秒おきに焼く位置を変えて、全ての肉の火通りを均一に調整しています。

1人でひたすら焼きに徹しているので、もしこの人が休みの日はお店どうしているんだろうと心配になってしまいます

オーナーは、相当やり手の実業家だった

「ずぼらめし」の本まで出版しています。印税ガボガボっすか?と聞いたら、「2万部くらいなので、それほどでも…」と謙遜されていました

ところで、この店のボスのことをしっかり説明していなかったですね。「顔出し? イヤです!」とのことなので写真は伏せますが、オーナーは森川さんという若手実業家です。実は『さかもり』は本業ではなく、もともとは子供専門フォトスタジオを大阪近辺で8店舗も経営しており、FC店のパン屋も南森町にあります。しかも「ずぼらめし」という動画レシピサイトを運営していて、このインスタフォロワーがなんと40万人! 儲かってまんなあ。

何度か森川さんにお会いしていますが毎回、「タワマン住んでんだろーなー」「若い頃やんちゃだったろうなー」「サーフィンやってそうだなー(日焼けしているので)」という3点セットが頭をよぎります。※この原稿を見た森川さん、「タワマン住んでないっす!」と全否定してました(笑)。

で、お歳は42歳。って猫田と同い年かよ! ワーキングプアな場末ライターの私とえらい格差です。

しかしなんでこんな破格のシステムの店を考えたんでしょう。と聞いてみましたら、「会計が簡単だからです! メニューが色々あるとスタッフがいちいち聞いて計算するのも面倒臭いし、その分提供スピード落ちるし。僕、せっかちなんで」とのこと。あ〜確かにデキる人ってせっかちだよな。でもなぜ焼き鳥屋にしたのかというと、「焼き鳥が好きで週に2回は焼き鳥屋行ってまして」とのお答え。デキる人はあらゆることが単純明快です。「その中でも好きな焼き鳥屋ってあるんですか」と聞くと、「やっぱトリキちゃいますかね〜」と即答。正直!

さー残りのメニュー全部頼むぞーと思ったら、「2時間の制限時間内に提供できる量でオーダーを…」とのこと。本当はもっとガツガツ食べたかったのですが、締めのメニューもぜひご紹介したいので、渋々串は打ち止めにしました。

と言いつつ、未練がましくぼんじりとこころを追加。内臓食べられないとか言いながら心臓食ってる。本当は好きなのに認めたくないんでしょうかね私

あそうそう、なんで串がトーストにのっかってんのかって話でしたね。その理由は、「焼き鳥が冷めないように」という森川さんの計らいです。「焼き鳥が冷めるってのが一番嫌で。美味しいものも美味しくなくなりますから」。確かにねえ。しかも、数々の鶏の脂を吸ってきたトースト、最後に食べるとめっちゃ旨い。このパンもFC店のベーカリーの食パンだそうで、生クリームたっぷりのミルキーな味がまた脂と相まって美味しい…。皿まで美味しい焼き鳥ってやつですか!

締めまで超絶こだわったメニュー

「龍の卵」を使った、黄身が赤くて見るからに高級な卵かけごはん。白身をエスプーマ状に泡立てていて、これまた手間がかかったTKG様です

焼き鳥を終えると、締めまでいただけるというシステム。にゅうめん、卵かけごはん、いくら丼の中から1種類選べるんですが、もちろん貧乏性の猫田はイクラのせの卵かけごはんをチョイス。

にゅうめんに関しては、「なんでそんな家の昼飯みたいなの食べなあかんの」と見向きもしなかったのですが、それは間違いでした。このにゅうめんのスープ、なんと最初に出てきた超濃厚鶏スープ100%なんですよ。それ知ってたら頼んだのに(書いてあったわ)。とクレームをつけたら、大サービスでにゅうめんも出してくださいました。夢のように旨い…。

本当は最後にデザートのマスカルポーネとあんこの最中も出てきたのですが、割愛します。

とにかくこの店で過ごす2時間は、人生のご褒美的な夢心地でした。オーナーの森川さんは見た目イカツイので最初ビビりますが、怖くありません。せっかちなだけです(笑)。

ちなみに社員のシュン君に、こっそり「オーナーって優しいですか」とカマかけてみましたら、「めっちゃ優しいです。なんでも丁寧に教えてくれるし」とな。ホワイト企業だな! 猫田も就職したいわ! しかも5月にはまた北新地に同じシステムで食べ飲み放題の『串しゃぶ さかもり』をオープンしたんですって。快進撃止まらへんなあ~。

■炭火焼鳥 さかもり:大阪市北区堂島2-2-38 宝寿ビル 2F

■オーナー森川さんの動画レシピサイト「ずぼらめし」はコチラ

『さかもり』で尺取りすぎたので、あとの3店舗は駆け足でご紹介します。

【祇園の路地裏でフレンチ食べ放題の『Gibier MIYAMA(ジビエミヤマ)』】

コース23000円とちょい値の張るフレンチですが、京都祇園のど真ん中にあり、誰かを連れて行ったらドヤ顔できる店です。なんとこちらも、最初の4皿を食べた後は30種ほどの料理が食べ放題に。しかも普通のフレンチではなく、美山町という京都の山奥で狩猟された鹿や猪、熊などを使った超贅沢な料理ばかり。「月の輪熊とゆり根のグラタン」やら「特上鹿と鴨の炭火焼き」やら…。ジビエ以外にも「帆立炭火焼き 雲丹醤油」「黒トリュフとマッシュルームのパスタ」など高級素材をがっつり使った料理が目白押しです。この黒トリュフのパスタは、猫田が死ぬ前に食べたい料理ベスト3に入るぐらい旨い。

この店、以前はコース12000円だったんですよ。その頃から、こんなに手間かけた料理を食べ放題にするなんて、オーダー通るたびに「わーまた原価率高いやつ頼みよった!」と裏でシェフが泣いていたんじゃ…と心配していたので、むしろこの金額の方が気兼ねなく食べまくれるわとホッとしたぐらいです。とはいえ、猫田の財力では行けないので金持ちのオッサンに奢ってもらいましたけどね(笑)!

■Gibier MIYAMA:京都市東山区祇園町北側279-3

【6600円のオーダーバイキング割烹『Dontsuki』】

町家を改装した集合施設「もみじ小路」内にあるシュッとした割烹ですが、こちらも6600円という定額料金でメニューから何でも頼み放題。やはり、最初に店主おすすめの4品が出てきて、そこから約20種の料理をオーダーできるシステムです。「新玉ねぎじゃこ揚げ」「猪紅茶煮」など最初の4皿を秒速で平らげた後は、「和牛の肉じゃが」「鮑のフリット 肝ソース」「三重県産本鮪ザブトンのお造り」などをいくらでも。どれもポーションは少なめなので、全品制覇は余裕っす!

■Dontsuki:京都市下京区松原通麩屋町東入石不動之町682-4 もみじの小路H8

【3時間どれだけ食べて飲んでも6000円の『焼鳥エナミ』】

こちらは不思議なシステムです。まず焼き鳥は5本2500円、7本3000円、9本3500円と3コースあり、全て鶏刺し2種、お漬物、逸品、鶏スープ付き。追加オーダーは1本300円で、どれだけ金額がオーバーしても6000円しか払わなくて良いという神様みたいなお店なんです。お酒代も込みです。なので少食な方はコースに数本追加して6000円以下で済むし、猫田みたいな大食いは6000円以上飲み食いしてモトを取ってやれ〜というわけです。大阪市内の人気焼き鳥店『sosin』の2号店だけあって、焼き師である店長の火入れテクも見事です。京鴨、だき身、せせりにんにくなど20種以上の串や、「大人の肝パテ」「赤鶏ももたたき」なんてアテもあり、カウンターでクダ巻きながら3時間があっちゅう間です。

■焼鳥エナミ:大阪市北区西天満5-6-8

以上、耳を疑うような素晴らしい上限定額制の4店をご紹介しました。こういう店って東京にもないのかな? と探してみましたが、シュラスコ食べ放題のブラジル料理店とか焼肉食べ放題のチェーン店とかは出てくるものの、高級焼き鳥やフレンチの食べ放題は見当たらないですね。関西だから振り切っちゃった店が多いのかな。誰か東京のお店知ってたら教えてください。

  • 取材・文・写真猫田しげる

    1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。
    猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」http://nekotashigeru.site/

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