摘発されたハプニングバーが「絶対安全」と言われていた意外な理由 | FRIDAYデジタル

摘発されたハプニングバーが「絶対安全」と言われていた意外な理由

緊急事態宣言下でも営業を続け、「日本最大級」と言われた店が……

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摘発された『眠れる森の美女』。道玄坂のラブホテル街のなかにあった
摘発された『眠れる森の美女』。道玄坂のラブホテル街のなかにあった

「都内にある他の同様の店より数千円高いのですが、それでも『周辺のクラブ帰りの一見の女性客がやってくる』という理由から、常に人気の店でした。都内におけるハプバーの代名詞のような店であり、『日本最大級』をうたっていました。『この前、グラビアアイドルのAが来ていた』『覚醒剤で逮捕されたミュージシャンのBは常連』など、有名人が来ているという噂もよく流れていました」(常連客)

5月8日、警視庁生活安全部保安課や渋谷署などは、渋谷のハプニングバー『Sleeping Beauty~眠れる森の美女~』を摘発。経営者や店員など10名を逮捕した。逮捕容疑は、店内の部屋を提供し、男女がわいせつな行為をする幇助をしたというものだ。

「逮捕されたのは、この店の経営者の40歳の男性と21歳~42歳の男女の店員が9名。それと店内で性行為をしていた30代の男性と20代の女性も公然わいせつ容疑で逮捕されましたが、すでに釈放されています。店員ら10名のうち6名は容疑を認めていますが、他の4名は否認しています」(全国紙社会部記者)

たとえば、逮捕された一人である24歳の女性店員は警察の取り調べに対して、以下のように供述している。

「店長から地下1階でお客に酒をつくるように頼まれていただけなので、犯罪には加担していませんし、まったく知りません」

しかし、これはまったくの詭弁である。同店は15年ほど前にオープンした老舗であり、好事家の間では「SB」の愛称で知られていた。コロナ禍になって以降も、店にやってくる男女に常に性交渉の場を提供していた。

逮捕された経営者の男性が送検されるところ。容疑を否認しているという
逮捕された経営者の男性が送検されるところ。容疑を否認しているという

SBの入会金は、男性が7000円で女性が2000円。入店料は女性は無料だが、男性は滞在時間に応じて8000円~1万7000円ほど。カップル客の場合、割引がある。店は地上3階、地下1階の建物で、3階に「プレイルーム」があった。プレイルームはマジックミラーで部屋の外からのぞくことができるようになっていた。前出・常連客が話す。

「コロナ禍でも基本的には常にオープンしていて、緊急事態宣言中などでもアルコールの提供もしていました。ただ、さすがにコロナで周辺のクラブが閉まったことなどにより、客足が少し減ったことで、3階のプレイルームはあまり使われなくなっていました。代わりに2階や地下1階にあるバーカウンターやソファなどでハプる(セックスする)人が増えていました。コロナ禍以降、より過激になったという印象です」

店は20年10月以降だけで、約5億4500万円ほどの売上があった。店内では一応マスク着用が求められることもあったというが、ほぼ全裸状態の男女が店内のあちこちを歩き回っているため、感染対策などあってないようなもの。そんな感染リスクをおかしてまで、客がこの店にやってくるのには理由があった。

「愛好家の間では『SBは絶対大丈夫』というのが合言葉でした。というのも、この店では会員になる際に顔写真付きの身分証明書と健康保険証の提示を求められるのですが、この健康保険証というのがミソなのです。警察官が潜入捜査をしようとしても、健康保険証には警察共済組合の法別番号が記されているため、バレてしまう。潜入捜査のためか、それとも単に客として来店したのかはわかりませんが、この方法で店にやってきた警察官を何度も見破ったと店員が話していたのを覚えています」(同前)

このシステムが導入されたのにはキッカケがある。17年10月に上野のハプニングバー『私のハーモニカ』という店が摘発されたことがあった。この摘発の当日、店内で男女3名がセックスをし始めたところ、店の隅にいた男性がその様子を携帯のカメラで撮影し出した。実はこの男性は潜入していた警察官で、その直後に数十名の捜査員たちが店に入ってきたという。

『眠れる森の美女』の入口。来店するときはインターホンを押してから案内されるシステムだった
『眠れる森の美女』の入口。来店するときはインターホンを押してから案内されるシステムだった

この事件以降、SBは潜入捜査を防ぐため、健康保険証の提示を求めるようになった。そうして同店はコロナ禍でも、愛好家たちが求める「過激なサービス」と「安全性」という相反する2つの価値を提供し続けていた。そのため、多くの客がつめかけていたのだ。しかし、警察もただ手をこまねいていたわけではなかった。

「今回の摘発の直接の端緒は情報提供によるものだそうです。ただ、警視庁の生安は以前から同店をターゲットにしていたようで、昨年末には一時、摘発直前までいきました。そこからじっくり証拠を固めていたところに、情報提供が入ったことで摘発につながったようです」(前出・記者)

だが、ハプバーにとって摘発はつきものであり、店も客も元々それを織り込んでいる。前出・常連客が語る。

「SBの摘発を受け、都内のハプバーのなかには『ウチはプレイルームを外からのぞけないシステムになっているから安全です』ということをウリにし始めている店も出ています。実際、そうした店にはすでに客が集まっているのです」

「日本最大級」の店はなくなっても、いたちごっこは終わることはなさそうだ。

  • 撮影蓮尾真司

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