菅田将暉『鎌倉殿』源義経が使い分ける無邪気な左顔、狂気の右顔 | FRIDAYデジタル

菅田将暉『鎌倉殿』源義経が使い分ける無邪気な左顔、狂気の右顔

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名優の階段を確実に登っている菅田将暉。新たな”源義経”像に大河ドラマ視聴者は目が離せない…
名優の階段を確実に登っている菅田将暉。新たな”源義経”像に大河ドラマ視聴者は目が離せない…

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)の前半のハイライト。第18話『壇ノ浦で舞った男』が5月8日に放送され、菅田将暉演じる源義経が大鎧を着て宙を舞う鬼気迫る合戦シーンには、SNSでも狂喜乱舞するコメントが躍っている。

「今回の大河ドラマは、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(大泉洋)を支えた二代執権・北条義時(小栗旬)をはじめとする、13人の家臣団による権力のパワーゲームを描く予測不能なエンタテインメント。そんな中、無邪気さと残忍さを併せ持つ狂気を秘めた義経の特異なキャラクターには、大きな注目が集まりました」(ワイドショー関係者)

兄・頼朝と対面を果たす場面では、感情をあらわにして

「兄上だぁ!」

と無邪気に泣き叫ぶ義経。またある時は、御台所・政子(小池栄子)の元を突然訪ねて膝枕をおねだり。

「夢でした」

と言ってうっとりするシーンがあったかと思えば、兎狩りの最中、野武士から仕留めた兎を返すように迫られると相手の胸をいともたやすく弓矢で射抜く。この狂気を孕んだ義経像を、菅田将暉が実に生き生きと演じてみせる。

源平合戦に突入するや、そんな”菅田義経”がついに本領発揮。『一ノ谷の合戦』では奇想天外な奇襲攻撃を編み出し、智慧者を自負する軍奉行・梶原景時(中村獅童)の戦術を

「そんなのは子供でも思いつく」

と一刀両断。“八幡大菩薩の化身”を思わせる戦ぶりに、ロックオンさせられた視聴者が続出している。

「これまで義経といえば、“旬のイケメン”俳優が悲劇のヒーローを演じるのが定番。ところが“菅田義経”は、そうした常識にまったく囚われない。しかし今作の基本史料となっている『吾妻鏡』や『平家物語』などを読むと、史実に残された義経は合戦に及ぶと平気で民家を焼き払う。嵐の中、屋島に出撃する際、地元の船頭たちが出航を渋ると『船を出さないのなら殺す』と脅すなど、暴君であったことも史実に残されています」(制作会社プロデューサー)

だが、そんな義経を“ただの暴君”と決めつけるのは、いかがなものか。なぜなら、こうした手段を選ばない義経の戦法には、ある秘密が隠されているからだ。

「義経が幼い頃、修行していた京都の鞍馬山には、『孫子』を始めとする兵書が400年前、吉備真備によって隠されていました。それを見つけ出した陰陽師・鬼一法眼(今出川義円)が、そうした兵書を『虎の巻』と称して義経に伝授。当時知る者がなかった兵書を読みあさり、義経は一ノ谷や屋島、壇ノ浦における戦術・戦法を立てたと考えられています」(前出・制作会社プロデューサー)

“孫子の兵法”が唱える「兵は詭道なり」を、まさに地で行く“菅田義経”。その姿は『麒麟がくる』で染谷将太演じる織田信長、そして『青天を衝け』で草彅剛演じる徳川慶喜に勝るとも劣らない。大河ドラマに新しい風を吹き込んだと言っても過言ではない。

「これまで幾度も共演してきた主役の小栗旬は、義経を演じる菅田の魅力を『底の知れない人』と評しています。現場で悩む素振りも見せずに、新たな義経像を作り上げていく俳優・菅田将暉のポテンシャルの高さには、目を見張るばかり。

また、番組の制作統括・清水拓哉氏も、『目が離せない芝居をされる素晴らしい俳優』と絶賛。さらに菅田が今の年齢で義経を演じる巡り合わせに感謝の言葉を口にしている。来るべき将来、菅田は必ず大河ドラマの主役を演じる、そんな可能性すら感じさせます」(テレビ局関係者)

実は菅田将暉の演技には、ある秘密がある。

「菅田は、左目より右目がややつり上がっているため、演技によって顔の左右を使い分けています。例えば右の顔が映る時は、悪い役の時。左の顔が映る時はソフトな善人役の時。後ろを振り返る場面でも、左右どちらから振り返るのか使い分けていると以前、番組『TOKIOカケル』(フジテレビ系)に出演した際、明らかにしています」(女性誌記者)

第18話でいうなら、屋島の合戦を前に梶原景時(中村獅童)を

「ばっかじゃないか!!」

としかり飛ばす時は、右の顔。後で

「私は思った言葉を口にする。忘れてくれ」

と景時に謝る場面では、左の顔。壇ノ浦の合戦を前に、景時に

「大将の器ではない」

と叱責され、激して立ち上がる場面では、右の顔。狂言芝居が終わり、景時に

「あれでよかったのか」

という場面では、左の顔。極め付きは、壇ノ浦の合戦の最中に

「漕ぎ手は兵ではござらぬ。殺してはなりませぬ」

と諌める畠山重忠(中川大志)に、忿怒の表情を浮かべて

「かまわぬ」

という場面では、右の顔。残忍で狂気を秘めた菅田義経は右顔。穏やかで冷静な菅田義経は左の顔。と、見事に使い分けていることがわかる。

平家を滅ぼし、いよいよ兄・頼朝との戦いが始まる。最後に見せるのは、左右どっちの顔なのか。大いに注目したい――。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO小川内 孝行

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