テレビはなぜ毎回「キョンの大量発生」を報じるのか…その衝撃理由 | FRIDAYデジタル

テレビはなぜ毎回「キョンの大量発生」を報じるのか…その衝撃理由

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千葉県いすみ市の民家に潜むキョン

「もう、アレをやるしかない…」

4月から始まった「バイキングMORE」の後番組「ポップUP!」(フジテレビ系)が低視聴率にあえいでいる。

テレビ離れが叫ばれ、テレビ自体を持っていない若者が増えている昨今、数字を取るのは至難の業だ。ドラマであればサブスク配信や見逃し配信で稼げるが、基本的に消費されて終わりの情報番組はそうはいかない。それでも、「やれば必ず数字が取れる」鉄板ネタが情報番組には存在する。

コロナ前だと、「食べ放題」「お土産いっぱいバスツアー」「豪華客船」がソレだったが、感染者数がなかなか減らないこのご時世では、ロケ自体がなかなか難しい。

ところが、コロナ前後も変わらず数字を稼げる鉄板ネタがある。動物などの「大量発生もの」だ。

具体的にどんな大量発生ものが数字をとるかというと、元祖ともいえるのがスズメバチ。そして、アライグマ、ハクビシン、ムクドリ、孔雀と続き…
最近のトレンドは本誌も2019年12月27日号で紹介した「キョン」だという。

「先日、駆け出しのADがキョンのネタを出したんだけど、チーフディレクターが『キョンなんてマイナーな動物ダメだ』ってボツにしようとしたんだよね。そしたら一番偉いプロデューサーが『キョンは数字を持っているから、どうしてもやりたい』って。鶴の一声でやることになった」(ディレクター)

キョンとは、シカ科の特定外来生物。千葉県で大発生しており、2006年に約9000頭だったが、2020年には約5万頭を超え、今では「人間よりキョンの方が多い」ともいわれている。かわいらしい顔からは想像もつかない「ギャーーー」という禍々しい鳴き声をあげたり、農作物を荒らしたり、線路に侵入して電車を止めたりと、やりたい放題の迷惑者だ。

人気のない道路を我が物顔で……

そんなキョンがなぜ数字を持っているのか?

ディレクターに聞いてみると、こんな回答が返ってきた。

 

「キョンには、起承転結があるんです」

起承転結がある……どういうことか?

ひとつずつ見ていこう。

まず、「起」だが、「地元の人たちに迷惑動物キョンをどこで見たか、どんな被害を受けているかを聞きこみ、大捜索を行うことで、視聴者を引き込んでいく」(民放ディレクター)

そして「承」は、実際にスタッフがキョンを現場で見つける。

「そこでキョンが鳴くわけです。いままで聞いたことのないような大きな声でギャーーーと。かなりインパクトのある映像です。これは、テレビの業界用語で『画(え)が強い』と言われるもので、視聴者にチャンネルを変えさせない」(同前)

また「転」では、なぜキョンが大量発生したのか、その背景に迫っていく。キョンは、20年以上前に千葉県・勝浦市の動物園から逃げ出したものが野生化したといわれている。大量発生の裏に人間の勝手な事情があったことを知ったところに「結」が待っている。

解決策のひとつとして、「キョンを美味しくいただく」というのだ。ちなみにキョンの肉は、臭みがなく、柔らかいので、トンカツならぬ、キョンカツにすると、絶品だという。

キョンの肉。刺身も美味しいという

「大量発生ネタ」なのに、最後はグルメ要素まで入ってきて、気が付けばエンディングを迎えているというのが、高視聴率の秘訣ということだが……。
キョンは、いま、千葉から東京に向けて移動しながら繁殖を続けているという。テレビマンも、戦々キョンキョン?としながら事態を見守っている。

  • 取材・文愛田プリン

    15年以上、テレビ&ラジオの世界を漂流している放送作家

  • 撮影桐島 瞬

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