有吉弘行 上島竜兵さん追悼で垣間見た毒舌の奥にある「人間味」
有吉弘行の人柄がにじみ出ていた――。
5月11日に急死した『ダチョウ倶楽部』上島竜兵さんの葬儀が14日にしめやかに営まれた。その様子を、とりわけ親交が深かった有吉が15日に放送のラジオ『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN系)の中で語った。
冒頭こそ明るく振る舞ったが、すぐに
「なかなかビックリしたよ。元気出たつもりだったけど、繰り返すね。元気でたり、落ち込んだり」
と吐露。上島さんとは亡くなった11日の夕方に無言の対面を果たしたといい
「2人きりにしてもらったけど、はぁ…」
と大きくタメ息をついたあと、以下のように続けた。
「ツッコんでやろうかとか、茶化したり、『バカだな』とか言おうと思ったけど、『ありがとうございます』ということしか…。お礼の言葉しか出なかった」
消え入りそうな涙声――。有吉といえば、毒舌キャラで知られ、今年1月2日放送の同番組では、ゲスト出演した上島さんを前に、’20年3月に亡くなった志村けんさんの名前を出し、イジりまくった。
「志村さんが亡くなって1年半になりますけども…」
と語り出した有吉は、
「もう呼んでんじゃないですか? 志村さん、寂しくて。『竜ちゃん寂しいよ』っておっしゃってるんじゃないですかね、天国で」
とポツリ。上島さんは
「いや、俺の前に(千鳥)大悟を呼ぶでしょう」
と返したが、有吉は
「いや、大悟はまだ若い。志村さん、絶対天国から『大悟もっと頑張れよ』『竜ちゃんそろそろ寂しいよ』って(言ってる)」
と食い下がった。これに上島さんは
「俺、はっきり言うよ。嫌だよ! 嫌だ嫌だそんなの。もし死んだとしても呼ばれて死にたくないね」
と声を荒らげ、有吉は大爆笑していた。
この時のやりとりが、今回上島さんが亡くなったことで蒸し返され、ネット上では批判も巻き起こったが、お笑い関係者によると
「あれは有吉さん流の激励だと思いますよ。志村さんが亡くなり、コロナ禍で外出も減り『上島さんの元気がない』という話は近しい関係者の間では回っていた。有吉さんは上島さんに元気になってもらいたいと、あえて志村さんをネタにしたんだと思います」
という。
根は真面目で、他人思い。同じ太田プロの後輩芸人の面倒見も良い。自身のキャラクターを熟知しており、かねて上島さんの葬儀では「熱湯を顔にかけようかな」とうそぶいていたが、実際に恩人の死を目の当たりにした時、出てきたのは感謝の言葉だけだった。
「有吉さん含め、葬儀に参列した竜兵会のメンバーはみんなボロ泣き。メンバーそれぞれがお礼の言葉を上島さんに掛けていたそうです」(芸能プロ関係者)
有吉は前出のラジオで
「お通夜も葬式もちょこちょこ笑っちゃうようなことがあって、『上島さんの葬式らしいな』ってね…。最後(妻の広川)ひかるさんが喪主のあいさつ気丈にやってらっしゃったときも、ひかるさんらしくて。
竜さんがフーテンの寅さん好きでって話をしようとして、いきなり『寅さん死んじゃって…間違えた竜さんだ』つって、みんな爆笑。ひかるさんも最後まで笑ってて、いい葬式だなと思った」
と気丈に語った。自身を心配するファンのために、ラジオで心境を包み隠さず伝えた有吉。多数のレギュラー番組を持ち、いまも芸能界のトップで活躍する男の毒舌のウラに隠された“人間味”が垣間見えた気がする。有吉は最後に
「上島さん亡くなって寂しいですけども。いろいろネタはありますからね。しつこいくらい、古典落語になるぐらい、いろいろと話すこともある。まだまだ上島さんのことを忘れずに、ウダウダとお話ししていこうと思います」
と決意表明。これもまた有吉流の供養の仕方なのだろう――。
- PHOTO:足立 百合