劣悪な隔離施設に火葬…北朝鮮「コロナ対策」のヤバすぎる現実 | FRIDAYデジタル

劣悪な隔離施設に火葬…北朝鮮「コロナ対策」のヤバすぎる現実

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平壌市内の薬局店を視察する金正恩氏。当局の対応に強い不満を持っているようだ(画像:KNS/KCNA/AFP/アフロ)
平壌市内の薬局店を視察する金正恩氏。当局の対応に強い不満を持っているようだ(画像:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

「すべての薬局に24時間営業を指示したのに、適切な実行がされていない。医薬品の供給システムに、大きな課題がある。危機意識がまったくない」

5月15日に行われた非常協議会で、北朝鮮の指導者・金正恩氏は保険医療部門の責任者を厳しく批判した。

金正恩氏の怒りも当然だろう。国営放送『朝鮮中央通信』は5月12日に、北朝鮮で初めて新型コロナウイルスの感染者を確認したと発表。4月末から「原因不明の熱病」で、約35万人が発熱したと報じた。5月22日までの累計は、発熱者が約281万人で死者は68人。2600万人ほどの総人口のうち1割を超える国民が、熱にさいなまれていることになる。

「韓国の国家情報院によると、検査キットが足りないため北朝鮮当局は感染者の正確な数を把握できていないそうです。実際の死者数は5~6倍になるとか。新型コロナの他、はしかや腸チフスなどが、同時に流行しているとみられます。

北朝鮮当局も、相当焦っているのでしょう。朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』は、対処法を具体的に紹介しています。『柳の葉を煎じて一日3回飲むべし』『蜂蜜は咳止めに効果絶大』と」(韓国紙記者)

一度入ったら出られない……

感染が疑わしい症状が出ても、当局に申告しない人も多いという。朝鮮半島情勢に詳しい『デイリーNKジャパン』編集長・高英起氏が語る。

「重症者は各地域の隔離施設に収容されます。ただ環境は極めて劣悪。食事はまともに提供されず、一度入ったら出てこられないという悪評が広がっているそうです。発熱や下痢などの症状が出ても、隔離施設に送られるのを恐れ申告しない人が後をたたないとか」

北朝鮮はようやく感染者の存在を認めたが、新型コロナが世界的に拡大し始めた20年当初から疑わしき事例があった。発生場所は、集団生活を強いられる軍だ。朝鮮人民軍の医局は同年3月、中国との国境ちかくの部隊を中心に約180人が死亡し3700人が隔離されたと最高司令部に報告したという。高氏が続ける。

「保健当局は当初、新型コロナで亡くなったと思われる人の遺体を火葬するよう指示していたそうです。しかし遺体の数が多すぎて、火葬が追いつかなかったとか。また大量の煙や臭いで、国民に実態を知られるのを恐れたのでしょう。火葬から『遺体は徹底的に消毒せよ』との指示に変更されたそうです」

金正恩氏は、新型コロナ感染拡大を「建国以来の大動乱」と位置づけ。冒頭で紹介した非常協議会で、関係各所に強い口調で命令している。

「高度の緊張感と警戒心を堅持し、防疫戦争を乗り切らなければならない。すべての作戦を科学的に綿密に実行。いささかの手落ちも盲点も許されないのだ」

今のところ北朝鮮は、ワクチンなど海外からの医療支援を拒否している。受け入れれば、これまでの防疫政策は失敗だったと認めることになるからだ。だが、このまま爆発的な感染拡大を阻止できなければ、国民の不満が高まり独裁体制を揺るがしかねない。金正恩氏は、大きなジレンマに悩まされている。

  • 写真KNS/KCNA/AFP/アフロ

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