TVerの同時配信開始で人気番組が始めた「意外な対策」 | FRIDAYデジタル

TVerの同時配信開始で人気番組が始めた「意外な対策」

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’99年から放送されているテレ朝の看板番組『ロンドンハーツ』も放送時間が30分と従来の半分に短縮。これも、TVerでよく観られるための工夫ではないかとみられている
’99年から放送されているテレ朝の看板番組『ロンドンハーツ』も放送時間が30分と従来の半分に短縮。これも、TVerでよく観られるための工夫ではないかとみられている

これまで、見逃し配信がメインでリアルタイムでの配信をほぼ行ってなかった動画配信サービス「TVer」で、在京・在阪の民放10局がテレビとの同時配信を解禁。話題となっている。

「かつては世帯視聴率がヒットの指標でしたが、視聴スタイルの変化などで、スポンサーが気にするのは49歳以下の視聴者を指すコア視聴率に変わりました。ただ、若い世代はテレビ自体を持っていない人も多い。そのため、同時配信の解禁に踏み切ったという背景があります。現在は午後7時以降に放送する番組が対象ですが、反響次第で全番組を対象にする可能性があります」(広告代理店関係者)

同時配信の解禁で、制作現場に変化が起きていると放送作家は指摘する。

「『エンタの神様』などで知られる日本テレビの元プロデューサー五味一男氏が生み出したとされる”CMまたぎ”と呼ばれる手法は、視聴者を離さない方法として日本のテレビ業界に定着していました。ただ、この手法だと、スマホで観ている視聴者は不快感が増す。各局、見せ方を試行錯誤していますね」

“Z世代”と呼ばれる若年層は、倍速機能を使って早送りでコンテンツを見る人も多いため、放送時間などにも変化が起きているという。

「今春、テレビ朝日が『ロンドンハーツ』や『激レアさんを連れてきた。』をこれまでの1時間から30分に短縮したのが象徴的ですが、テンポが良くないと若い世代は離脱してしまう。テレ朝は’20年から平日深夜帯に20分の番組を3部で構成する『バラバラ大作戦』を放送していますが、スマホでも見やすいと見逃し配信が好調です。テレ朝の成功を受け、短い企画を複数流すスタイルを各局が取り入れていますね。

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)も一つ一つの説が短いから、若い世代にウケがいい。”いかに切り取ってウェブで見てもらえるか”を意識した企画を求められているので、1社提供のミニ枠(6分)のような番組も増えていくのでは?」(制作会社ディレクター)

キー局プロデューサーは「同時配信が定着することで、消える番組も出てくる」と分析する。

「音楽は権利の問題でネット配信できないケースが多い。そのため『昭和・平成の名曲』といった振り返り系はもちろん、純粋な音楽番組も減るでしょう。また『世界の衝撃映像』系は、すでにネットでバズった動画を紹介するので、同時配信で苦戦するのは目に見えている。純粋な情報番組もネットのスピードや情報量には負けてしまうので、淘汰されていくと見ています」

コア視聴率の導入で、若者ウケしない大御所タレントの卒業が相次いだが、同時配信の解禁によって、テレビ界の若返りはますます加速しそうだ。

「SNSで影響力を持つタレントやインフルエンサーを起用する流れがより強くなりましたね。タレントや芸能事務所側もそれを痛感しているから、ネットの誹謗中傷が社会問題になっても、SNSをやめられない。逆に言えば、実力があっても、″バズらない″タレントはキャスティングされづらくなってしまいました」(同・キー局プロデューサー)

同時配信はテレビ界の救世主か、それとも破壊者か――。

『FRIDAY』2022年6月3日号より

  • PHOTO結束武郎

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