天下一品グループで唯一「自慢のこってり」を出さない店舗のナゾ | FRIDAYデジタル

天下一品グループで唯一「自慢のこってり」を出さない店舗のナゾ

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天下一品グループが運営する滋賀県内にある「スパリゾート雄琴あがりゃんせ」

新型コロナウィルスによる長かったマンボウ(まん延防止等重点措置)も、ひとまず一時休戦となっている昨今。「こってり」を求めて旅に出たい季節がやってきた。創業から50周年を迎え、いまやグループ全体で231店舗を展開する、こってりラーメン界の雄「天下一品」。北は秋田・大曲から南は沖縄・宮古島まで、どこにいっても同じ唯一無二の“こってり”が楽しめるのであるが、天下一品の施設でありながら、その代名詞である“こってり”を出さないところがある。

それが、滋賀県は琵琶湖の畔。おごと温泉にある温浴施設「スパリゾート雄琴あがりゃんせ」だ。

関西圏における健康温浴施設としても屈指の人気を誇るこの「あがりゃんせ」だが、「天下一品」の運営だと知る人は意外と多くない。なぜなら施設内に食堂はありながらも天下一品そのものはなく、ポスターや土産など仄めかすようなものもほぼなし。表向きには見えてはこないが、それでもこの温泉が“ラーメンのない「天下一品」”といわれるほど、その信念が濃厚に滲み出た場所となっているようだ。

延べ床面積約3000坪。天然自家温泉2本を引いたドでかい天然温泉に、眼前に広がるレイクビューの大露天風呂。「ワールドパフォーマンスキャッスル」を謳う関西圏でも最大級の岩盤浴にグルメ。大衆演劇場などのエンタメ施設も備え、料金は平日で大人1650円。オープンして17年目となる今では平日でも多くの客で賑わっているというこの“天下一品温泉”はどうして生まれたのか。同グループの広報担当者は言う。

「もともと、この『あがりゃんせ』は木村勉会長がファンへの感謝の気持ちで一念発起して作った憩いの場所なんです。会長は毎日のように各店舗を視察していますが、お店で昔からの常連さんにお会いすると、『会長はええなぁ。苦労したけども、好きなことして大成功して、お金もあって、あたしらまだまだ働かなアカンわ。ああ腰がイタイ』という話をよく聞くようになったと。自分らがここまでやってこれたのもすべてはお客様のおかげですから、なんとか恩返ししたい、という気持ちから『あがりゃんせ』をつくりました。

だからここでは宣伝的なことはほとんどやらないし、儲けもなし、極端な話タダでもいいから、会長の、『お客さんみんな集まってゆっくりしよや』という思いでできているんですよ。当然、社内ではみんなから猛反対されたんですけどね(笑)。会長が『わしがお客さんと一緒に、ここで過ごしたいんや』と、突き進んで2005年に『あがりゃんせ』を、2007年には隣に宿泊施設の『ことゆう』をオープンさせました」

この温泉は、誕生の経緯からして「天下一品」のファン感謝施設という側面が強い。各店舗を回っているという木村会長は、店の前に行列があれば「もうちょい待っててな」と言いながら「ワシがやっとる温泉やから来てな」と優待券を配ることもあるというほど、“もてなし”の意味合いが強く、その商売っ気のなさが「天下一品」を知らない人も含めて、あがりゃんせに多くのお客さんを呼んでいる。

広大な琵琶湖の眺めを満喫できる広々とした露天風呂には、バリエーションに富んだ温泉に庭園露天風呂の釜がずらり並び、これが瀬田のスープ工場の釜たちを連想させ、身も心も温まろうというもの。関西圏最大級の5種類の岩盤浴に、サウナ好きにも評判の高温サウナは十分すぎる広さとロウリュサービス。水深の深い水風呂と、琵琶湖の風を感じる外気浴のエリアと整うためには最高のシュチュエーションが揃う。

湯上りは畳敷きの休憩エリアに、琵琶湖沿いにブワーッと約200席用意されたTV付リクライナーチェア。無料で使えるデラックスマッサージチェアも50台の大盤振る舞いで、さらにマンガコーナー、マッサージにカラオケ、フィットネス。さらには劇団を招いて公演を行う大衆演劇の劇場までが併設。この劇場では関西圏では馴染みの「天下一品」冠スポンサーTV番組の収録も行っているとか。

「肉吸定食」1,390円(税込)。ほっとする優しい味だ

しかし、『あがりゃんせ』最大の見どころは、やはりミスターこってり・木村勉会長に会えることではないだろうか。会長はほとんどの日をこの場所で過ごし、風呂場で、食事処で、マッサージ処で、気安くお客さんと話をしては写真を撮ってスターのようにお客さんをもてなしている。よく見ると施設のあちこちに有名人とのツーショット写真がいっぱいだ。木村会長は言う。

「お風呂でお客さんに会うと『ああ、会長!聞いてえな』言うて、いろんな雑談をされるんやね。『こないだあそこの店のラーメン食べてきたけど、どうやった、こうやった』って生の声が聞こえてくる。悪い対応があろうもんなら、もうすぐに電話かけて『どないな仕事しとんねん!?』って直させるからね。気軽に直訴できる目安箱みたいな感じやないかな」

一方で疑問が湧く。これだけの場所なのになぜ「天下一品のこってり」がないのか。和食焼肉イタリアンと揃っている食事処は無茶苦茶に気合いを入れていて、作り手は本格的な料理職人で味へのこだわりも半端じゃないのだが、肝心の天下一品のラーメンは絶対に置かないというのが木村会長の信念なのだとか。

「お客さんも『こんなにいい施設なのになんでラーメンを売らへんのや』っていまだに言わはんねん。そりゃ出したら売れるやろ。そやけど、近くの場所に堅田店、唐崎店と営業しとる店があるんやから『あがりゃんせ』でラーメン出したら、がんばってる近所の店の邪魔をしてしまう。チェーンとはいえただ店の数を増やせばええわけやない。店同士が食い合わないよう、守ってやるんが上の仕事やろ。商売言うのは、目先だけよければええいうもんとは違いますからな」

隣接する「天然源泉の宿 ことゆう」も、天下一品はないが、旬の食材を使った和食でもてなしてくれる。1泊2食付で17820円から(その他素泊まりやご利用人数により各種プランあり)。部屋の大きな窓から見える琵琶湖の眺めは天下一品。回廊でつながる「あがりゃんせ」にはチェックイン当日とチェックアウトの両日無料で入館できる。とことん満喫したい人にはおすすめだ。

琵琶湖の眺めは天下人の眺め。かつて中山道に東海道、北陸街道など交通の要所であり、都にも近い琵琶湖の畔に織田信長が城を築いたように、京都北白川の本店をはじめ、関西圏の天下一品へ旅するなら、拠点はこの場所に据えてみては如何か。

■スパリゾート雄琴 あがりゃんせ

■天然源泉の宿「ことゆう」

大露天風呂からは遠大な琵琶湖がのぞめる
入口の横には天然源泉をそのまま使った足湯もある
温浴施設内には、創業者・木村勉会長と幅広い交友関係を示す写真がずらりと並ぶ

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