クセ強…!なのに共感できる『褒め褒め』漫画が描く”褒め”の力
マンガ『褒めるひと 褒められるひと』/1話試し読みも無料公開!
「目がゾウみたいですごくいいよ」
「仕事がはやくて無駄がなくて、回らないお寿司屋さんて感じ」
「凄腕のおばあちゃんみたいでかっこいいよね!」
「カリスマ給食当番って感じ」
これは……はたして褒められているのか……?
マンガ『褒めるひと 褒められるひと』中に登場するキャラクター・坂東さんの“褒め”語録が、すごい。
褒められているのは、主人公の事務員・市川詠子(えいこ)25歳。ある日、「褒められたい」と会社で本音を吐いてしまう彼女。それを上司である坂東さんに聞かれ、冒頭のような「すごい」褒め言葉を浴びる怒涛の日々がスタートする。
この作品には、ありとあらゆる褒め言葉、「何がどうなってそんな喩え方に?」と衝撃を受ける褒め方が満載なのだ。
どうしてこんな“クセ強(つよ)”な褒めマンガを……? 『褒め褒め』作者・たけだのぞむさんは、よほどの褒め好き、あるいは褒め上手??
「私、そんなに『人に褒められたい!』っていう願望がなくって。じゃあなんで『褒め』をテーマにしたマンガを描くことになったかっていうと、実は担当編集さんが自分と真逆で『もっと人に褒められたいよ~~!』っていうタイプなんです。
『皆そういうものなの!?』って衝撃を受けたんですが、一方でそんな素直に口に出すの、面白いなと思って。『社会人になると褒められる機会がなかなかない』と言うんですよね。『特に仕事とかの場合「できて当たり前」「やって当然」みたいな感じになってくる。それは確かにそうだけど、しんどい時もある……だからもっとちゃんと褒められたい』って。
そういう、『報われたい』『頑張りを認められたい』みたいな気持ちは、褒められたい願望のあまりなかった私でも『なるほど』と納得したし、事務員として働いていた経験があったので『確かに……』と当時を振り返って共感しました。
そこから、 “褒める人”と“褒められる人”、二人の交流を描くストーリーを考えていったんです」(作者・たけだのぞむさん)
こうしてwebマンガアプリ『Palcy(パルシィ)』で発表した読み切りが好評を得て、そのままとんとん拍子で連載に進んだのだとか。連載後の反響が大きく、「笑えるし、なんだか癒される」「仕事で凹んでいたけど、読んだら元気になった」などの感想が寄せられているという。
元々コメディーを得意とし、担当編集も「ギャグのセンスが素晴らしい」と惚れ込んだというたけださんだが、作中で坂東さんが繰り出す褒め言葉はどのようにして考えているのだろう?
「普段から考えたり、収集したりしているのですが、担当さんが『褒めワード集』というものを作ってくれていて、それにもすごく助けられています。作中に出てきた『さながら、ねぶた祭!』『芭蕉の句の世界観みたいな…』とか、そういう“言い得て妙”な喩えを思いつくたびにメモして、共有してくれているんです。
そのうえで気を使っているのは、坂東さんから市川さんに対しての“褒め”方。ちょっとズレてて笑えるけど、決して市川さんをけなしているわけではない、100%善意だとわかるような褒め方になるよう、言い方やシチュエーション、キャラの表情や間など、毎回担当さんと一生懸命考えています」(たけださん)
確かに坂東さんの褒め方はクセが強いけど、市川さんのこまやかな気配りや、仕事の丁寧さを、普段からちゃんと見ているからこそ言えるものでもある。更に、クセ強な褒め言葉だけでなく「いつもありがとう」「すごく助かったよ」という、感謝の言葉もかけてくれる。
「誰かにちゃんと頑張りを見てもらえていて嬉しい」「前向きになれる」「明日もまた頑張ろうと思える」と嬉しくなる市川さんの気持ちは、会社勤めの社会人でなくても共感を覚えるものではないだろうか。
「人を褒めるのもそうですし、気持ちを伝えるのって、改めて考えると難しいことだなって。
ちゃんとその人の『良いところ』に気付いて、『良いな』『すごいな』と思っていたとしても、口に出すのってちょっと照れ臭い時もあるし、どのタイミングで言えばいいんだろう?喜んでもらえるかな?変に取られちゃったらどうしよう、って作中の市川さんや、吉田くんのように悩んじゃうこともあると思う。
でも、『ありがとう』『いつもホントに助かる』とか、自分が伝えたいと思った気持ちを、素直に口に出していきたいなって。このマンガを描いてく中で今まで以上にそう思うようになりました。
周りの人たちに本当にいつも助けられているな、と思いながらここまで来れたという実感があるので、そういう感謝の気持ちを作品にもこめています」(たけださん)
個性的な褒めの飛び交う『褒めるひと 褒められるひと』。そのなかで描かれているのは、「人に感謝を伝えたい」という真っ直ぐで真摯な気持ちだ。
もし自分の身近に、「屈強なライフセーバーに見守られてるみたいな安心感がある」というふうに言ってくれる人がいたら……。お世辞じゃない、“本当の褒め言葉”が溢れるこの作品から目がはなせない。
おもちゃ会社で働く事務員・市川詠子。「褒められたい」――つい口にした独り言を上司の坂東さんに聞かれたことをきっかけに、褒められまくる日々がスタートしたけれど……? 上司の褒め方のクセが強い! 奇天烈だけど癒される。ほっこり職場コメディ!
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『palcy(パルシィ)』で連載を読むにはコチラ