『トップガン マーヴェリック』は前作世代じゃなくても全然アガる | FRIDAYデジタル

『トップガン マーヴェリック』は前作世代じゃなくても全然アガる

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
『トップガン マーヴェリック』2022年5月27日(金)より全国公開中/配給:東和ピクチャーズ/© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

1986年に日本公開された『トップガン』。その“続編”である『トップガン マーヴェリック』が、5月27日よりスクリーンで封切られた。

続編製作の報道が出たのが2010年頃、撮影が行われたのは2018年。その後、制作スケジュールのずれ込みや新型コロナウイルスの影響もあり、2019年→2020年→2021年→2022年と公開がずれにずれた本作。人によっては確度の高いウワサが出てから10年近く待っていたファンもいることだろう。

前作は日本でも社会現象化したヒット作であり、本作も米国最大級の映画批評サイト「Rotten Tomatoes」でのレビュアーの評価が97%(5月19日時点)と高得点を記録。23日には主演俳優トム・クルーズも約4年ぶりに来日し、公開前の期待値はマックスに。

映画ファンや業界の人々においても、ハリウッド超大作が日本に上陸する時のワクワク感――あの独特の(懐かしい)空気を久々に感じているのではないか。

「遂に……」という言葉では軽すぎるほど強く、かつ様々な“想い”が乗った映画『トップガン マーヴェリック』。前作のリアルタイム世代には感涙間違いなしの作品と言えそうだが、本作はノスタルジーだけで出来上がった映画ではない。筆者のような30代以下の世代においても、十二分にアガるザッツエンタメに仕上がっている。

本稿では、そんな『トップガン マーヴェリック』の魅力を、核心的なネタバレなしで紹介していきたい。

まずは、本作のあらすじ。リメイクでもリブートでもなく、前作の約30年後を描く“続編”だ。

<天才的な操縦センスと度胸を持ちながらも、型破りな性格で米軍からは厄介者扱いを受けている伝説のパイロット、ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル(トム・クルーズ)。現役にこだわり続ける彼のもとに、ある日“古巣”であるトップガン(米海軍のトップパイロットたちを集めた訓練学校)への帰還命令が届く。それは、海軍大将へと上り詰めた旧友“アイスマン”(ヴァル・キルマー)からのものだった。

マーヴェリックに課せられたのは、絶対不可能な任務に挑む“後輩”たちの教育。そのメンバーには、訓練中に事故死したマーヴェリックの相棒“グース”(アンソニー・エドワーズ)の息子“ルースター”(マイルズ・テラー)もいて……。>

© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

このように、『トップガン マーヴェリック』では、前作とがっつり接続したストーリーが展開する。本作単体でも楽しめる要素は多々あるが、やはり復習&予習として前作の観賞をオススメしたい。というのも、前作を観ておくとストーリーの理解度はもちろん、キャラクターの内面描写や細かな演出の数々、さらにいえば映像の進化に至るまで、感動ポイントが爆増するから。

一例を挙げるなら、オープニング。『トップガン マーヴェリック』はオープニングの演出が前作と全く同じなのだ。トップガン設立の背景が記され、戦闘機が飛び立つさまを整備士たちの仕事ぶりと共に映し出し、ケニー・ロギンスの名曲「デンジャー・ゾーン」が流れる……。この一連のシーンで、観客を一気に『トップガン』の世界へと帰還させる仕様になっている。この味な演出に反応できるのは、前作履修者の特権。

物語においても、主軸のひとつはマーヴェリックとルースターの関係性。グースが亡くなってしまったことに端を欲する両者の確執がドラマ部分をけん引しており、ふたりの関係性の変化を見ていくうえで、前作で起こった“事件”を頭に入れておく必要がある。

冒頭、テスト飛行を行うマーヴェリックは機体の性能を見せつけるべく、マッハ10での飛行に挑戦。その際にたった一人のコクピットで「やるぞ、グース」とつぶやく。約30年経ってもマーヴェリックはグースの死を引きずっており、と同時に“永遠の相棒”として認めていることが感じられる名シーンだが、前作を観ていると胸にこみ上げてくる感動の度合いが違ってくるはずだ。

『トップガン マーヴェリック』ではマーヴェリックの内なる葛藤にもフォーカスが当てられており、若きトップガンたちを危険にさらしたくない、任務に送り出すにしても全員生還させたいというマーヴェリックの想いが上層部と対立していくのだが、ここにもグースや仲間たちを失った経験が根底にある。

マーヴェリックは愛する人々を失うのを恐れるあまり、一匹狼として生きているのだ。こうした背景がいちいち沁みるのは、本シリーズが歩んだ時間と実時間をシンクロさせているからであろう。

© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

本作にはもう一つ、「時代の流れ」という要素も。無人機飛行に予算を割こうとする上層部に始まり、マーヴェリックが「未来に君の居場所はない」と言われたり、“生徒”に馬鹿にされたり……。

彼自身が“時代遅れの遺物”として扱われてしまう現状をまず描いてから、その壁を一つひとつぶち壊していくさまが痛快だ。飛行訓練では筋金入りのテクニックを見せつけて訓練生たちに圧勝し、任務ではあえて最新機ではないF-18を使って第5世代機に挑んでいく。

『トップガン マーヴェリック』は、圧巻のスカイアクションと物語のテーマを見事に絡めており、そこに「新世代との共闘」を入れ込むことで懐古主義に埋没しない。マーヴェリックが年の功=経験を見せつけるだけでなく、若手たちとコラボレーションすることで双方に変化が訪れるのだ。

マーヴェリック自身もグースの死という過去のトラウマにとらわれていたのが、ルースターたちとぶつかり合うなかで未来に目を向けていく。それぞれに見せ場があり、チーム戦になっているのが本作の大きな特長といえる。

彼らが挑むミッションにおいても、「谷の中を突っ切り、くぼみに仕掛けられた兵器を2連撃で破壊、さらに急上昇する」という不可能な内容の中に、「1機では無理=全員が力を合わせて初めてクリアできる」という条件が組み込まれている。しかもマーヴェリックは任務に挑むことを許されず、教官の立場。「次世代を信じて、託す」という意味合いが強められている。

そしてこのミッション、タイムリミットも設けられ、わかりやすく難易度が最高レベルだと示される点が上手い。丁寧に図式されることで、戦闘機やミリタリー知識がなくともすんなり入り込める。この辺りは、『ミッション:インポッシブル』味を感じさせ、幅広い層に向けたエンターテインメントとしての気配りに唸らされる(あえて敵の詳細を明示せず、残酷描写を皆無にしている点や、随所に挟み込まれた小気味いいギャグシーン、そしてお約束の“トム走り”含め)。

© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

こうした練られた設定・作劇・演出に乗ってくるのが、プロデューサーも務めたトム・クルーズがこだわりまくった“本物”のスカイアクションというわけ(俳優陣は水中も含めた様々な訓練を受け、飛行シーンの一部で撮影も担当したそう)。作り手たちが頑として劇場公開を譲らなかった理由は、作品を観ていただければ納得できるはずだ。

筆者はIMAX上映で本作を観賞したが、自身が戦闘機に乗っているかのような臨場感と没入感に飲み込まれた。しかも、前半は訓練、後半は実戦とタイプの違うスカイアクションが詰め込まれており、任務パートにも潜入と戦闘、チェイスや銃撃戦等々いくつかの段階が設けられ、単調さは一切ない。むしろどんどんレベルが上がっていくアクション&スペクタクルに、興奮しっぱなしであった。

本物しかない映像でぶん殴るような、ぐうの音も出ない説得力。ハリウッド映画らしい王道のエンタメ感。「Don’t Think. Just Do.」を地で行く『トップガン マーヴェリック』は、「大画面で体感する」という映画の醍醐味を十二分に感じられる快作と相成った。


『トップガン マーヴェリック』
2022年5月27日(金)より全国公開中
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
配給:東和ピクチャーズ

© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

Photo Gallery10

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事