「有名映画監督の娘も映画監督」金子由里奈 自由への挑戦 | FRIDAYデジタル

「有名映画監督の娘も映画監督」金子由里奈 自由への挑戦

Next Generation Star 第7回

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撮影:濱崎慎治

「言葉にできないものを映画で表現したいんです」

「父親が映画監督なので、子供の頃から映画は身近な存在でした。働く父の姿を見ていましたし、週末になるとお台場のシネコンに映画を観に行くのが家族の習慣でした」

そう語るのは、映画監督の金子由里奈(26)だ。『ガメラ』シリーズや『デスノート』などを手掛けた映画監督、金子修介(66)を父に持つ。これまで自主制作映画のコンクールなどで度々賞を獲得してきた彼女の作品は、独特な世界観を持つ。

「私は、人単体よりも人がいる風景を撮っている感覚で制作していて、映画館に観に来た人に、体験してもらいたい風景を映画にしています。『眠る虫』という映画では、観ている人が、ついバスの乗客の会話に耳を向けて聞くような仕掛けにしていて、その会話がその後の物語のヒントになるように演出しました。耳を澄ましてやっと聞こえるような音や声があちこちにちりばめられています。主人公がいる状況や風景を含めて、言葉にできないものを映画で表現したいんです」

数ある映像媒体の中でも、とくに映画にこだわるのは、幼少期の体験があってのことだという。

「子供の頃に家族で行った映画館で、たくさんの人が集まって映画を観ている様子や、映画館そのものの独特の雰囲気を感じてきました。知らない人同士が隣り合って泣いたり笑ったり……そういう特殊な体験をできるのが映画館の魅力であり、特別なところだなって。もともとは映画は作るより観る方が好きだったんですよ(笑)」

やがて、大学に入学し、学生たちが制作した映画に出会ったことで、映画を作りたいと強く思うようになった。

「学生映画というジャンルがあることを知りました。そこではみんな人にどう見られるかということより、自分が作りたいものを作っていて、なかには未完成に近い作品もありました(笑)。でも、私にとっては、こんなに自由に映画を作っていいんだという発見でもありました」

立命館大学の映画部に所属し、映画を制作し始めた。’18年の大学在学中、22歳の時にその名が世に出るきっかけが訪れる。山戸結希監督プロデュースの映画企画の一般公募枠に応募し、約200名の中から金子が選ばれたのだ。

「『21世紀の女の子』というオムニバス映画の中で短編映画を発表できることになったんです。8分ほどの作品でした。私の過去の体験をさらけ出すような内容だったので、私自身、親近感のある方かつ無表情と笑顔のギャップがある方に演じていただけたらと思い、伊藤沙莉(さいり)さんにお願いしました。彼女は本当に作品の意図を汲(く)み取る力がすごくて、圧倒されたのを覚えています。また、この作品でもエキストラの方々の動きにすごくこだわって、彼らの動きを目線で追うことで場面を繋いだり、といった工夫をしました」

以降『MOOSIC LAB 2019』で長編部門グランプリを獲得。’20年には森山直太朗のMVも手掛けた。現在は’23年に全国公開の次回作を制作中だ。

「次回の作品は、今までの商業映画では扱われなかったような人々を主役にした映画です。例えば、普通の映画でひきこもりの人が出てきたら、その人がひきこもりを脱する変化が描かれると思うのですが、現実にはひきこもりのままの人もいる。映画を通してそういったものに向き合える時間ができたらいいなと考えています」

独自の作風を武器に、誰もが見過ごしてきた物語を紡(つむ)ぎ出していく。

本誌未掲載カット 金子由里奈 映画監督 Next Generation Star 第7回
本誌未掲載カット 金子由里奈 映画監督 Next Generation Star 第7回

Profile
かねこ・ゆりな/’95年東京都生まれ。立命館大学在学中にMVや映画の制作を開始。監督作は、『食べる虫』(’16)、『projection』(’20『21世紀の女の子』)、『眠る虫』(’19)など

『FRIDAY』2022年6月3日号より

 

  • 撮影濱﨑慎治

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