バイデン来日直前に…!岸田総理事務所でクラスターが起きていた
5月12日の参院厚生労働委員会に出席した岸田文雄総理。野党議員から、感染対策としてのマスク着用を緩和しないのかと質されると、次のように答えた。
「いまの段階では現実ではないと、政府としては考えている」
この答弁からわずか10日後、政府は新型コロナウイルス対策の指針を改め、屋外でマスクを外せるケースを具体的に示すことになった。欧米などから遅れて、日本でもようやく〝ウィズコロナ〟に踏み出したかたちだが、広島市内にある岸田氏の地元事務所では、ピークを越えたはずのコロナが猛威をふるっていた。
「地元事務所は秘書ら6人で切り盛りしているのですが、5月半ば、このうち4人がコロナに感染していることがわかった。このため、地元事務所はまひ状態になってしまったんです」(自民党広島県連関係者)
コロナ陽性となったのは、番頭格の60代のH秘書、同年代のベテランS秘書、20代のM秘書に女性事務職員。最初に感染したH秘書は、5月14日頃に発熱があることに気づき、医療機関でPCR検査を受けたことで感染が確認された。その後も次々と感染者が発覚したが、H秘書とM秘書には発熱などの症状も表れたという。広島県連関係者が続ける。
「岸田首相の地元を守るH秘書は、コロナ前であれば、夜は財界や後援会の関係者らとの会合に顔を出し、信頼関係を築いてきた。今回、コロナに感染する直前も、日中も含めて複数の会合に参加していました。ただ、コロナ感染がわかったあとも、濃厚接触者になり得る同席者に感染の事実を伝えていないなど、H氏や事務所の対応の不備を指摘する声もあります」(岸田事務所は書面による取材で「保健所と連絡を取り、濃厚接触者には直ちに連絡をした」と回答)
一方、お膝元でこれだけコロナが〝感染拡大〟しているのであれば、岸田氏自身の健康状態も心配になるというもの。特に5月下旬には、米国のバイデン大統領の来日を控え、日米豪印4カ国による「Quad(クアッド)」の首脳会議も予定されていた。海外の賓客を招いての外交交渉が続くことから、万が一の可能性であっても、感染のリスクには神経質にならざるを得なかったはずである。
首相動静によれば、5月に入って岸田氏は広島入りしていない。ただし、首相公邸で同居している裕子夫人や、秘書として公務を支える長男の翔太郎氏が地元事務所を訪れ、そこから岸田氏に感染させてしまうことも考えられる。
5月24日、そうした懸念や、地元事務所内で感染者が相次いだことについて、H秘書の携帯電話を鳴らして尋ねた。
――5月半ば、Hさんがコロナに感染したと聞いた。
「ええ。あの、感染したことは事実です」
――現在の体調は。
「ほとんど無症状のような感じだったので(現在は回復した)」
――Hさんの感染をきっかけに、地元事務所の同僚に感染が広がったのか。
「それはこちらではなく、保健所が判断すること。保健所からは(H氏が感染源の可能性について)なにも聞いていません」
――裕子夫人や翔太郎さんが地元の事務所を訪れた際に感染し、岸田首相のもとにウイルスを持ち帰ることはなかったか。
「(裕子夫人らが)濃厚接触者かどうかは保健所の判断になります」
――2人は濃厚接触者に該当しないのか。
「(濃厚接触者では)ない、ないですね」
岸田事務所は書面による取材で、秘書ら4人が感染したことについて「個々人のプライバシーに関することには回答を控える」とした。
岸田氏とコロナといえば、昨年7月に自派閥の政治資金パーティーを開いたあと、参加した秘書5人が感染してしまうという苦い経験もある。〝2年連続2回目〟のクラスター騒ぎは、岸田ノートにどのような教訓として書かれるのだろうか。
- 写真:鬼怒川毅(岸田総理) 蓮尾真司(バイデン大統領)