雲隠れ!教師がボイコットした和歌山南陵高校・理事長を直撃!
学生寮のトイレは壊れ、ガスは止まり、教職員への給与も支払われず…… 転校を希望する生徒が続出し、教員による前代未聞のストライキが発生
「担任の先生から連絡はありましたが、理事長からはいまだに何の説明もありません。学園にも、こんなところに子供を預けてしまった自分にも怒りしかありません」
この4月から私立和歌山南陵高校に子供を通わせている父親はこう嘆いた。
同校では教職員への4月分の給与の未払いが発生。運営を行う南陵学園は教職員からの再三の支払い申請にも応じず、5月11日に教職員23人が授業をボイコットするという前代未聞の事態となった。
5月20日、運営トップの小野和利理事長は代理人弁護士を通じて「教職員に給与の支払いを行った」と発表。しかし、生徒や保護者への説明会はいまだに行われていない(5月24日現在)。前出の父親が続ける。
「南陵高校はスポーツに注力している学校で、学生寮もある。部活動に打ち込める環境ということで入学を決めました。ところが、ゴールデンウイークに寮を訪れて愕然(がくぜん)としました。トイレは水漏れしていて、ゴミ捨て場には放置されたゴミが堆(うずたか)く積まれている。管理人がいないようで、とにかく不衛生なんです。
5月9日には料金滞納でガスが止まりました。その時は先生方がマイクロバスを運転して、寮生を近くの銭湯まで送迎してくれたそうです。息子は電話口で『転校したい』とコボしました。中学時代の部活動のコーチを頼って、すでに他校への編入手続きを進めている生徒が何人もいると聞いています」
帰宅途中の男子生徒は、FRIDAY記者に不安を打ち明けた。
「先生たちは僕たちを守ってくれていると感じます。ただ、学校がどうなっているのか、僕らにはわかりません。とにかく……(学校生活を)続けることしかできません」
小野理事長は5月18日付で「退任のご報告」という文書を保護者に送付。説明会を開かないことと、5月23日に理事会を開催して理事長職から退くことを一方的に通告した。ところが、当日になって、突如理事会の延期を発表。代理人弁護士によると「今後の予定は未定」だという。
「小野理事長はとにかくセコい。たとえば寮には最低限の備品しか置かないんです。トイレットペーパーも生徒に持参させている。休日の寮の朝食なんて、今月は菓子パン1個だけでした。小野理事長は学校にもほとんど来ない。今年の入学式も、体調不良を理由に不参加でした。生徒や学校に愛情があるのか、甚だ疑問です」(同校教職員)
保護者との金銭トラブルも抱えているという。学園関係者が明かす。
「授業料を国が補助する『就学支援金』を2000万円、受け取ったにもかかわらず、対象者の授業料を返還した形跡がなかったようで、4月に和歌山県から指導が入りました。あのカネはどこにいったのか……。補助金と言えば、小野理事長は4年前にも別の高校で、県から支給された約1900万円を不正に流用したとして校長に告発されています。その時は嫌疑不十分で不起訴になっていますが、常にカネの疑惑がついて回っている」
運営トップとして責任をどう感じているのか。静岡県内に建つ豪邸から出てきた小野理事長を直撃した。
――フライデーです。和歌山南陵高校の件でお話をお伺いできないでしょうか。
「あ~~ダメダメダメ」
――せめて名刺だけでも渡させてもらえないでしょうか。
「ダメダメ。絶対ダメ。あ~~。もう無理です。はい」
記者をバカにするような態度で高級車レクサスに乗り込むと、小野理事長は車中でタバコをプカリ。その後は記者に目もくれず、走り去った。
なぜ未払いは発生したのか。自身の責任をどう考えているのか。教職員、生徒、保護者に何か言うことはないのか。再発防止の具体策はあるのか。代理人弁護士へ質問状を送ったところ、次のような回答があった。
「現在、順次対応させていただいております。返答までしばらくお待ちください」
弁護士法人「響」の古藤由佳弁護士が、学園の今後を解説する。
「4月分の給料はすでに支払われ、補助金についてもその後、返還に応じる姿勢を見せています。そのため、現時点では事件化することはないと考えられます。カギを握るのは被害者である教職員や保護者が刑事告訴に踏み切るかどうかです。そうなれば学園の資金の流れについて警察の捜査が入りますので、なぜ給料が払えないほど資金がないのか、原因が解明されると思います」
何より大切なのは一刻も早く生徒の不安を取り除くことだ。最大の不安要素は小野理事長の存在なのだろうが――。


『FRIDAY』2022年6月10日号より
PHOTO:小川内孝行(1枚目) 加藤 慶(3枚目)