蜜月のハズが…ロシア正教トップがプーチンから「離反」の深刻事情 | FRIDAYデジタル

蜜月のハズが…ロシア正教トップがプーチンから「離反」の深刻事情

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「蜜月」と見られていたプーチン大統領とキリル1世。ロシア正教による「批判」が波紋を呼んでいる(画像:ロイター/アフロ)
「蜜月」と見られていたプーチン大統領とキリル1世。ロシア正教による「批判」が波紋を呼んでいる(画像:ロイター/アフロ)

ロシア正教のトップ、キリル1世総主教の発言が波紋を呼んでいる。

「(ロシア正教の傘下にあった)ウクライナの教会が、苦しんでいることを理解している。悪魔がロシアとウクライナの正教徒を分断させようとしているが、決して成功しないだろう。正教徒たちの生活のために、正しい行動をすべきだ」

5月29日、モスクワのハリストス大聖堂での発言だ。解釈によっては、プーチン大統領によるウクライナ侵攻を批判しているようにとれる。「蜜月」と言われるプーチン大統領の行動を一貫して支持してきたこれまでを考えると、異例のコメントだ。ロシア情勢に詳しい筑波学院大学の中村逸郎教授が語る。

「ロシア正教は、共産主義こそ絶対的なシステムと考える旧ソ連によって迫害を受けてきました。ソ連が崩壊し、資金援助をしてロシア正教を復活させたのはプーチン大統領です。ロシア正教のビジネスを認めるなど厚遇。プーチン大統領にとって、自身を支援する最大の『オルガルヒ』(新興財閥)でもあるんです。

プーチン大統領の狙いは権威づけです。国民の60%以上はロシア正教の教徒。教会内に自身の写真を掲げるなどさせ、独裁的指導者の色合いを強めました。ロシア正教とは、持ちつ持たれつの関係なんです」

プーチン大統領の本当の病状

プーチン大統領と相互依存関係にあるロシア正教のトップが、なぜ突然「離反」したのだろう。中村氏が続ける。

「理由は2つ考えられます。1つは、のっぴきならないウクライナ情勢です。発言からはウクライナ国民を気遣っているような印象を受けますが、苦戦が続き苦境にあるプーチン大統領と距離を置きたいというのが本音でしょう。

2つ目が、深刻なプーチン大統領の病状です。私は、ガンが身体中に広がりスグに治療が必要な状態だと思っています。ソ連から独立した記念日である6月12日に、ウクライナ東部でのある程度の戦果を報告し、大統領を辞任し療養に専念する可能性もある。ロシア正教はプーチン大統領の権威失墜を考慮し、次の態度を決めようと考えているのかもしれません」

最大の支援団体の一つであるロシア正教が離反となれば、当然プーチン大統領にとって大きな痛手だろう。

「痛手は確かですが、プーチン大統領に権力を手放す気などありません。後継には、自身が影響力を維持できる大統領府局長で36歳のドミトリー・コバリョフ氏を指名すると言われます。若い世代へのバトンタッチは、60代70代の重鎮への『オマエたちの時代は終わった』という通告です。ゆくゆくは息子に後を継がせようと考えている。元新体操金メダリストで『愛人』と言われるカバエワ氏との間に、09年12月に生まれた男児です。『プーチン王朝』の樹立ですよ。

一方、プーチン大統領の独裁やウクライナ侵攻を面白く思わない人々も多くいます。今、モスクワでは水面下で凄まじい権力闘争が行われている。国内最大組織の一つであるロシア正教は、今後の勝者を冷静に見極めようとしるのでしょう」(中村氏)

ロシア正教のトップの発言から垣間見える、権力者たちの血なまぐさい駆け引き。記念日を迎える6月に大きな動きがありそうだ。

  • 写真ロイター/アフロ

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