関根”シュレック”秀樹 「闘病しながら戦う俺の姿を見せたい」 | FRIDAYデジタル

関根”シュレック”秀樹 「闘病しながら戦う俺の姿を見せたい」

特別インタビュー 『RIZIN』ヘビー級ファイター 30代で巨人症を患ったマル暴刑事は、なぜ43歳で総合格闘家に転向したのか

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関根は静岡県出身。バックボーンはブラジリアン柔術。43歳でプロの総合格闘家に転向。「浜松の柔術怪獣」という異名で勝利を重ねた
関根は静岡県出身。バックボーンはブラジリアン柔術。43歳でプロの総合格闘家に転向。「浜松の柔術怪獣」という異名で勝利を重ねた

「言いたいことが三つある。プロレス最強! 警察官最強! 昭和生まれ最強!」

昨年の大晦日に開催された『RIZIN.33』で、17歳年下のシビサイ頌真(しょうま)(31)との死闘を制した関根”シュレック”秀樹(48)はこう叫んで会場を沸かせた。どんなに攻撃を食らっても、決して倒れず勝利を泥臭くもぎ取るスタイルで彼は、”おじさんの星”となっている。

「シビサイ選手はイケメンで高身長だし、打撃も良くてグラップリングもできる。誰もが彼が勝つと思っていました。でも、髭(ひげ)モジャでブサイクな顔をした俺が勝つから、メッセージ性がある。ここが俺の人生の一番の頑張りどころだと思い、全力で勝ちにいきました」

リングネームに米国のアニメ映画に登場する醜くも心優しいキャラクター”シュレック”の名を加え、関根は「俺は”愛すべき悲しきモンスター”だ」と笑う。たしかに総合格闘家になるまでの彼の人生は、愛と悲しみに満ちた映画のような場面の連続だった。

「小さい頃から、プロレスラーになりたいと思っていました。ところが、母親が中学1年生の時にがんで亡くなり、数年間、祖母に育てられることになって……祖母に『警察官になってほしい』と頼まれて、仕方なく警察官になったんです」

大学卒業後、静岡県警に就職。交番勤務から始まり、機動隊へ。留置管理課から地域課の刑事になり、機動隊分隊長を務めた後、マル暴刑事、国際捜査課と華々しいキャリアを積んだ。

「ヤクザ絡みの事件とか放火、バラバラ殺人事件など多くの凄惨な現場を担当し、1年間休みナシなんてザラでしたね。危険な目に遭うこともありましたが、辞めるつもりは全くありませんでした」

32歳で結婚し、警察官として順調にエリートコースを歩んでいた。だが、その間に、関根の身体は病魔に蝕(むしば)まれていた。

「30代に入った頃から、筋肉がつきやすくなり、額や顎が出てきて、手足がどんどん大きくなっていきました。でも、『筋肉がつくならいいや』って放置していたんです。36歳の頃ですかね、食事後に血糖値が爆上がりして意識が落ちるような感じがあった。検査してみて、下垂体性成長ホルモン分泌亢進症――いわゆる巨人症だってわかったんです。小学生から『キン肉マン』に出てくるジェロニモが好きだったので、診断された後はなぜか嬉しかった(笑)。ただ、そのまま1年くらい放置していたら、ある日、当直明けに倒れてしまった。検査したら血糖値が800もあってドクターストップ。結局、手術することになりました」

身体の巨大化は止まったが、成長ホルモンを出す組織を摘出した影響で、甲状腺疾患を発症。関根は『チラージン』という薬を飲まなければ動けない身体になってしまった。悲劇はそれで終わらなかった。

「結婚して10年近く経っても子供ができないので、検査してもらったんです。その結果、無精子症だとわかりました。『男としても、夫としても終わってるな』と感じましたね」

絶望の淵にいた関根が希望を見出したのが、かつての夢だった。

「俺って何のために生きてるの? って悩み抜いた末に、プロ格闘家という答えが見つかりました。警察官時代に補導した不良少年たちに、『学校に行きたくないなら行かなくてもいいけど、夢は叶えよう』と言っていたのに、自分はプロレスラーになるという夢を叶えていなかった。そんな自分がカッコ悪く思えてね。警官を辞めるのはリスキーでしたけど、自分に、そして悩める人たちに戦うことで勇気を与えたいと思ったんです」

関根は4月に行われた『RIZIN TRIGGER 3rd』でも、貴乃花部屋にいた元力士の貴賢神(たかけんしん)(元貴源治・25)に勝利。名実ともに『RIZIN』ヘビー級最強ファイターとなった。五十路が迫っているが闘志は少しも衰えていない。

「若い頃は自分のために戦う。ただ、40代になったらそれだけじゃ戦えない。でも、人の思いがあれば戦える。我欲がなくなったら戦えるんです。昔、俺が補導した不良少年や、逮捕して更生した人たちが俺を応援してくれている。彼らの思いがあるから、今の俺は最強なんです」

たくさんの愛と悲しみを背負った背中が、一際大きく見えた。

高校2年生のときの関根。「想像つかないかもしれませんが、若い頃はイケメンで、モテました(笑)」
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関根は国際捜査課まで登り詰めたエリート警察官だった。今でも逮捕した人々から応援の言葉が届くという
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本誌未掲載カット 『RIZIN』ヘビー級ファイター・関根”シュレック”秀樹 特別インタビュー
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『FRIDAY』2022年6月17日号より

  • PHOTO足立百合(1枚目) 関根氏提供(2~3枚目)

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