監督解任も14連敗…不満吐露の大谷翔平「FAで噂される移籍先」
「申し訳ないというのは、もちろんある」
6月8日に解任が発表されたエンゼルスのジョー・マドン監督に対する、大谷翔平のコメントだ。だが、この言葉はエンゼルスへの惜別の辞ともとれる――。
マドン監督が解任されたのは、球団ワースト記録に並ぶ12連敗を喫した翌日。その後もエンゼルスは負けが込み、泥沼の14連敗となった(6月10日のレッドソックス戦で大谷翔平の好投と逆転12号2ランにより連敗ストップ)。スポーツジャーナリストの友成那智氏が、不振の原因を解説する。
「ブルペンが崩壊寸前なんです。中継ぎ陣や抑え投手のイグレシアスがボロボロ。連敗中は終盤までリードしていても、リリーフが踏ん張れず8回や9回に逆転されるケースが目立ちました。エンゼルスにとって、投手陣の再建が急務です」
大谷が入団した18年以降、エンゼルスは勝率5割を切るシーズンが続いている。大谷の願いはワールドシリーズで優勝すること。昨年9月には報道陣へ、こう不満を吐露している。
「(フラストレーションは)ありますよ。やはり。もっと楽しい、ヒリヒリするような(ポストシーズン進出をかけた)9月を過ごしたい。クラブハウスも、そういう会話であふれるような月になるのを願っています」
10年総額530億円の争奪戦
今季からポストシーズン出場枠が10から12に増えるとはいえ、1901年以降12連敗を喫し進出したチームはない。エンゼルスは、今季も厳しい状況にあるのだ。注目されるのが、来オフにFA権を獲得する大谷の去就だろう。
「エンゼルスが大型契約を打診する可能性はありますが、大谷としては優勝争いをするチームでプレーしたいという気持ちはあるでしょう。マドン監督の解任も影響しています。以前の監督は大谷の疲労を考え、投手として登板する前後の試合は打者として出場させなかった。マドン監督は大谷の希望を受け入れ、すべての試合に出させたんです。
『ロサンゼルス・タイムズ』などは、大谷がFA宣言した場合、10年総額530億円の争奪戦になると予測しています。エンゼルスに、それだけの大金を支払える余裕はないでしょう。年俸約47億円のトラウトとの契約が8年、同50億円のレンドンとは4年残っていますから。大谷と大型契約を結ぶより、崩壊寸前である投手陣の補強を優先する可能性が高いんです」(スポーツ紙担当記者)
エンゼルスを離れる場合、考えられる移籍先はどこだろうか。前出の友成氏が語る。
「シアトルに本拠を置くマリナーズです。大谷の条件は二刀流の容認。通常、メジャー球団は5人の先発投手を中4日で回しています。しかし大谷が打者併用で出場した際の疲労回復を考えると、中6日が必要になる。それに合わせると、先発投手は6人いることになります。マリナーズは6人ローテーションで回した経緯のある、数少ない球団なんです。
また過去にイチローや佐々木主浩らが在籍し、日本人選手に理解があるのも大きい。左の強打者がいないチーム事情も、大谷にピッタリでしょう。マリナーズなら、先発ローテ入りと年間500打席以上が保障されると思います」
泥沼の連敗に信頼する監督の解任……。エンゼルスの低迷は、大谷の決断に大きく影響しそうだ。
- 写真:Splash/アフロ