「今の代表に居場所がない」森保監督恩師が明かす久保建英の現在地 | FRIDAYデジタル

「今の代表に居場所がない」森保監督恩師が明かす久保建英の現在地

代表戦残り2戦が正念場

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

11月のカタールワールドカップ(W杯)に出場するサッカー日本代表は10日にガーナ代表戦に挑む。3月に7大会連続のW杯出場を決めて以来、初めて集まった日本代表は6月2日、パラグアイ代表に4-1と勝ったが、同6日ブラジル代表には0-1で敗れた。W杯の1次リーグで強豪ドイツ、スペインと戦う日本代表にとって、このブラジル戦のメンバー、戦い方が本番を想定したものと見られていたが将来の日本を背負うと期待されてきた久保建英(スペイン・マジョルカ)はピッチに立てなかった。森保監督の選手時代に指導した元Jリーグ監督の清水秀彦氏は「次で実力を見せないと代表に残れるかどうかもわからない」と代表落選さえ示唆した。

「久保は残念ながら、今のままでは日本代表で居場所がない。ブラジル戦を見て、森保監督の中で序列が決まっていることが改めてわかりました。久保がいなくても回るチームになっています。したがって、久保は次、存在感を見せないとW杯の日本代表から外れることだってありえると思いますよ」

清水氏は迷うことなく、そう明かした。

森保監督は現役時代、清水氏が監督として指揮をとった京都、仙台で選手としてプレー。森保監督が仙台に移籍する際、清水氏は直接声をかけている。森保監督も清水氏に対し「個性的な選手をしっかりまとめていた」と指導者として一目置く存在だ。常に連絡を取り合う仲ではないが、お互いにリスペクトする間柄である。

幼少期からスペインの名門バルセロナでプレーし、将来を嘱望される久保は昨年8月の東京五輪ではU23代表のエースとして君臨。五輪では日本人初となる3試合連続ゴールをあげ、チームのベスト4進出に貢献した。3位決定戦でメキシコ代表に敗れ、53年ぶりのメダル獲得を逃した後、人目をはばからずに泣きじゃくり、悔しさをあらわにした姿は、その後の飛躍を期待させた。

五輪終了後も、所属のスペイン・レアルマドリードからレンタル移籍先となったマジョルカで開幕からずっと先発していたが、9月に右膝を痛めて約2か月間の離脱。結局、スペインリーグではわずか1得点に終わった。

「『何かを見せなきゃ』というプレッシャーの中に彼はずっといると思います。東京五輪の時の日本代表は久保が一番で、久保にボールを経由して攻撃を組み立てていた。ボールを頻繁に触れる状況は彼が一番力を発揮できます。
 でも五輪後、マジョルカで久保のことを重用した(ルイス・ガルシア)監督が3月下旬に解任されて、後任に元日本代表監督のアギーレ氏が就任すると、求められる要素が変わった。アギーレはシンプルにパワーやスピード、球際で戦う戦闘力を重視するので『ディフェンスが弱い』という印象がある久保の出場時間も減って、チームに影響を与える活躍はできませんでした」(清水氏)

さらに5月下旬、ヨーロッパ最高峰の大会であるチャンピオンズリーグ(CL)でレアルマドリードが優勝。そのことが、久保に別の重圧を与えることになった。

「優勝を決める決勝ゴールをあげたブラジル代表のヴィニシウスは、久保より1年早くレアルに加入し、年齢も同年代の21歳で今年ブレイクしました。片や久保はマジョルカで1ゴールに終わった。自分の今の位置を痛感させられて、焦りもあると思います」(同)

久保が昨年秋に右膝を痛めて戦線離脱を余儀なくされていた頃、日本代表もピンチを迎えていた。昨年9月にはじまったW杯アジア最終予選の初戦で敗れ、3戦終了時点で1勝2敗。4戦目となった10月12日の豪州代表戦は「負けたら森保監督解任」が囁かれた。この試合を境に戦術の変更や選手の入れ替えも少しずつ行い、結局、がけっぷちから破竹の6連勝。『堅守速攻』の形を確立させて7大会連続W杯出場を決めた。

「日本代表はシステムをダブルボランチの4-2-3-1から、トリプルボランチの4-3-3に変更して守備が安定しました。また攻撃陣も、2列目の右サイドの伊東純也が爆発的なスピードで4試合連続ゴールを決め、パスもシュートもまんべんなくこなせる南野拓実が2列目の左サイドに固定された。この位置では、ドリブルで相手DFをかく乱できる三笘薫が途中出場で結果を残し、オランダリーグで今季10ゴールあげた堂安律もいる。

 1トップには森保監督がずっと信頼を寄せる大迫勇也、彼が不在でもスコットランドリーグで活躍した古橋亨梧や前田大然がいて、彼らは伊東や南野のポジションもできる。久保がいなくても戦えることが証明されてしまったんです。さらに、ヨーロッパリーグ(EL)で11ゴールをあげて日本人で2人目となるEL優勝に貢献した鎌田大地もこの6月に久しぶりに代表に復帰した。今の久保はもう4、5番手なんです」

森保監督の起用法から考えられる日本代表攻撃陣の序列

森保監督の選手選考にどんな基準が存在するのだろうか。

「あくまでも私の感覚ですが、森保監督は現役時代、目立たないけどチームのために汗をかき続けるボランチだったので、日本代表の選手にも勤勉さを求めていると思う。『南野のポジションに久保を使えるのではないか』という意見もあるのですが、私から見て、南野は森保監督が求めることをやろう、とつとめますが、久保はそこに『自分の考え』が入ることがあるので、森保監督の信頼感は南野のほうにあると思いますよ」

『自分の考えが入る』とはどういうことなのか。

たとえば、6日のブラジル戦は押し込まれる時間帯が長く、W杯で対戦する「仮想ドイツ、スペイン」と言える試合だった。先発した南野や伊東は、0-0が続いた前半37分すぎに自陣ゴール前までブラジルに攻め込まれたピンチの場面で、最終ラインまで戻って守備に参加し、ピンチの芽をつんだ。この献身的な姿こそ、森保監督が求めているものだ。

「久保はブラジル戦に出ていないので単純比較はできませんが、これまで彼が出てきた試合をずっと見ていると、『最終ラインまで下がると自分の良さは消えてしまう』と久保自身は考えていると思います。だから守備に回った時に、場面によっては自分の判断で守備を他の選手に任せて、ボールを奪った後のチャンスに備えたポジションをとることがある。裏を返せば、相手に攻撃スペースを与えてしまっていることにもなるんです。それは『チームみんなでやる』という森保監督のポリシーとは少しズレます。

 もちろん、ブラジル代表のネイマールやアルゼンチン代表のメッシもそういうリスクを冒すことはありますよ。でも彼らは、チャンスの時にゴールという結果をチームにもたらす。残念ながら所属クラブで結果が出せていない久保に、その『特権』は与えられないと思います」

では、久保はどうすれば浮上できるのだろうか。

「とにかく10日のガーナ戦、14日の最後の試合で何らかの結果を残すこと。そしてこれから所属クラブではじまる新シーズンで、鎌田を超えるインパクトを残すことです。

鎌田はELでアジア人歴代ナンバー1の11ゴールをあげる活躍を見せて、代表復帰初戦となった2日のパラグアイ戦でも点をとったのに、ブラジル戦では先発できなかった。つまり森保監督の中で選手の序列はある程度、決まっているんです。それを覆すには数字を残すしかありません。

久保はまだ21歳。能力のある彼が近い将来、日本代表の中心になれば、彼も日本のサッカー界も幸せになるはず。その意味でこの1年、どんなシーズンを過ごすかが重要になると思いますよ」

10日の試合は久保にとって、サッカー人生がかかっているといっても過言ではない。

昨夏の東京五輪で1次リーグを勝ち進んでいる時の久保建英(右)と森保監督。この信頼感を取り戻せるか(写真:共同通信)

Photo Gallery3

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事