BTS活動休止で見えた韓流アイドルの「構造的問題」 | FRIDAYデジタル

BTS活動休止で見えた韓流アイドルの「構造的問題」

世界トップアイドルの突然の活動休止の背景にあったK-POP界の問題点とは

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「自分だけの時間を過ごしたうえで、成熟されて自分のものにならないといけない。だが、10年間『BTS』の活動をしていて、物理的にスケジュールをこなすことに必死で、自分自身が成長できない」

6月14日、人気K-POPグループ『BTS(防弾少年団)』が自分たちのYouTube『BANGTANTV』の中で活動休止を宣言し、世界中のファンから動揺の声が上がっている。

リーダーのRM(アールエム・27)は動画内で冒頭のように現状を振り返り、「『Dynamite』(‛20年8月)まではグループが自分の手の上にあった気持ちだったけど、そのあとの『Butter』(‘21年5月)や『Permission To Dance』(‛21年7月)からは自分たちがどういうグループなのかわからなくなった」と心境を吐露。活動再開は未定だという。

「グループ活動の休止は’20年2月にリリースした『MAP OF THE SOUL: 7』に収録されたシングル『ON』のリリースの頃からあったそうです。その後、ワールドツアーを行う予定だったんですが、それもコロナの影響でなくなってしまった。J-HOPE(ジェイホープ・28)がアルバム作成の準備中に、『JIN(ジン・29)は俳優がやりたいと話していた』と語るなど、長くグループ活動を続ける中で、メンバーそれぞれのやりたいことが出てきたのかもしれません」(K-POPに詳しい音楽事務所関係者)

しかし、理由はそれだけではないようだ。そこにはK-POPアイドル界が抱える商業主義が存在する。

「ビッグヒットのために日本や世界へ打って出るのが韓国アイドル業界の常識です。国外進出の際に必要になるのが『完成度』。そのため芸能プロダクションは金をかけてビジュアル面からパフォーマンス面まで徹底的に鍛え上げます。『BTS』や『TWICE』などの売れっ子を含め、彼らは基本的に事務所が用意するマンションで生活し、トレーニングに励みます。

芸能プロにとってアイドルは“投資対象”であって、デビューさせることは“投資の回収”でしかない。それだけに、いったん所属すれば契約でがちがちに拘束してほかに逃げないようにし、殺人的スケジュールでの稼働を求めます。リーダーのRMも動画内で『K-POPアイドルのシステム自体が人間を成熟させてくれない。(中略)常に何かを発信していないといけないから、自分が成長する時間がない』と発言しています。それほど、業界内ではアイドルは“商品である”という考え方が普通なのです。メンバーたちの中に芽生えた『消費されるだけで終わりたくない』という意志が、今回の活動休止を決断させたのかもしれません」(韓国芸能プロ関係者)

別の構造的問題も存在する。それが兵役だ。韓国政治に詳しいライターの金香清(キム・ヒャンチョン)氏が語る。

「韓国には徴兵制度が存在し、男性は満20~28歳の誕生日を迎えるまでの間に兵役に就く義務があります。過去には、韓国を代表する歌手だったユ・スンジュンさん(45)が、アメリカ国籍を取得して兵役を逃れたことがありました。彼は現在も韓国への入国が禁止されています。兵役とはそれほど重い義務なのです。『BTS』は’21年6月に施行された改正法、通称『BTS法』により、大衆文化芸術分野優秀者として入隊が2年延期されている状態です。しかし最年長のJINさんは今年12月に30歳を迎えるため、それまでに必ず入隊しなければならない。ほかのメンバーも大半が20代後半ということを考えると、’26年ごろまでは全員が揃うことは難しいでしょう」

様々な要因から、活動休止という結論に至ったメンバーたち。今後はソロ活動を中心に行うという。

「最近では4人組グループの『SHINee(シャイニー)』が同じような活動休止を経験しています。’18年12月にメンバーの一人が入隊したことをきっかけにソロ活動中心に切り替えた。’20年から4人での活動を再開させましたが、’21年5月には再びメンバーの兵役を理由に活動休止を宣言しています。

休止期間を挟むと、当然ですが人気は落ちていきます。オリンピックメダリストなどと同様に、多大なる功績を挙げたアイドルには兵役を免除すべきだという世論も高まっていますが、年内の実現可能性は低い。アイドル業界では、しばらくこの構造的問題が続くと思います」(前出・芸能プロ関係者)

今日に入り、所属事務所『HYBE』の株価が20%以上も急落するなど、影響は多方面に広がっている。世界を代表するトップアイドルグループだけに、活動休止の余波はしばらく続きそうだ。

 

  • 写真共同通信イメージズ

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