BTS活動休止…姿重なる「ジャニーズのアイドルグループ名」
世界的人気を誇る韓国の男性アイドルグループ・BTSがまさかの活動休止を発表した。これにより事務所の株価が23%も急落するなど、まさにエンタメ界は大混乱という様相である。
しかしBTSの活動休止の理由は、決してネガティブなものではない。「人として成熟する時間が欲しい」というのが一番の理由のようだ。
少し前までは、大人気グループの活動休止または解散理由といえば、そのほとんどがメンバーの不仲によるものだった。たとえば東方神起。現在はユンホとチャンミンの2人グループだが、かつては5人グループで、日韓両国で絶大な人気を博していた。しかし報酬への不満から、09年に3人が事務所を提訴。このときメンバー内で意見が割れ、今の2人だけが残ったという形だ。
もう1グループ、記憶に新しいのはSMAPだろう。16年に事務所からの独立を巡ってやはりメンバー内で意見が割れ、解散せざるを得ない結果になってしまった。
「仕事を辞めたい」と苦悩
しかし今回のBTSの活動休止には、そういった不穏な要素はとくに見られない。この状況を見て、誰もが思い重ねたグループがあるのではないだろうか。そう、あの国民的アイドルグループ・嵐だ。
20年の大みそかをもって活動休止を発表した嵐は、長く5人のメンバーの仲の良さで知られていた。それだけに活動休止は驚きを呼んだが、その経緯も非常に彼ららしいものだった。多忙なアイドル活動に疲れ「仕事を辞めたい」と苦悩していたリーダー・大野智を思いやり、「活動休止というスタイルをとってもいいんじゃないか」と皆で話し合って決めたのだという。見事なまでの平和的着地だった。
今回のBTSも、本人たちの発表を見る限り同様の印象を受ける。「疲れ切ってしまった」「今必要なのは変化」とメンバーたちで話し合い、皆が納得したうえでたどり着いた結論のように思える。
このBTSと嵐の活動休止経緯について、音楽事情に詳しい音楽ライターは次のようにコメントしている。
「かつては癖の強いメンバーが集まってこそパワーあるグループが生まれる、という価値観が一般的でした。それゆえ、いつかはそれぞれの個性が枠内では収まりきらなくなりぶつかり始める。それがさだめでもあったと思います。
しかし平成に入ると、世の中が求めるものが変わってきました。弱肉強食の時代が終わり、皆が幸せになるためのベストな道を探ろう、という空気になってきた。そんな時代を象徴するかのように台頭してきたのが嵐だったと思います。
K-POP界自体はまだまだ個人のカリスマ性を最重視する傾向がありますが、日本と同じように、メンバー同士は互いを尊重する方向に変わってきているのかもしれません。BTSは疲れ切ってしまった背景の一つとして、『K-POPの構造の問題は、人として成熟する時間を与えてくれないことだ』と述べています。今回の彼らの決断が、事務所も所属タレントを尊重する、という方向に変わっていくと良いのですが」
「成長して皆さんの前に戻ってくる」と約束したBTS。そのときK-POP界はどのように変わっているのか、注目していきたい。
取材・文:奈々子
愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター
写真:London Entertainment/REX/アフロ