『六本木クラス』期待はしてるけど…本気度を疑ってしまうワケ | FRIDAYデジタル

『六本木クラス』期待はしてるけど…本気度を疑ってしまうワケ

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2003年に移転して以来、六本木に本社を構えるテレビ朝日。『六本木クラス』を手がけるにはうってつけだとも思えるけれど… 写真:共同通信

あの『梨泰院クラス』の日本リメイク版『六本木クラス』がまもなく見られる! しかもキャストも竹内涼真や香川照之など豪華!

……なのに韓国ドラマ好きで、テレ朝OBの私がいまだに「あまりときめいていない」のはなぜだろうか。不思議なものである。

いまさら説明するのも野暮だが、『梨泰院クラス』といえば一昨年くらいに、つまりちょうどコロナ禍の初期に起こったNetflixの韓国ドラマブーム一大旋風を巻き起こした、『愛の不時着』と並ぶ大ヒット韓国ドラマだ。その日本リメイクとなれば結構盛り上がってもいいはず……ではある。

なのになぜ、私の心はこんなにザワザワしているのだろう。どことなく「嫌な予感」すらしてしまっている。「早く見たい」のか「見るのが怖い」のか…変な心の中の闘いが始まってしまっているのはなぜだろう。

それはあるドラマの「悪夢」が頭の中に浮かんできてしまうからだ。そう、『24 JAPAN』である。

リメイクドラマは「超人気コミックの実写化」とよく似ている

そもそも、海外のドラマのリメイク版はなぜ面白いのか。それは、非常に当たり前の話であるが、「海外の国でヒットしたという実績がある」からだ。どこかの国でその国の人たちが魅了され、ヒットした。だからこそリメイクするわけだ。

およそテレビ番組というのは「水もの」だ。やってみなければヒットするか大コケするかは誰にも分からない。ましてドラマは一旦スタートしてしまえば、バラエティなどと違って途中で手直しするわけにもいかず、コケようが大事故を起こそうが最終回まで突き進むしかない。

少しでもそのリスクを軽減させようとすれば、海外でヒットしたドラマのリメイクをやるのは素晴らしい方法だ。海外でヒットしたイコール、ドラマとして良くできた話である保証があるようなものだからだ。

日本でその原作ドラマに沿ってリメイク版ドラマを作れば、日本の視聴者も「いい話だ」と思って魅了される確率は、それなりに高い、と読むのは真っ当な予測だと言えるだろう。

まして、日本と韓国は地理的にも文化的にも近い。韓国でヒットすれば日本でもヒットする、はある意味真理に近い「鉄板論理」だと思う。現に、『ボイス 110緊急指令室』『知ってるワイフ』『未満警察 ミッドナイトランナー』などなど、韓国ドラマのリメイクは枚挙にいとまがなく、どれもそれなりに面白い出来栄えになっていると思う。

しかし、私は「海外ヒットドラマのリメイクは当たる」にも例外があるような気がしている。それは「あまりにも原作ドラマが日本でも有名な場合」である。

原作が日本でもあまりに有名だとどうなるか? 簡単に説明すると「超人気コミックをドラマ化したとき」と同じような現象が起こるのではないか。

『24 JAPAN』より、『六本木クラス』の方がハードルは低め?

あまりに原作コミックが素晴らしくて、たくさんのファンがいる。それをドラマ化すると「主人公のイメージが違う」とか「そんな話ではなかったのではないか」とか「世界観を壊さないでくれ」とか、いろいろな拒否反応が起こりがちだ。

宿命的に「素晴らしすぎる原作」と常に比較され、「なんだか違う劣化コピー」として「パチモン認定」されてしまう危険性を常に孕んでしまうのは、原作が有名すぎるが故の「どうにも避けがたい宿命」であると言えるだろう。

まさにこの「超人気コミックをドラマ化したとき」と全く同じ現象が「日本でも超人気の海外ドラマ」をリメイクしたときにも起こるのではないかと思うのだ。

話を『24 JAPAN』に戻そう。ちょうど『梨泰院クラス』が大旋風を巻き起こした一昨年、あのアメリカの世界的大ヒットドラマ『24』の日本リメイク版が公開された。

唐沢寿明がジャック・バウアー日本版となり…あまり蒸し返したくはないが日本中に酷評の嵐を巻き起こした……とまで言っては申し訳ないが、伝説的な世界大ヒットドラマのリメイクにしては惨憺たる結果に終わったドラマだ。

この『24 JAPAN』が残念な結果に終わったのは、私の自説によると「世界的大ヒットドラマだったのになぜ」ではなく「世界的大ヒットドラマだったから必然的に」なのである。

原作ドラマが日本でもあまりにも有名だったが故に、逐一原作と視聴者の脳内で対比され、常に「キーファー・サザーランドと唐沢寿明」が、そして「20世紀FOXテレビジョンが制作した世界的レベルのアクションシーンと、土曜ワイド劇場クオリティの超ドメスティックレベルのピストルパンパン」が比較検討されてしまい「なんとなくパチモン感が否めない」というふうになってしまったのではないか。

この『24 JAPAN』をリメイクしたのは、そう、今回『六本木クラス』を制作するテレ朝だ。

なんとなく「テレ朝が『24 JAPAN』の轍を再び踏みそうな感じがしてならない」のが、たぶん私の「嫌な予感」の大きな部分を占めているのだと思う。

「なぜまた大ヒットドラマをリメイクするのだテレ朝さんよ」である。夏の虫が火に向かって飛んでいくかの如く、我が出身母体テレビ朝日が海外大ヒットドラマにふらふらと吸い寄せられていく。

「すでに竹内涼真のパク・セロイ風の髪型とかネットをザワつかせてるけど、大丈夫なのか?」という老婆心が沸々と湧いてしまっているのである。

ここは「テレ朝のドラマ班を信じたい」と思う。「なんとなくパチモン感が否めない」という仕上がりには決してなっていないだろうと。同じ過ちを繰り返すことは、まさかないだろうと。

そう、『24 JAPAN』と違って、『六本木クラス』にはアクションシーンは無いのだから、「原作と予算がびっくりするくらい違う(安い)」からと言って、それほどそのことが出来上がりに影響することはないのでは、と私は自分に言い聞かせている。

きっと「安っぽいパチモンだ」と言われないように、豪華な出来上がりを目指して、手間をかけてキッチリと良いものに仕上げてくれるはずだと信じたい。

……が、その上で言いたいことがもうひとつだけある。それは『六本木クラス』は本当に「六本木」で良かったのか?ということである。

「社内ロケ多め」なテレ朝ドラマだからこその不安点

確かに原作が韓国人漫画家によって書かれた『梨泰院クラス』という漫画で、その漫画を「日本に翻訳ローカライズする際に『梨泰院』を『六本木』にした」のだから仕方がないのかもしれないが、ぶっちゃけ「六本木は梨泰院ではない」と私は思う。

一応私は2000年代初頭から韓国取材を繰り返してきた。訪韓回数はほぼ100回。韓国語も拙いが話せる。梨泰院にも何十回も行ったことはある。そして、テレ朝で勤務した四半世紀くらいの間ほぼ毎日のように六本木にいたことから、六本木とも縁は深い。

その私の個人的意見では、梨泰院と六本木の共通点は「米軍に関係していること」くらいだ。梨泰院の近くには米軍龍山基地があり、六本木にも星条旗新聞など米軍基地がある。

しかし、それ以外は「確かに似ているが全く違う」街だと思う。梨泰院はかつて怪しくて猥雑な感じがする「風俗街」だった。しかし、だんだん若者向けのお洒落な飲食店が集まってくるようになり「流行の最先端をいく街」になった。

だからこそ原作ドラマ『梨泰院クラス』は梨泰院を舞台に選んでいると思う。「飲食の流行最先端である梨泰院を舞台に、しのぎを削りトップを狙う」という主人公の生き様の舞台として、梨泰院が最適だったわけだ。

六本木は確かにかつては飲食の最先端の街だったろう、バブルの頃は。しかしその後どちらかというと猥雑な風俗方向へと進んでいき、一時期は「飲み放題揉み放題」などと声をかける風俗店の呼び込みが闊歩する街と化していた。

そして現在はむしろ六本木ヒルズや東京ミッドタウンなど高級イメージがつき、飲食店は「高級で完成された店」が集まる街となったと言えるのではないか。決して最先端で「若者たちがしのぎを削る」街ではないはずだ。

たとえローカライズ版マンガの存在があったとはいえ、ここはドラマ化を機に渋谷区内とかもっと適した街に設定を変えるべきではなかったのか。まして六本木に本社を置き、六本木のことなら知り尽くしているテレ朝なのだから……。

と、ここでハッと変な妄想が頭に浮かんだ。まさかとは思うが「六本木なら自社の社内で簡単に撮影できるから」という、省エネ省予算的な変な理由が関係してはいまいか。

実はテレ朝のドラマには、「テレビ朝日の社内」がかなり頻繁に登場している。会議室のシーンなどは、本社8階にある役員会議室がしばしば使われているし、2階にあるプレゼンテーションルームという部屋もよくドラマに登場するし、7階の社員食堂なんかもよく登場する。

今回は「抜け(後ろに見える「背景」)の景色が六本木」な方が都合が良いわけだから、そういう意味では7階の社員食堂なんかは六本木ヒルズ森タワーがよく抜けるので最適ではないか。

原作ドラマ『梨泰院クラス』では高い場所から街の夜景を見下ろすシーンがよく出てくるが、あのシーンなんか「7階にあるテレビ朝日稲荷の横にあるスペース」が東京タワーも見えるし最適だよな、とか思わず考えてしまう。

しかも本社ビル以外にも、六本木には「EXシアター六本木のビル」もあれば「テレビ朝日アスク(アナウンススクール)のビル」もあるし、アークヒルズのテレビ朝日映像もある。面倒な撮影許可を取らなくても、やろうと思えば結構社内で「安易に」撮れてしまいそうである。

よもや、それが理由ではない……よね? まさか、手間もお金もかけずに撮影できるから『六本木クラス』をやるのではないよね?

これは全く的外れな私の妄想であると信じて、テレビ朝日の『六本木クラス』が韓国をも凌駕するような名作となることを祈りつつ、今から初回放送の7月7日七夕の日を、ワクワクしながら心待ちにしたいと思っています。ハイ。

  • 鎮目博道/テレビプロデューサー・ライター

    92年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教関連の取材を手がけた後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島取材やアメリカ同時多発テロなどを始め海外取材を多く手がける。また、ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」、「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、放送番組のみならず、多メディアで活動。江戸川大学非常勤講師。MXテレビ映像学院講師。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルをライフワークとして研究、記事を執筆している。近著に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)

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