『BTS』活動休止報道で事務所株価25%暴落の裏にある深刻理由
韓国の超人気グループ『BTS』の“活動休止報道”に衝撃が走っている――。
きっかけは6月14日に公開したグループの公式ユーチューブの動画で、リーダーのRMが多忙ぶりを明かし
「BTSを長く続けるためには、自分1人に戻る時間が必要」
と告白。メンバーのVも
「グループ活動ばかりだったから、ソロで活動して再び集まれば、シナジー効果が出ると思う」
と前向きに語った。一方でグループの解散は強く否定し、各自がしばらくソロ活動に専念したのち、再びBTSとして結集するとした。
この一報に「ARMY」と呼ばれるファン同様、大きく反応したのが株式市場だ。
15日の所属事務所『HYBE(ハイブ)』の株価は前日比25%安の14万5000フォンまで急落、同社株価が15万ウォン以下に下落するのは‘20年11月4日以来、1年7か月ぶり。時価総額は1日で1兆9850億ウォン減少したことになる。
「BTS関連の売上が同社の営業利益の70%を占めているのだから、パニック売りに近い投げ売り状態になった」
とは市場関係者。予想以上の市場の反応にHYBEは「グループ活動休止」は誤りで
「ソロ活動に重点を置くだけで、団体活動も並行していく」
という主旨の緊急声明を出した。ただ、これを市場関係者が鵜呑みにしたかと言えば、そうではない。
HYBEの“火消し声”後の16日の終値は、前日比2%高の14万8000ウォンにとどまった。もちろん世界的な資源高や通貨安など、エンタメ以外の要素が影響した部分もあるだろうが、それを踏まえても、25%急落からの2%戻しは物足りない。
「つまり市場もHYBEの声明に懐疑的な目を向けているということです。グループとしての活動日程を速やかに出していたならば、違ったでしょう。7人そろったBTSとしての活動が減れば、同社の業績後退は避けられません」(同・市場関係者)
HYBEの主張とメンバーの言葉に微妙な違和感を抱く人も多い。RMは動画で
「自分が成長する時間がない。僕たちのチームが何なのか、どうすべきか分からなくなった。活動の方向性を見失った」
とまで語った。複数メンバーはARMYのことを思い、涙まで流した。
「それなのに、HYBEが『グループ活動も継続』と強調するのは腑に落ちない。きっと株価対策なんだろうと。事務所とメンバーの言い分に微妙なズレを感じてしまう時点で今後が不安になってきます」(20代の熱狂的なARMY)
兵役の問題もある。韓国では18~28歳の健康な男性は全員、約20か月間の兵役につく義務がある。BTSではJINを筆頭に複数のメンバーが28歳を超えているが、それでも兵役に行かず活動できているのは‘20年にいわゆる“BTS法”が成立し、特別に期限が2年延長されたからだ。
しかしそれも期限がある。メンバーのJINは今年12月に30歳を迎え、SUGAも来年3月に30歳になる。
「グループ活動の一時休止という表現は、JINとSUGAの入隊を遠回しに表現したように思える」(スポーツ紙記者)
韓国内ではBTSの兵役免除を求める嘆願が出されているが、それが通る可能性は低い。
「HYBEの株価の急落には予兆があった。集大成のアルバム『Proof』が韓国で発売された6月10日(日本発売は6月13日)は22万3500ウォンの高値をつけたが、週末を挟み、6月13日には一気に19万9000ウォンまで下げている。休止発表前なのに、新アルバム発売で“区切り”と考えた投資家が多かったようだ」(前出・市場関係者)
“BTSショック”はまだまだ続きそうだ…。
写真:ロイター/アフロ