新庄監督ブチ切れも…日ハム清宮「珍しく激高した」驚きの背景
意外な光景だった。
6月17日に札幌ドームで行われたロッテ戦。1塁を守る日本ハムの清宮幸太郎(23)は先発・上沢直之からの牽制球を受け、慌てて帰塁した走者・高部瑛斗をタッチする。アウトに見えたが1塁塁審の判定はセーフに。清宮はスグに右手を小刻みに振り「違う、違う」と猛アピール。新庄剛志監督がリプレー検証を求めると、判定は一転しアウトとなった。
「おおらかな清宮が激高するのは、とても珍しい。あまり見たことがありません。よっぽど判定に納得がいかなかったのでしょう」(球団関係者)
抗議だけでなく、最近の清宮は初球から振っていくなど積極的なプレーが目立つ。清宮が変わった背景には、どんな事情があるのだろうか――。
今季の清宮は、キャンプ中から注目されていた。新庄監督の指示で5~6kgの減量に成功。自主トレではソフトバンクの主砲・柳田悠岐に師事し、練習試合では中日・立浪和義監督の指導をあおいだ。だが……開幕当初は打率2割を行ったり来たりと低迷が続いた。
「新庄監督は、『違うんだよなぁ』とたびたびダメ出ししていました。4月30日のロッテ戦では、第1打席にタイムリーヒットを放った清宮を、第4打席でベンチに下げた。新庄監督は、理由をこう語っています。『凡打でもいいから、オレのイメージどおりに振れば交代はなかった。三振でも次は期待できるっていう感じなら使うし』『間がない。ベッタリ感というか、早めにタイミングとって打っている感じ』と」(同前)
「あんなミスしたら一生あがれない」
新庄監督の怒りが爆発したのが、5月25日のヤクルト戦だ。2点リードの9回表1死1、3塁のチャンスに、新庄監督は重盗を指示する。しかし3塁走者の清宮は、素早いスタートが切れず本塁で憤死。結局その裏ヤクルトに逆転を許し、日ハムはサヨナラ負けを喫した。新庄監督は試合が終わっても怒りが収まらない様子で、報道陣にこうブチまける。
「ある? こんなゲーム。あんなミスをしていたら一生、上にあがっていけないよね」
清宮は育ちがよく、おっとりした性格だ。口では「必死です」と言っても危機感が薄く、イマ一つ調子に乗れなかった。意識を変えたのは、新庄監督のアドバイスだったという。
「新庄監督は現役時代、守備を重視する選手でした。溌剌とプレーすることで、打撃にも良い流れが出ると考えていた。清宮は守備を軽視していたワケではないでしょうが苦手意識があり、打撃を重視していたんです。持ち味のバッティングで結果を残すために、打撃練習に専念したいと考えていたのでしょう。
新庄監督は、金子誠・野手総合兼打撃コーチを通じて清宮にこう忠告したとか。『守備でリズムを作れ』と。交流戦以降、アドバイスを受けた清宮は相手チームの1塁手をジックリ観察するようになります。守備練習にも意欲的に取り組み、打撃にも徐々にリズムが出てきました。打率も2割台半ばに上昇。気持ちも前向きになり、積極的なプレーが目立つようになったんです」(スポーツ紙担当記者)
新庄監督の金言で意識改革に成功した清宮。日ハムの顔として、真価が問われるのはこれからだ。
- 写真:共同通信社