関東再び40℃超えの恐れ!「危険な暑さ」が迫っている
池田沙耶香の最新気象アラート
東京は6月史上初の連続猛暑日に
危険な暑さが続いている関東地方。東京都心は6月25日から28日まで4日連続で最高気温が35℃を超えて猛暑日が続いています。これまで東京都心で6月に猛暑日が2日以上続いたことはなく、観測史上初の連続猛暑日となっています。また、きょうも最高気温36℃の予想で猛暑日記録はまだまだ更新されそうです。
さらに、関東内陸では再び40℃を超えるおそれがあり、記録的な暑さが見込まれます。
きょう・あすが暑さのピークで今週いっぱい危険な暑さが続きます。
きょうは茨城・栃木・群馬・埼玉県で熱中症警戒アラートが発表されていますが、あすは東京都も今年初の熱中症警戒アラートが発表されるかもしれません。
連日の暑さで夜間も気温が下がりきらず熱帯夜となるところも多いでしょう。昼夜問わず、暑さ対策が必要です。
高気圧が勢力を強め、梅雨前線が北上。統計史上もっとも早い梅雨明けに
気象庁は6月27日に九州南部、東海、関東甲信地方で、28日に九州北部、中国、四国、近畿、北陸地方で梅雨明けしたことを発表しました。統計開始以来もっとも早い梅雨明けとなったところがほとんどで、関東甲信地方は梅雨の期間が21日間と最短です。
(この後見直しが行われ、毎年9月1日に確定の日付が発表されます)
今年は、夏の高気圧(太平洋高気圧)の北への張り出しが強いと予想されていましたが、まさにこの高気圧が一気に勢力を強めて、梅雨前線を北日本まで押し上げています。
この前線に向かって南から暖かい空気が流れ込み、西日本・東日本は気温が上昇、さらに夏の高気圧に覆われているため、日差しもあってさらに気温が上がりやすくなっています。
まだ6月ですが、すでに真夏のような天気となっています。
【熱中症警戒アラート】「暑さ指数」が33以上になったら、熱中症警戒アラート発表
気象庁では、2021年から全国を対象に熱中症の危険性が極めて高くなると予想される日の前日夕方、または当日早朝に、府県単位で「熱中症警戒アラート」を発表しています。
この熱中症警戒アラートは、気温のほかに、湿度や照り返しの熱などを考慮した「暑さ指数(WBGT)」というものを基準に「暑さ指数」が「33」以上になると予想されたときに、発表されています。「暑さ指数」とは、気温、湿度、輻射熱(日差し等)からなる熱中症の危険性を示す指標です。
自分が暮らしている地域の状況は以下のサイトから知ることができます。
【連続猛暑日】2010年、2018年には関東甲信地方でも連続猛暑日が
気象庁は今年の夏はラニーニャ現象の影響で、全国的に暑くなると予想しています。
今年と同じような現象が起きたのは2010年夏。6月26日には北海道で、この年全国初となる猛暑日を記録し、最高気温が平年を15℃以上も上回る異常高温も観測されました。
埼玉県越谷市では8月21日から9月7日まで連続18日間、茨城県古河市やさいたま市、東京都練馬区などでは連続17日間の連続猛暑日を記録。また、熱帯夜の年間日数は、東京で56日(平均:27.8日)でした。気象庁は、この猛暑を30年に一度の異常気象と認定しました。
この年、熱中症での死者は厚生労働省の調べによると、東京都で272人、埼玉県で124人を数え、全国で1718人。統計史上初めて1000人を越えました。
異例の早さの梅雨明けになったのは、太平洋高気圧の張り出しが強く、梅雨前線の押し上げが早かったため。2018年にも同じような現象となり、日本全国で7月に熱中症により緊急搬送された人は5万4220人、死者は133人で、2010年7月の死者95人を上回りました。
【熱中症予防】「熱中症警戒アラート」が発表されたら…
気象庁の予想気温は直射日光の当たらない、風通しの良い場所での気温を想定しています。街中の日の当たる所ではもっと気温が上がり、特に子どもは、大人より地面に近いところでアスファルトの照り返しの影響を受けるため注意が必要です。
- □エアコンを適切に使用する
- □外出はできるだけ控える
- □熱中症のリスクの高い人に声かけをする
- □外での運動は原則中止・延期する
- □暑さ指数を確認する
- □1日あたり1.2リットルを目安に、のどが渇く前に水分補給
また、閉め切った車の中は短時間で気温が上がり、50℃以上まで気温が上がることもあります。ほんの少しの時間でも子どもを残して車を離れることは危険です。
環境省・厚生労働省によると、東京23区において熱中症で亡くなる方の9割は高齢者ですが、その9割が屋内で熱中症にかかっているそうです。「長時間エアコンを使うのがもったいない」「クーラーの風が苦手」など、さまざまな理由があるようですが、部屋の暑さに気づいていない場合もありますので離れて暮らすご家族が電話をかけるなどの声がけが効果的です。
また、気温の高い日が続くため、夜間も気温が下がりきらず熱帯夜が続くところもありそうです。寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われていますので、寝る前の水分補給、さらに夜間もエアコンを上手に利用して、夜間の熱中症も防ぎましょう。
まだ身体が暑さになれていない時季なので、熱中症にならないように、いつも以上の対策を心がけましょう。
池田沙耶香 広島県出身。2015年に気象予報士資格を取得。「あさイチ」(NHK総合)、「ジェーン・スー生活は踊る」「たまむすび」「荻上チキ・Session」「5時のニュース・天気予報」「蓮見孝之 まとめて!土曜日」「土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送」(TBSラジオ 火・土)で気象情報を提供している。
- 取材・文:中川いづみ
ライター
東京都生まれ。フリーライターとして講談社、小学館、PHP研究所などの雑誌や書籍を手がける。携わった書籍は『近藤典子の片づく』寸法図鑑』(講談社)、『片付けが生んだ奇跡』(小学館)、『車いすのダンサー』(PHP研究所)など。