海外旅行再開で日本人が改めて直面する「没落日本」のリアル | FRIDAYデジタル

海外旅行再開で日本人が改めて直面する「没落日本」のリアル

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「格安な海外で買い物三昧」はもはや過去の話

海外旅行で、豪遊や買い物三昧。今の日本人にとって、もはや過去の話だ。現地へいざ行くと、数年前より明らかに割高感ある国・地域が増えた。逆に、近ごろ一時帰国した在外邦人らから「日本はなにもかも安い」との声も聞かれる。値上げラッシュが相次ぐ日本国内だが、それでもまだ「全然安い」という。

日本も今年6月10日から外国人観光客の受け入れを再開。現状は団体(ツアー)のみ(画像:アフロ)

新型コロナウイルス禍で2年あまり、海外旅行が気軽にできない状況が続いた。入国緩和がやっと始まり、今年の大型連休(GW)ごろから海外旅行へ行く日本人が増え出した。夏休みに向けて国際線の路線増便やツアーの販売再開なども続々報じられている。

筆者は昨秋から今年にかけ、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアをそれぞれ訪れた。いずれの国・地域でも、コロナ禍の前から物価上昇を感じてはいたものの、さらに「円安」「インフレ」も合わせて「日本が貧しくなってきている」のを現地で実感させられた。

アメリカではハンバーガーセットが1000円超え

まずは、アメリカ。訪米当時まだ1ドル=110円だった。中華料理やハンバーガーのセットが8ドル(約880円)、レンタカーが1日84ドル(約9300円)、3つ星ホテルが1泊125ドル(約14000円)など。コロナ前は同じハンバーガーのセットが6~7ドルだったので、ちょっと値上がりしたなと感じた。これが現在の1ドル=135円で計算すると、8ドルだと日本円にして1000円を超える。

ロサンゼルスのハンバーガー店に貼ってあった求人。時給最低17.25ドルから。2021年9月撮影

当時それより驚いたのが、ハンバーガー店に貼ってあったアルバイトの求人だ。時給17.95ドル~20.75ドル、各種健康保険、有給休暇、食事無料付きなどとあった。当時で約2000円以上、今だと約2800円だ。ちなみに、日本で最も高い東京都でも最低賃金は時給1041円である。

今年の大型連休にハワイ旅行へ行き、現地の物価高に驚いたという声を報道するメディアもあった。もともとハワイは本土よりも物価は高いのに加え、この円安だ。2年以上ぶりかつハワイリピーターだとなおさら実感させられ、インタビューを受けて開口一番に「なにもかも高い」と思わず言ってしまったのだろう。

シンガポールの『ダイソー』は、値上げで「2.14SGD(約214円)均一」に

続いて、アジア。筆者は2022年6月にシンガポールを訪れた。最も感じた物価高はホテル代金。3つ星ホテル程度だと1泊1万円ではほぼ見つからず、2~3万円もザラで連泊すると痛い出費に。1シンガポールドル(SGD)=86円ほどの感覚だったが、今回は円安につき1SGD=100円換算だった。

シンガポールの『ダイソー』入口にあった値上げの案内。日本で100円の商品は2.14SGD(約214円)に

また、現地の『ダイソー』も、基本2SGDから2.14SGDに今年5月より値上げ、公共交通機関も昨年12月に値上げされた。現地で食べたチキンライスは最安3.5SGD(約350円)で、これ以上の値上げも今後あり得ると現地で聞いた。

一方、今年のGWにタイ・バンコクへ渡航した知人が「飲食系はこの10年で1割ぐらいインフレ。10年前より1.5倍ほど飲食代が上がった感覚」と語っていた。

タイ・バンコクの繁華街、カオサンロードを歩く外国人観光客ら。2022年5月撮影(画像:アフロ)

例えば、食べ放題の回転タイスキ鍋(シャブシ)が2013年399バーツ→2022年429バーツ、カオマンガイが2015年40バーツ→2022年50バーツ、軒並み値上がりしたとのことだ。しかも、現地のタイ人の様子にも変化が見られ、「10年前に現地の人がほぼいなかった飲食店で今回は現地の人ばかり。つまりタイも都市部の所得が上がっているのを実感しました」とのことだった。

西ヨーロッパはもはや「別世界」、現地在住者も悲鳴

さらに、ヨーロッパでは、ここ数年で現地での割高感がさらに上がった。筆者が訪れた今年の4月、1ユーロ=136円ほど。特に「外食」が高かった。フィンランド・ヘルシンキにある「マリメッコ」本社に一般でも利用できる社員食堂があり、ブッフェ方式のランチで2018年は11ユーロだったのが、今回13.40ユーロ(約1900円)と値上がりしていた。

フランスでは、スターバックスのフラペチーノが5.95ユーロ(約820円)、サーモンのサンドイッチが5.5ユーロ(約750円)など。とても毎食で外食はできず、スーパーで閉店間際に半額シールが貼られた寿司パックやカップ麺を買ったり、日本から持参したみそ汁などでしのいだりもした。

筆者がヨーロッパ滞在中によく食べた、味の素のカップ麺。スーパーでも1個2ユーロ(約270円)近くした

イタリアから先日一時帰国した知人は、外食や買い物のたびに「日本は安い」としきりに話していた。「日本で1000円以下のランチセットは、イタリアだと20ユーロ(約2700円)前後します。安い部類のピザ1枚でも観光地だと7~8ユーロ(約1100円)ほどし、ドリンクやテーブルチャージも加わる。バールでランチをしても10ユーロ(約1350円)で済まなくなってきています」とのこと。日本で『ダイソー』を2年半ぶりに訪れ、価格が税別100円のまま、品数がさらに充実していたことにも驚いていた。

世界で最も物価が高い国スイスのスターバックスでは、カフェラテ(スターバックスラテ)がトールサイズ5.90スイスフラン(約840円)から

「ビッグマック」で世界の物価を比較、コロナ禍の3年間だけでも…

世界各国の物価や通貨の価値などを比べるのに便利な経済指針が、マクドナルドのハンバーガー価格で比較する「ビッグマック指数」だ。英国の経済誌『エコノミスト』が1986年に考案して毎年2回公表する。

「ビッグマック指数」を参考に当時の販売価格を為替レート(発表月の月間の平均レート)で計算したグラフ。6月29日の数値は、当日のレートで計算(The Big Mac index – The Economistを参考に編集部で作成)

ビッグマックは、日本ではここ数年「390円」で価格据え置き。一方、アメリカやユーロ圏、シンガポールなどは、円安も合わせて割高感がどんどん大きくなっている。アメリカの場合、2019年1月は600円ちょっとだったのが、現在は785円ほどと日本のほぼ倍だ。つまり、日本円は、先進国通貨の中では最も安い。実はタイ、ブラジル、韓国、中国といった新興国より日本円の価値がすでに低水準となっている。

日本と同レベルの国が、クロアチア、ポーランド、グアテマラ、ペルーなど。アジア圏で日本より下なのが、ベトナム、香港、台湾、マレーシアなどだ。G7(先進7ヶ国)では当然、最下位である。

シンガポールのマクドナルドでは、ビッグマックが単品630SGD(約630円)だったが、それでも大繁盛で混雑していた

その他にも、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表する「世界の統計」での「消費者物価指数」を見ると、日本の物価もここ数ヶ月で上昇が顕著となっている。ただそれでも他の国々よりまだ安いのもよくわかる。

世界各国の「消費者物価指数」の上昇率。特にアメリカやドイツなどはコロナ禍の3年の間に3.5倍以上も物価が上がっている(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 国際比較統計*消費者物価指数より)

バブル期の海外で起きていた現象が日本人に降りかかる日も近い!?

海外がいくら高くとも「日本国内にしかいないから関係ない」と思うかもしれない。しかし、そうでもない事態が近い将来に起ころうとしている。

訪日外国人旅行客は、現在はツアーのみだが、そう遠くない日に自由行動もできるようになるだろう。そうなった時、外国人が日本で豪遊する光景を目の当たりにすると考えられる。

京都・産寧坂(三年坂)は訪日外国人旅行客にも人気。現在は修学旅行生の姿を多く見かけた。2022年6月上旬撮影

5月半ば、ニューヨークから東京へ一時帰国した日本人は「すべてが3割引きな気分でした」と話していた。これは今後、訪日する外国人旅行客にも当てはまる。日本人は賃金が上がらないうえに値上げラッシュで生活が苦しくなる一方、日本で「爆買い」する外国人。確かに、日本の経済的にはありがたい限りではある。しかし、海外旅行が高くて行きづらくなり、さらに日本の割安さを存分に楽しまれては、なんとなく悔しい、虚しい気持ちにならないとも限らない。

かつて新興国で、日本人が大いに豪遊していたのを、複雑な気持ちで眺めていたであろう現地の人々。それをまさに日本人が、日本で味わう日が刻々と近づいているかもしれない。

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  • 文・写真Aki Shikama/シカマアキ(特記以外)

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