原材料費高騰が直撃中…ソウル駄菓子「ヤッターめん」工場に潜入! | FRIDAYデジタル

原材料費高騰が直撃中…ソウル駄菓子「ヤッターめん」工場に潜入!

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「子供の一時期の思い出となる駄菓子文化をなくしたくないんです」

どうやら正式名称は「ヤッター!めん」のようです

国民的駄菓子と言っても過言ではない、ヤッターめん。アナタも食べていましたよね、紙のフタを「ブシッ!」と親指で刺してガーッと口に流し込む、あのラーメンスナック。10円とか20円とか金券当たりが付いて、子供のギャンブル心をくすぐったものです。

そんな日本国民の大好きなソウルフード、昔は10円でしたが、この物価高騰の波で価格を保っていられるのだろうか!? と心配になり、製造元の『ジャック製菓』に話を聞きに行きました。

ほぼ家! な外観。オシャレなビルとかじゃなくて安心しました

会社は大阪・河内永和という、どローカルなエリアにあります。地図を片手に「絶対こんな住宅街にねえだろう」と疑いながら歩くと、戦前からありそうな建物から「プシュー、プシュー」と謎のプレス音が。見たら「ジャック製菓第2工場」と書かれていました。気づいたらその向かいの民家もジャック製菓の社屋。この一帯がジャック製菓にジャックされていました…!

本社に入ると迎えてくれたのは3代目社長の中野幹さんとそのご子息で専務の優さん。家族経営だったんですね。しかしこんな小さな会社で作られていたとはヤッターめん。私も子供の頃から(実は現在も)ほぼ主食と言っていいほどヤッターめんを食べ続けてきたので、感極まる想いでしたよ。

左が社長の幹さん、右が優さん。ヤッターめんの会社って感じの温和な人柄!

『ジャック製菓』の創業は昭和23年。聞くと中野社長の祖父が疎開で生野区からここに移転、もともとは菓子問屋だったのが「ニッキ棒」や「奉天」(て知ってます?)を製造するメーカーに。ヤッターめんの開発は今から30年ほど前とのこと。もっと前からあった気がするんですが、わりと最近の商品なんですね。

ちなみに現在の商品ラインナップは、ヤッターめんを筆頭に、「うんちグミ」「サッカースクラッチ」「イカ天でござる」など20種ほどだそうです。自慢じゃないけど私はこれら全部食べたことあります。なんなら今でも駄菓子屋で購入しているぐらい。

これでも商品ラインナップの一部です

『ジャック製菓』のすごいところは、「金券当たりくじ付き駄菓子一本でやっている」ということ。今ではほぼ同社ぐらいでしょう。しかも最高の当たり金額が100円ですから、大人でも手を出したくなるハイリターンなギャンブルですよね。

あ、気づいたらヤッターめんの当たりは「100円」「50円」「もう1個おまけ」に変わってた

ちなみに、当たったら駄菓子屋さんで金券として使えるわけですが、その分をどうやって店に還元しているのか。子供の頃からの最大の謎を問いかけましたら、「トータルの当たり金額と同等のハズレ商品を入れている」とのこと。つまり、400円分の当たりがある場合、100個入りのところを140個入れて卸しているのだそうです。全部売ればお店も損をしないってことですね。もちろん買ったお店以外に金券を持っていくのはご法度です。絶対にやめてください。「お店によっては商品一つ一つにハンコを押して対策したりします」とのこと。それ賢い!

ものすごいアナログ製法で作られている駄菓子たち 

憧れのヤッターめんの製造現場を見せてもらおうとしたところ、「ヤッターめんは製造量が多すぎて中身は他社で作っています」とのこと。だって1日に140個入りが1000箱ほど世に旅立っていくんですからね。グミやチョコレート系はここで作っています。

麺を手作業で型に入れます

ラベルを貼って、カットします。さすがに手ではありません

従業員は20名ほど。皆さんやっぱりヤッターめんが大好きで入社されたんですかね。そうだと思います。子供が友達に「うちのおとんヤッターめんの会社で働いてんねん」なんて自慢できて、ヒーローになれるでしょうね。羨ましい!

こちらは形をプレスする機械。表に聞こえる「プシュー、プシュー」はこの音だったのです
うんちくんグミの型だ! なんか笑えますね!

やっぱりイラストは社長が描いていた

こちらは新発売のおみくじヤッターめん。詳しくは後で説明します

しかしヤッターめんの中国人みたいなイラスト、ちょっと素人っぽくて親しみが湧きますよね。誰が描いているんですか? と聞いたら、「私が全部描いてますねん」と社長。えーやっぱり! そんな予感はしていました。

「子供の頃から漫画が好きで、漫画家になるのが夢やって。大学入って諦めたんですが、この会社でパッケージデザインをプロに頼むのが高くつくから、経費節約のために自分で描くことにして。中のおまけのシールも全部私が描いてます。一商品につき70種類ぐらいは作らないかんから、もう考えるだけでも大変でした」

涙ぐましいコストカットですね!あのイラストは社長の小さい頃からの夢が花開いた集大成というわけですよ。泣ける…。

キモカワレトロなイラスト、このまま変わらないでほしいです

ちなみにヤッターめんは2018年からパッケージが一新され、フタが紙からアルミになりました。角からめくると綺麗に開けることができ、「ズボッ!」と指を突っ込む必要はなくなりました。「前のフタも一応めくって開ける方式だったんですが、接着力が強すぎて剥がれなくて…。指で穴開けると金券の文字まで破れるからアカンなあ言うてたんですわ」と優さん。

昔から食べ続けている私も、リニューアル時に「ヤッターめんに現代化の波が!」と寂しい気持ちになったのですが、中国人イラストは変わらず。しかもフタがアルミになったことで湿気に強くなり、麺がパリパリしてフレッシュ感があるなあと感動していたものです。

綺麗に剥がれるヤッターめん、なんか寂しいのは私だけかしら

物価高騰の波。ヤッターめん、もう逃げ道がない… 

そろそろ本題に入りますが、やはりこの物価高騰で値上げを検討しているのか…と聞きましたら、「うちはもうすでに数年前から『オープン価格』なんですわ」との答えが。消費税が10%になった頃から、もう10円では難しくなっていたんですよ。だから10円とは謳わずに、駄菓子屋さんで自由に価格を決めてもらうスタイルに。実際、15円で売っている店も20円で売っている店もあります。

箱が一部モノクロの理由は、「売れ筋商品はカラーにするとお金がかかるから」とのこと。健気にコストカットしてます…

しかしこの物価高騰は増税以上の大打撃。「ラーメンの原料である小麦はもちろん、包材のプラスチック容器から、ビニール、アルミ、光熱費、輸送費…もう全部ですわ。昔は何か値上がりしても何かで調節すれば逃げ道があったんですけど、もう逃げ道がない。内容量減らすわけにもいかへんし。これまでも減量で凌いできたけど、開けてラーメン1/3くらいしか入ってなかったら悲しいしね」

確かに昔より量が減ったなーとは思っていましたが、苦渋の減量だったわけですよ。

今後も物価高騰は続く見込みで、『ジャック製菓』以外も駄菓子業界は悲鳴を上げています。「うちも切り詰めて切り詰めてやってきたんですけども、これ以上もう切り詰めるところがないんで、どうしても卸値を上げるしか方法がなくて…」。そんな悲痛な声を聞くと、物価高騰に対して怒りが湧いてきます。ヤッターめんに何してくれとんじゃと心底腹立ちます。

他にも、食品に対する表示義務や衛生基準が厳しくなり、少しのコストでも抑えたい駄菓子は窮地に立たされています。「賞味期限」に関してもそうです。1個1個に賞味期限を印刷すると経費がかさむので、ヤッターめんの袋入り商品も発売するなど回避策も。こちらは量販店でも販売できるよう、当たり付きではなく「おみくじ」を入れた「おみくじヤッターめん」という新商品。自社オンラインストアでも販売しています。

一袋に70個入りって、ちょっと怖い(笑)! もらったら嬉しいけど
金券ではなくおみくじ。「凶」「大凶」を入れちゃうあたり、ジャックっぽいですね!

大人も駄菓子を食べようキャンペーン発動じゃー 

物価高騰で打撃を受けている駄菓子業界を救うにはどうしたら良いか?と私なりに考えたところ、「もっと国民が駄菓子を買うべきだ」という答えに行き着きました。実際私は主食並みに駄菓子食ってます。近所にはまだ駄菓子屋が残っているので、子供に混じって堂々とヤッターめんとかグミとか珍味とか買い込み、「値段を気にせずに買える大人って素晴らしい」と毎回噛み締めています。「駄菓子は着色料が入っていて体に良くない」とか言う人、酒とか脂っこいラーメンとかインスタ映えするドギツイ色のスイーツとかの方が体へのダメージ大きいかもしれませんよ。

「そもそも駄菓子、売ってないし」と言う人、イオンモールとか三井系の商業施設には大体駄菓子屋入ってます。スーパーでも最近は駄菓子コーナーがあります。あ〜懐かしい! とたまに買うのではなく、日常食として常習的に購入して欲しいものです。

なんかのキャンペーンで作ったクッション。今も、クレーンゲームの景品となっているそうです。欲しー!

「こういった商品はもう少ないので、ウチは隙間で生きている会社です。だからこそ、子供の一時期の思い出となる駄菓子文化をなくしたくないんです」と中野社長。本当に同感。子供はもちろん、親も一緒に食べながら、「昔はヤッターめんって基本しけってたのよ」「よくズルしておばちゃんに怒られたなあ。駄菓子屋は社会勉強の場だったんだぞ」とか思い出話を語ってみてはいかがでしょう。

ヤッターめんは東大阪が誇るブランド食品なんだぞ!

 

  • 取材・文・写真猫田しげる

    1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。
    猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」http://nekotashigeru.site/

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