胸に触り布団を敷いて…女性記者が語る「永田町壮絶セクハラ体験」 | FRIDAYデジタル

胸に触り布団を敷いて…女性記者が語る「永田町壮絶セクハラ体験」

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今も昔もセクハラが絶えない日本の政界(画像:つのだよしお/アフロ)
今も昔もセクハラが絶えない日本の政界(画像:つのだよしお/アフロ)

「もう亡くなった大物政治家ですが、胸を触るのが大好きな人がいました。彼は小料理屋に行くと、中居さんの着物に手をつっ込んで触っているような人だったんです。ある時、私がたまたま隣に座ったら、ふざけて『おっぱい触ってもいいかな』と手が伸びてきた。そこで『ちょっとでも触ったら書きますよ』と言ったら、電気に打たれたようにビビビッと手が引っ込みました」

こう語るのは、毎日新聞論説委員の佐藤千矢子氏だ。大阪社会部やワシントン特派員などを経て、全国紙で女性初の政治部長となった有名記者である。佐藤氏は近著『オッサンの壁』(講談社現代新書)で、永田町で体験したセクハラを詳細に告白。男性優位な社会で居心地の良さに安住する政治家の危うさに、警鐘を鳴らしている(以下コメントは佐藤氏)。

「『週刊文春』が報じた(衆議院議長)細田博之さんのセクハラ疑惑についてはご本人が否定していて、私自身も噂話しか知らないので、事実関係についてはコメントできません。しかし、昔も今も政治家によるセクハラトラブルが絶えないのは間違いないでしょう。永田町の本質は変わっていないという印象を受けます」

佐藤氏は政治記者として、永田町で長年取材を続けてきた。自身がセクハラ被害を受けることも。政治記者になって2年目の91年には、次のような経験をしたという。

「議員宿舎へ、ある中堅議員の部屋を訪れた時のことです。彼は毎朝集まる数人の記者へ、『朝は味噌汁ぐらい飲まないといけないぞ』とお湯を注いでふるまってくれるような優しい人です。その朝は他に記者がおらず、たまたま1対1でした。いつものように台所で味噌汁を飲みながら話をしていると、議員がこう言います。『睡眠時間も足りていなんだろう。少し寝なさい』と。

彼は隣の和室に行って、押し入れから布団を出し畳の上に敷き始めた。私は遠慮して、早々に部屋を出ました。後から考えると明らかにセクハラです。しかし当時の私はまだ若く記者としても未熟で、何より高齢で優しかった議員とセクハラが結びつきませんでした。『お言葉に甘えて仮眠をとらせていただきます』と、危うく寝てしまいかねなかったんです」

「舌を出せ」

99年春、大阪府知事(当時)に再選した横山ノック氏の事務所を取材する佐藤氏(佐藤氏提供)
99年春、大阪府知事(当時)に再選した横山ノック氏の事務所を取材する佐藤氏(佐藤氏提供)

セクハラ行為をする永田町関係者は、政治家だけではない。佐藤氏と旧知の女性記者が、90年代後半に体験した屈辱だ。

「彼女は大物議員の秘書から、夜9時ごろバーに呼び出されました。『お前はオヤジ(議員)に食い込めていない』と、相談に乗ってくれるというのです。しかしバーに行くと仕事の話はほとんどなく、秘書はチークダンスを踊ろうと誘ってきました。記者は相手の機嫌を損ねてはいけないと、嫌々一緒に踊っていると耳元でこうささやかれたとか。『舌を出せ』と。

彼はディープキスを求めてきたんです。彼女はなんとか、その場を切り抜けました。上司に相談すると、『ハッハッハッ』と笑い飛ばすばかり。秘書のセクハラには当然腹が立ったが、共感さえしてくれない上司にも怒りがわいたと、悔しそうに話していました」

職業意識から、セクハラを拒否できないケースもある。

「男性と女性の記者が2人で、政治家を夜回り取材した時のことです。政治家は女性記者のお尻を触り、ずっと撫でていた。男性記者が『やめてください』と注意しようとすると、女性は小声で『いいから何も言わないで』と制したそうです。

おそらくは彼女は、この政治家に食い込むためにはお尻を撫でられても仕方ないとガマンしたのでしょう。拒否したら政治家の怒りをかい、会社から担当を変えられるか非難されると考えたのではないでしょうか。彼女の心情を思うと、やるせない気持ちになります」

佐藤氏は、セクハラを受けたら女性も勇気を出して拒否するべきだと話す。

「セクハラは立証が難しい。1対1の密室でのケースが多く、物証もなかなかありませんから。取材拒否などの報復を恐れ、言い出しづらい気持ちもわかります。しかし、声をあげなければ何も解決しません。会社も被害を受けた女性が孤立しないよう、加害者に厳重抗議するなどサポートすべきでしょう。被害者を突き放し、セクハラを黙認するなど言語道断です。

最大の問題は政治家の意識です。女性を上下関係で見ている人が、あまりに多い。自分と違う属性の人と対等な関係を築けなければ、多様性が重視される世界で日本は相手にされなくなります。永田町に住む人たちには、危機感を持っていただきたいです」

政界や報道現場に立ちはだかる「オッサンの壁」。佐藤氏は乗り越えるのではなく、壊すものだと語る。

90年代後半、首相公邸で行われた正月の「公邸開き」で野中広務氏と(佐藤氏提供)
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06年、第1次・安倍晋三政権の官邸キャップとして懇親会でスピーチ(佐藤氏提供)
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現在は論説委員として活躍する。愛知県出身。名古屋大学文学部卒業。17年、全国紙で女性として初の政治部長に就任。
現在は論説委員として活躍する。愛知県出身。名古屋大学文学部卒業。17年、全国紙で女性として初の政治部長に就任。
  • 撮影会田 園 つのだよしお/アフロ 佐藤氏提供

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