「DV離婚」30代派遣女性と不倫した50代男性が全てを失うまで | FRIDAYデジタル

「DV離婚」30代派遣女性と不倫した50代男性が全てを失うまで

【実録シリーズ】「不倫にはワケがある」亀山早苗レポート

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<DVの件数は右肩上がりで増え続けている。警察庁によれば、「配偶者からの暴力事案等への相談件数」は11年から21年までの10年間で約2・4倍に増加。それにともない「DV離婚」も珍しいことではなくなった。そこからさらに新たな「男女関係」が生まれるのは必然のこと。だが…。38歳の「派遣さん」は仕事ができる華やかな女性。それが、DV被害者だったと知って…。ときめき、同情、そして恋愛関係に。心躍る毎日だった男性はある日、妻から思いがけない復讐を受ける。男女を取材し続けるライター・亀山早苗氏の実録ルポ>

「それなり」の結婚をしていた大人が、ある日、恋に落ちた。天国から地獄に突き落とされてもなお…。これは、本当にあった怖い話
「それなり」の結婚をしていた大人が、ある日、恋に落ちた。天国から地獄に突き落とされてもなお…。これは、本当にあった怖い話

最初は軽い気持ちだったの

始まりは「軽い気持ち」だったが、つきあっているうちに本気度が増していく。不倫にはよくあることかもしれない。

「結婚して20年。子どもたちは、もう僕がいなくても自分の道を切り開いていける。妻とは可もなく不可もない関係。家の中に居場所がない。会社にもなかったけど(笑)」

そんなケンイチさん(50歳)が1年半前に知り合ったのが、職場に派遣で来ていたノリカさん(38歳)だ。夫のDVで離婚した彼女だが、仕事に対しては熱心で優秀。記憶力も良く気配りもできるため、即戦力となった。

「一緒に仕事をしているうちに、彼女の仕事への姿勢に心惹かれました。バツイチで実母と同居、8歳の子がいる。そんな彼女のストレス発散になればと、コロナ禍でも開いている店を探して食事に誘うと、パッと花が咲いたような笑顔になった。いつもまじめな顔しか見ていなかったから、こんなに華やかな女性なんだとこちらも胸がときめきました」

「ときめく」なんていう感情を味わったのは何十年ぶりだったか、と彼は笑った。だが当時、それを「恋」とは認識していなかった。まじめで仕事のできる素敵な女性だなと思っただけだった。

「それなり」の妻との日常に…

妻は学生時代の後輩で、卒業して5年たったころに再会。なんとなく気が合って、2年つきあって結婚した。ふたりの子に恵まれ、家庭はそれなりにうまく回っていった。

40代後半になったころですかね、職場ではもうそれほど出世も見込めないとわかってきた。妻はパートに出るようになって、趣味の習い事も始めて楽しそう。娘も息子も、もう親より友だちが大事な年頃ですしね。どこか寂しかったんでしょうね、僕は」

ノリカさんと食事に行くようになって、半年ほどたったころ。食事をしている近くのテーブルで、言い争いが起こった。彼女を見ると、顔が真っ青だった。体が小刻みに震えている。

「彼女、怒鳴り声を聞くとDV夫から罵倒されたことがフラッシュバックするんだそうです。怯えていました。そのときは『とにかく静かなところへ』というので、あわてて店を出て近くのホテルに飛び込んでしまった」

しばらくしてようやく落ち着いた彼女が、ケンイチさんにしがみついてきた。男としての本能は抑えられなかったという。彼自身は、彼女の人間性を評価していたが、その裏にはやはり「恋心」が強く存在していたのだ。

「それからは彼女の一挙手一投足が愛おしくなった。職場では悟られないようにしていたけど彼女が他の社員と話しているだけで、嫉妬心がわいてきたり。50歳を前にしたオッサンが恋に狂うなんて、あまりにもかっこ悪いと思いながら」

だんだん帰宅が遅くなってしまった

恋に浮かされた彼は、だんだん帰宅が遅くなる。彼女の母親が息子を連れて一泊旅行をしたときは、彼女の家で過ごした。一緒になりたい。そんな思いが強くなっていく。

「彼女は『無理なことは言わないの』と諫めるように言うけど、僕はいっそバレてしまってもいいような気持ちになっていました」

そしてついに…。

3ヶ月程前のことだ。彼が3日間の出張から自宅に帰ると、マンションの鍵が開かない。妻にLINEをしてみたら、「あなたの自宅はこちら」と、家から徒歩10分ほどのアパートの地図が送られてきた。鍵は、玄関脇のポストに入っているという。

とりあえず行ってみると、まるで学生が住むような年季の入ったワンルームマンション。ドアを開けるとダンボールが積まれていた。

「ダンボールの中は僕の衣類や日用品でした。テーブルがひとつ置かれていて、その上に探偵事務所の封筒。中から写真などが出てきた。不倫はバレていたということです」

これで離婚かと思うと情けなかった。だが、妻からはいまだに離婚話がない。収入は妻が管理していたから、妻と子どもたちの生活は何も変わっていないはずだ。

「僕だけが、手渡しだった小遣いをもらえなくなっているんです」

ノリカさんは話を聞いて身を退くと言った。家庭を壊したら、私は一生後悔する、と。だが、彼はもう少し待ってほしいとすがりついた。ノリカさんのいない人生は考えられなかった。とはいえ、離婚に踏み切る勇気はない。

今は妻に内緒で貯めていた預金を取り崩して暮らしています。娘がときどき連絡をくれるんですが、先日、『早いとこ、ママに謝ったほうがいいんじゃない? 離婚するならしてもいいし』と言われました。娘にも見放されかけていると焦って、妻に連絡をとりました。でも妻はやけにドスの利いた低い声で、『あなたの好きにすればいいじゃない。離婚するなら全財産奪うからね』と。弁護士を立てる用意もあるみたいです」

ケンイチさんは情けない声を出した。結局、家庭に戻るしかないのだろう。このまま突っ走るには、彼自身の情熱も枯れかけている。

「最初は軽い気持ちだったのに、いつの間にか夢中になってしまった。このままノリカと別れるのだけは嫌なんですが、彼女は、もう電話にも出てくれない。この先、どうやって生きていけばいいのかわかりません」

今が正念場なのだが、ケンイチさんは、どうも自分の立ち位置がわかっていないようだ。ひとりになりたくなければ、妻に謝り倒すしか道はないのに。

  • 取材・文亀山早苗

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